「現代時評」カテゴリーアーカイブ

現代時評plus《和歌山モデル》片山通夫

 先月、米紙「ワシントン・ポスト」に、和歌山県の新型コロナウイルス対策を絶賛する記事が掲載された。県は政府の反応を待たずに知事の強力なリーダーシップの下で迅速な検査と感染ルートの追跡を徹底した結果、封じ込めに成功したとたたえている。
「和歌山モデル」と呼ばれるそれは、迅速な判断と行動によってウイルスの流行を抑制し、感染の連鎖を絶つことができるといった教訓をもたらした。

地元紙熊野新聞がこう伝えたのは 2020年4月9日のことである。そこには県民の知事に対する信頼があった。
ちなみに今高齢者のワクチン接種率を見ても、政府の集計では、16日時点の1回目の接種率は、全国平均が2.57%のところ和歌山県は9.47%。県によれば接種対象の30万9000人のうち、2万9270人が1回目の接種を終えたという。
和歌山に次ぐ高知県は8.43%、山口県は6.57%。医療崩壊が深刻な大阪府は1.72%、東京都は2.31%となっている。 続きを読む 現代時評plus《和歌山モデル》片山通夫

現代時評《五輪じんわり中止にシフト?!!》片山通夫

アベノマスクをする安倍前首相+サイズも小さい。総額260億円とか?

《五輪開催「感染1日100人以下に」都医師会長が返上アシスト》東京五輪の安全な開催基準は「都内の新規感染者数を100人以下にする」――。東京都医師会の尾崎治夫会長が厳しい目標に言及
し始めた。(日刊ゲンダイ

小池都知事は狡猾だという印象が筆者にはあった。東京都知事というポジション、五輪という世界的なイベント、そのイベントの主催都市の知事という立場はある意味「首相や他府県の知事そして政府そのもの」を「自分に有利な方向」に持ってゆこうとしているかに見えるのだ。都民ファーストなる言葉も筆者にとっては空々しく聞こえる。 続きを読む 現代時評《五輪じんわり中止にシフト?!!》片山通夫

◇現代時評《台湾からの報道を垣間見る》片山通夫

(台北中央社)英誌エコノミストが最新刊で台湾を「地球上で最も危険な場所」と指摘したのを受け、蔡英文(さいえいぶん)総統は先月30日、自身のフェイスブックを更新し、中国の脅威は確かに存在するものの、政府は「考え得る各種のリスクを管理し、必ず台湾の安全を守れる」と強調した。

台湾からのニュースは最近きな臭くなってきた。またフォーカス台湾は「台湾の駐日代表、米大使公邸を訪問 断交以来初」と報じ、一方で「中国が侵攻したら台湾の国家承認を米元官僚がバイデン政権に提言」とも伝えた。

台湾からのニュースはフォーカス台湾 

先月菅首相が訪米しバイデン大統領と会談したが成果はあまり芳しくはない。
バイデンにとっては「中国と良好な関係」を当面築けないような中、アジアの同盟国・日本がやってきた。晩さん会ならぬハンバーガーランチもそこそこに台湾防衛の声明を成し遂げたのだから大成功だった。台北は喜び東京は「えらいことになった」とわかっているのか否か…。
何しろ台湾海峡有事の時の「軍事協定」のようなものを菅首相は簡単に、いやもしかしたら、わかってて訪米したのかもしれない。

一方盛んに報道されているのは「台湾パイン」。中国への輸出が90%を占めていたが突然中国が害虫検出を理由に輸入を停止して輸入を打ち切ったのがこの3月。このニュースが報道されると日本ではSNSで「台湾パインを食べよう」という呼びかけが瞬く間に広がった。そして最新の情報では「屏東産パイナップル、日本大手スーパーへの販売量が倍増の見通し/台湾」と文字が躍ってい
る。

地震国日本は大きな地震のたびに台湾や韓国に助けられてきた。特に台湾とは国交こそないが互いに「経済文化代表処(大使館に相当)」を置き、文化・経済だけでなく政治的な窓口になっている。

今更有事の際に「台湾を見殺し」には出来まい。しかし中国との経済的な結びつきも重要だと考える経済人も多いと思われ日本政府も無視できまい。この難しい局面をうまく舵を取るには相当広い見識と決断力・説得力が、日本国民相手だけでなく、アメリカなど関係諸国、そして何よりも台湾に対して必要だ。

そのような政治家がわが国に存在するのか、残念ながらはなはだ疑問である。

現代時評《コロナ、この一年》山梨良平

報道を見ると世界の先進国ではコロナウイルスに対するワクチン接種が相当進んでいるように見受けられる。昨年からのこの一年あまり、わが国は一体何をしてきたのだろうと暗澹たる気持ちだ。

例えば「新型コロナウイルスワクチン接種率の推移【世界・国別】」という報告がある。(上記の表)

図は今年の4月29日の報告だ。とにかくほとんど接種されていない。最初に医療従事者に接種するといいながら人口比でたったの2%。思えば政府は2020年4月7日に「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」で閣議決定し、これにより布製マスクの一般家庭への配布が開始された。また、マスク配布については、全国の医療機関にサージカルマスクを、高齢者施設や障害者施設や全国の小学校・中学校向けに布マスクをそれぞれ優先的に配布することも決め、予備費約233億円と、2020年度補正予算案に計上した233億円を合わせた計466億円を計上した。
英国在住の作家黒木亮氏の報告によると「英国がワクチンの大規模接種の計画立案に着手したのは昨年1月10日で、まだ国内で最初の感染者が確認されていない段階」だった。河野太郎氏がワクチン担当大臣に任命されたのが今年1月18日なので、ほぼ一年前のことである。
つまりまだワクチンそのものが完成するのか全く不明の時に、英国タスクチームを政府内に結成した。アベノマスクの時代だ。

この夏のバカンス期には米国、英国とEU間の往来も視野に入れている。また台湾は国交のあるパラオとの団体観光往来を再開下のが4月1日。シンガポールや香港との観光往来を構築し、他にニュージーランド、オーストラリア、中国を候補に挙げる。

一方わが国は厚労省のホームページによると5月1日現在《令和3年2月17日から令和4年2月末までの予定》と掲載されている。ところが7月には政府はオリンピックを開催すると意気込んでいる。
今なおワクチン接種率が2%しかないわが国が実際にオリンピック・パラリンピックを開催できるものかは、私に言わせれば全くの夢物語だ。一日も早い撤退の決断を即す。

この一年の安倍政権、菅政権の半年はコロナに関してオリンピック・パラリンピックに関していかに無駄な時間と費用を費やしてきたか。政府関係者は万死に値するといえよう。。

最後にとんでもないニュースが届いた。

日本のワクチン接種遅れに批判強まる-大量のEU製が承認済みと発覚
Bloombergが伝えた。

現代時評《コロナ災害と大阪府知事の責任》井上脩身

私は毎日、大阪府と東京都の新型コロナウイルス新規感染者数を手帳にメモしているが、3月半ばころからの大阪府の急激な感染拡大に驚く。4月13日(4月第2火曜日)は1099人と初めて千の大台を突破、3月の第2火曜日(9日)の103人に比べると、1カ月の間に実に10倍も感染拡大ペースが上昇した。同じ期間、東京都では290人から510人へと1・8倍しか増えておらず、大阪府の蔓延ぶりは異常である。しかも重症患者の病棟不足という医療崩壊が起きており、「大阪コロナ災害」とも呼ぶべき深刻な事態である。吉村洋文・大阪府知事の要請により、2度目の緊急事態宣言を東京よりも21日も早い2月28日に解除した結果であることは明白であろう。吉村知事は20日、3度目の緊急事態宣言を菅義偉首相に要請した。治ってない病人を早期に退院させたため悪化し、また入院させるようなものだ。知事の責任は重大である。 続きを読む 現代時評《コロナ災害と大阪府知事の責任》井上脩身

現代時評plus《緊急事態宣言 その3》片山通夫

筆者からのスポンサー各社への提案

今、聖火リレーが日本の各地を回っているが中には無観客、もしくはリレー中止の県もある。
スタートの福島でスポンサーのPR姿勢が派手すぎて顰蹙を買った。スポンサーとしては不本意な結果だったと思う。下手をすれば東日本大震災10年目に顰蹙を買ったわけだ。今後マイナスイメージが付きまとうだろう。誰がこんなCMパレードを企画したのか?社会の状況に目を向けない電通の差し金かもしれない。

筆者はオリンピックを支えているスポンサー各社に提案したい。
あっさりとオリンピックの開催をやめるよう進言して「その予算を今困っている医療」をはじめ、休業補償に充当することだ。無論それだけの金額が集まらないかもしれない。そこは国なり、都道府県なり、また篤志家に協力を要請することだ。

ただ断っておくがわが国の政治家や電通をはじめとするコロナで金もうけをしてきた連中は排除すべきだ。公平を旨とし、第三者委員会で決めるということが重要。理由?、言わなくてもわかるやろ。
例えば、酒メーカーや食品メーカーには居酒屋やバー、レストランなどへの休業補償に参加してもらう。
テレビや新聞では毎日いろんな業界の休業補償の状況を伝えてもらう。

こんなことを3回目の緊急事態宣言中に考えた・・・。(完)

現代時評plus《 緊急事態宣言 その2》片山通夫

世界が注目するバッハ会長の訪日

バッハ会長の訪日は5月17日だそうだ。今の予定では。さあ、どのように出るかは神のみぞ知るというわけだが、日本の国民の70%以上の人が反対もしくは延期を望んでいる中で、緑の狸とガースーがどのような決着をつけるか国民ならずとも世界から注目されている。

バッハ本人は「コロナと開催は無関係」と言っているようだ。しかし開催都市の状況を見ると考えは変わる可能性はある。いや、引き際をスポンサー各社に納得させるための訪日なのかもしれない。
聖火リレースタート→スポンサー企業の車列が大音響で顰蹙を買ったが、以来少しはましになったようだ。そしてここにきて3度目の緊急事態宣言。スポンサーもたまったものではないだろう。(この稿続く)

 

現代時評plus《緊急事態宣言 その1》片山通夫

コロナ蔓延下のオリンピック

日本の政府関係者やオリンピック委員会の人々は、実際のところこのコロナ事態でオリンピックやパラリンピックが開催できると思っているのだろうか。中にはバッハIOC会長のように、狂信的に「コロナが原因で開催できないことはない」と言い張る人物も一部にはいる。
莫大な金をかけて開催の準備を続ける意味はあるのか、筆者は大いに疑問に思える。一体だれのための開催か。一体何のための開催か。

そんなことを考えて居たら「爆発的」ともいうべきコロナ蔓延が東京、大阪などで起こってきた。大阪の知事は時には「逆切れ」を起こしながらテレビに出続けて大方の顰蹙を買っている。東京の知事は「女性最初の首相」を狙っているなどといろいろ憶測されて、それでもそれを否定しないで、あわよくばとこの非常事態でも「自分ファースト」よろしく暗躍しているように見える。
おりしもIOCのバッハ会長が来日するとか。主催都市である東京都知事はバッハ会長を説き伏せて五輪中止を発表するのではないかと筆者は憶測する。緑のタヌキの異名をとる都知事のことだ。これくらいは朝飯前だろう。(この稿続く)

*タイトルを変更しました。

現代時評《B29に立ち向かう竹槍》片山通夫

今日・21年4月8日現在、日本の新聞などで「ワクチンパスポート」を検索してみた。無論漏れがあることも承知の上で書くと、ほぼすべてが海外のニュースの紹介だ。例えば「全米初のワクチンパスポート運用 ニューヨーク州、アプリで証明」と共同通信が伝えたのは3/27(土) 12:29配信。
3/27(土) 12:29配信記事では「ANAがワクチン接種履歴などのデジタル証明書実験を実施 実用化には各国の承認が必要」という記事が同じ共同通信が伝えた。 続きを読む 現代時評《B29に立ち向かう竹槍》片山通夫

現代時評《アメリカ世》山梨良平

琉球国 第18代 尚育王

「アメリカ世」という言葉がある。「アメリカゆー」と沖縄では発音する。あの忌まわしい戦争で日本が負けた時から、沖縄は「アメリカ世」と呼ばれることになった。1972年までの27年間を指す。この間沖縄はアメリカの一部として扱われた。ものの本にはこの27年間では沖縄の公用語は日本語とともに(事実上ではあるが)英語と書かれている場合もある。少し歴史を振り返る。明治時代のことである。実に失礼な話だが「琉球処分」という言葉がある。
当時は薩摩に隷属していたとはいえ、琉球王国と呼ばれる一個の王国だった。しかし明治政府によって日本の版図に組み込まれ沖縄県となった。(詳しくは註) 続きを読む 現代時評《アメリカ世》山梨良平

現代時評《同性婚容認と夫婦別姓否定の混在》井上脩身(Lapiz編集長)

同性同士の結婚を認めないのは、「法の下の平等」を定めた憲法に違反するとの初めての判決が3月17日、札幌地裁で言い渡された。婚姻に関する「両性の合意のみに基づいて成立」との憲法24条の規定は男女の結婚を前提としている、というこれまでの常識を180度変える画期的な判断である。一方でその2日後の19日、岡山県議会は、選択的夫婦別姓制度反対の意見書を採択した。この意見書の本質は現憲法を否定し、明治憲法下の家父長的家制度への回帰を求める復古主義である。21世紀にふさわしい新たな価値観を見いだすのか、それとも人権を抑圧する19世紀国家に回帰するのか。戦後、民主主義を基調として国づくりを進めてきた我が国は、20世紀が終わって20年がたった今、重大な岐路に立っている。 続きを読む 現代時評《同性婚容認と夫婦別姓否定の混在》井上脩身(Lapiz編集長)

◇現代時評《謎の国 ロシア》片山通夫

およそ過去も現在も、そしておそらく将来も謎に満ちた国と言えばロシアがある。決して国全体が裕福ではない。おまけに言葉は複雑だ。最も西欧から見れば漢字を使う国である日本や韓国、中
国、台湾なども不可思議な国に見えているのではと思うが…。面積こそ世界一だが、人口は約1億4000万で日本をわずかに上回る程度。経済規模は日本の3分の1以下、米国の10分の1以下で、世界で12位。G7各国はもちろん、韓国をも下回る。
まず民族的に言えば150とも200ともいわれている民族がすむ多民族国家である。
おまけに言語もその数だけ存在する。勿論一般的にはロシア語で生活している。例えば筆者がよく知っている朝鮮民族は、北朝鮮語や韓国語などを彼らの家庭などで使われているが、最近はほとんどロシア語しか使われない。

プーチンもロシア正教徒?!

また宗教は今やロシア正教が主だが、ソ連邦が崩壊した今、世界のあらゆる国から様々な宗教が静かに浸透しているし、多民族国家の帰結としてイスラム、仏教そしてユダヤ教までも存在する。
最もソ連時代は表向きは「宗教は自由」だったが、スターリンよって、そのあとのフルシチョフによって、徹底的に迫害された。
しかし不思議なことに、ソ連邦が崩壊したとたん、ロシア正教はたちまち復活した。今や元KGBの将校だった現大統領もロシア正教徒らしい。宗教を徹底的に弾圧したソ連時代とは一線を画し、ロ
シア正教会を保護してもいる。2007年のロシア正教会と在外ロシア正教会の和解を斡旋し、和解の聖体礼儀に出席もしてスピーチを行った。イスラームに対してはロシア正教会ほどに結び付きはな
く、ロシア国内でのイスラーム主義勢力の監視・活動制限、コーカサス地方では武装イスラーム主義勢力との対決姿勢を鮮明にしてもいるが、タタールスタンのカザン・クレムリンにおいて巨大な
モスクも再建したシャイミーエフのような穏健的な存在とは協力関係を築くなど、硬軟織り交ぜた対応がみられる。また、ユダヤ教も庇護しており、ベレル・ラザル首席ラビとは友好関係を築いて
いる。

地図から消され、世界から隠された旧ソ連の「閉鎖都市」

ソ連時代は閉鎖都市というのがあった。いや、今もあるらしい。
ロシア・ビヨンドによると、ソ連時代に創設された、閉鎖都市という、重要な戦略施設が隠され、厳重な警備で隔離されていた街は、現在でも残っている。特別な許可証がなければ、ここに立ち入
ることはできない。
閉鎖都市が最初にあらわれたのは1940年代の終わり。ヨシフ・スターリンの命令で、核兵器開発計画が始まり、ソ連国内の辺境の地に、極秘の都市がつくられていった。これらの街は地図にも載
ることはなかった。

ロシアに関する謎を読むのはとても興味深い。悲劇的なのは日本の敗戦後のシベリア抑留、チェルノブイリ原発事故なども。またウクライナを通ってヨーロッパに伸びるガスのパイプライン。時にはこのパイプラインのバルブを閉めるという暴挙もやってのける国だ。
まだまだおまけがあるがとても書ききれないほどだ。何しろ鉄のカーテンを西側との間に閉めていた。今回はこの辺で・・・。

◇現代時評《緊張高まる日露間》片山通夫

宗谷海峡図

なぜか日露間の波が高くなってきた。ちょっと紹介する。

*ロシア、米国が日本にミサイル配備すれば報復と警告3月12日、ロシア外務省は、米国が日本に地上配備型ミサイルを配備したら報復すると警告した。インタファクス通信が報じた。(モスクワ発ロイター)
*ロシア、「宗谷海峡や津軽海峡の閉鎖」に関する日本の外交評論家の主張に反応 ロシア議会下院(国家会議)国際委員会のドミトリー・ノヴィコフ第1副委員長は11日、ニューズウィーク日本版に9日に掲載された日本の外交評論家で元外交官の河東哲夫氏の「北方領土問題で『変節』したプーチンとの正しい交渉術」と題したコラムで、河東氏が日本はロシア政府に領土問題を解決する重要性を意識させるために「例えば宗谷海峡、津軽海峡(ロシア本土と北方四島間の主要な補給・物流ルート)をいつでも閉鎖できることを示す」べきだと主張したことについてコメントした。
ノヴィコフ氏は、河東氏の主張に基づくと、日本で所謂「北方領土」問題と呼ばれているテーマを再び悪化させたいという願望が日本の政治エリートに再び生まれたような印象を受けると述べた。 続きを読む ◇現代時評《緊張高まる日露間》片山通夫

現代時評《「止まらない暴走列車」と言われて・・・》山梨良平

【ロンドン時事】英紙タイムズ(電子版)は3日、今夏の東京五輪・パラリンピックについて「中止する時が来た」とするコラムを掲載した。筆者はリチャード・ロイド・パリー東京支局長で、「(新型コロナウイルス)感染を拡大させるイベントは日本だけでなく、世界へのリスクだ」と主張した。
そのうえで筆者は日本が「一旦決めたらその計画を止めることができない国だ」としてスポンサーや日本のマスコミが中止すのための意見を出すべきだと断じている。
それにしても「止まらない暴走列車」とはよく言ったものだ。この表現はまさに適格だ。一旦決めたら止めようがない官僚組織、政治家というわけである。今度の場合、リスクは日本だけではない。世界中がそのリスクを負うことになる。
暴走列車を止めることが出来るのは、スポンサーでしかない。例えば森前会長の「差別発言」に怒りを込めて「辞任すべき」と発言したのは、米、放送局だ。最大のスポンサーである。

日本のマスコミもスポンサーになっている。おそらく護送船団方式で、横並びの精神を大いに発揮しているのだと推測される。本来編集権と経営権を明確に分離独立させるべきなのに、護送船団はお互いに影響しあう関係になり下がった。NHKをはじめ、特に放送界がひどいと感じられる。

いずれにしても、「暴走列車」の表現は適格だが悲しい。

現代時評《記者会見》片山通夫

「菅義偉首相は26日、6府県を対象とする新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言先行解除に際し、通例となっている記者会見を開かなかった。国民に説明を尽くしたとは言い難く、首相の長男らから高額接待を受けた山田真貴子内閣広報官に焦点が当たる事態を避けたいとの思惑がにじむ。与党からも「山田隠し」の意図を指摘する声が出た。」(時事通信)

記者会見は政権に就くものが国民にその政策なりを説明して政策を推し進めるための原動力を得るためには、欠かすことができないモノだ。辞書に見ると「記者会見(きしゃかいけん、英語:press conference、news conference)とは、一つの場所で人や団体が複数の記者に対して発表や説明を行い、質問の受け答え(インタビュー)をする会合である。」(ウイキペディア)とある。また広辞苑では「一定の場所に記者を集めて情報を提供したり質疑応答を受けたりすること。」とある。

各国の記者会見の様子が朝日新聞でリポートされているので少し紹介したい。

英国のジョンソン首相は、ロックダウン(都市封鎖)に踏み切る際など、頻繁に記者会見してきた。2月だけでも4回開いている。一般の人の質問2問と、記者の質問を5問程度受け付ける。ネットで中継され、テレビでも生中継。

ドイツのメルケル首相と各州の州首相が2~3週間ごとに対策を話し合って開く会見は、リーダーが様々な規制への協力を肉声で求め、市民の苦労をねぎらう機会になっている。2月10日の記者会見でメルケル氏は新規感染者が減ったことに触れ、「市民の行動に感謝したい。非常に厳しい措置が効果を発揮している」と。

NZのアーダーン首相は、全土でロックダウン(都市封鎖)を敷いた昨年3~4月にかけて、ほぼ連日、記者会見を開いた。2月14日も最大都市オークランドでの3日間のロックダウンを自ら発表。原因となったクラスター(感染者集団)はわずか3人だったが、感染力が強いとされる変異株による感染のため、「早く厳しく(対応に)動けば後悔しない」と理解を求めた。

かなり要約したがざっとこんな具合だ。
しかるにわが国の記者会見というのはとても記者会見とは言えない代物だ。まず会見は内閣の広報官がすべて仕切る。というのはおそらく前もってペーパーで質問内容を届けて、それに基づいた質問にしか首相は答えない。いや答える能力がないと思う。安倍前首相は国会の答弁でも「質問書にはない」と言い放った。
つまり突発的な質問には彼らは「答えることができない」ということだ。能力のない者が首相になると国民は不幸の極みである・

話は変わるが1972年6月。足掛け8年にも及ぶ佐藤首相が退任した。退任の記者会見で「新聞記者は出てください」と言ってテレビカメラに向かって(国民に向かって)直接話したというエピソードが残っている。また政治部の記者では追及が出きにくいとばかりに、社会部の猛者が会見に臨んだという話も記憶にある。

そういえば急先鋒の質問でなかなか当てられない東京新聞の望月記者が有名だ。菅幹事長(当時)が「あなたに答える必要はない」といら立つことがあった。彼女は政治部ではなく社会部らしい。そして「空気を読まない」と記者仲間からも批判があるようだ。

最後に「官邸はメディアの分断を進めていると感じます。政権に批判的なテレビ番組が終わり、キャスターやコメンテーターが次々変わっています。記者として、官邸や政権の扉をたたき続けなければと思います。やり方は人それぞれ。記者として、当たり前のことを当たり前に続けていきたいです」とは東京新聞の望月記者の言葉である。         神戸新聞NEXT より

現代時評《女性蔑視発言批判にみる市民意識の変化》井上脩身

私が入っている川柳同好クラブで最近、後任代表をめぐる混乱から、クラブ存続の是非にまで話が発展した。入会してまだ日が浅い会員たちが、十年一日のクラブ運営に疑問をいだきだしていたところ、コロナによる活動の制約と相まって、一気に不満が噴出したのだ。コロナ禍のなか、「先輩の決めたことに黙って従え」式のやり方に厳しい目が向けられるようになったのでは、と考えていたとき、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言がとび出した。森氏は翌日、記者会見をして謝罪した。従来ならこれで収まっただろう。ところがSNSを通じて批判が殺到、森氏は辞任に追い込まれた。私はオリンピックについても、商業主義にどっぷりはまった開催に対する人々の意識が変わりだした証左だと思った。組織委は17日、橋本聖子・五輪担当相を後任会長に選んだ。橋本氏は森氏の秘蔵っ子であり、人選の背後に政府の意向があったことはまぎれもない。政府もJOCも国民意識の変化に全く気付いていないようである。 続きを読む 現代時評《女性蔑視発言批判にみる市民意識の変化》井上脩身

現代時評《無為に流る時間》山梨良平

少しはおさまってきたと思ったら、さっそく「緊急事態宣言解除」を要請だとテレビでわめいていた知事がいた。そう、あのイソジン知事である。なんでも経済的に苦しいからだそうな。これでは経済が破綻するという危惧かららしい。大阪のことである。大阪府はかなりの財政的な余裕があると見えたのだが、維新政治は「自分たちが府の財政を使うのには躊躇しない」が「府民のために使うのは嫌だ」という姿勢のようだ。100億も使って二度目の大阪都構想の住民投票のことだ。 続きを読む 現代時評《無為に流る時間》山梨良平

現代時評《叩けよ、さらば開かれん》片山通夫

筆者は決して信心深い人間ではない。むしろ無神論者にほぼ同じ、つまり罰当たりと言われるかもしれない。しかしこの程度の言葉は知っている。
「叩けよ、さらば開かれん」とは《新約聖書「マタイによる福音書」第7章から》ひたすら神に祈り、救いを求めれば、神は必ずこたえてくださる。 転じて、積極的に努力すれば必ず目的を達成することができるという意味らしい。 続きを読む 現代時評《叩けよ、さらば開かれん》片山通夫

現代時評plus《悩ましい日々 4》片山通夫

緊急事態宣言が3月7日まで伸ばされた。結果としての現状のコロナ禍の中、これは仕方のないことだ。ただこの宣言によってさまざまな影響が出る。変な表現かもしれないが、前政権の時は国民一人当たり10万円という給付金があった。これで息をついた家族も多くいたと思う。ところが第3次ともいわれる今、財務相は早々に今回は給付しないと言明した。菅首相は最後には生活保護がわが国にはあるとうそぶいた。国民の血税をどのように使うかという最も大切な問題を、たった一人や二人の政治屋に任せなければならばならないわが国の状況を国民は肝に銘じておきたい。
政治に無関心に多数の国民がなると、非常時といえる今、たった2人の政治屋に国を誤らせることになる。冒頭に「現状では仕方のないことだ」と書いた。しかし今に至るまでこの自民党政権の無策がこの現状を招いたといっても過言ではない。新自由主義だかなんだか知らないが、国公立病院の統合や予算削減、保健所などの統合、人員削減など、いわゆるセーフティネットの予算を削減してきたつけが今押し寄せてきているのではないか。今更書きたくないが日本国憲法には《(第二十五条)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。》とある。今こそ首相に生活保護があると言わさないため、国民は政治にもっと関心を持たなければならない。
*筆者註:生活保護を受けるということが悪いというのではない。生活保護を一般に国民の間に行き渡れば、つまり憲法25条の条文の通りに生活できれば、もっと言えば国民すべてが医療保険と生活保護を受けることができる国になればそれはそれでいいという意味であり、今のような状況で窓口で断られる状態で首相に「わが国には生活保護がある」とは言ってもらいたくはない。ただどこかのバカ学者が「ベーシックインカム7万円」といったのにはあきれた。一度その金額でアンタが生活してみなと言っておく。

現代時評《首相!華麗な変身を》山梨良平

自粛警察とは大きな災害発生時や感染症の流行に伴う、行政による外出や営業などの自粛要請に応じない個人や商店に対して、偏った正義感や嫉妬心、不安感から、私的に取り締まりや攻撃を行う一般市民やその行為

コロナ禍の中、○○警察なる自粛警察がはびこって来ているようだ。最近ではウレタンマスクをしている人を攻撃するウレタン警察なんてものも出てきたとか。
自粛警察の典型例は「県外ナンバーは帰れ!と怒る人の正義感」という記事もみた。少し冷静になれば、県外ナンバーといったって道路一つ隔てて県外、または引っ越してきて県外ナンバーなのかもしれない。自然災害の途に、日本人は優しい、お互いに助け合って災害を乗り越えている姿に感動したなどと外国人から褒められたり、その姿が外紙に掲載されたりしたあの日本人はどこへ行ったのだろう。○○警察はなぜ生まれたのだう?と疑問の思う人も多い。こんな時だ、優しさをなくすことはしたくない。

話は変わって、ようやくコロナ禍の中で国会が開かれた。菅首相をはじめ内閣は失礼な話だが全く体をなしていない。今最も必要なのは国を、国民を滅ぼさないようにすることだろう。菅内閣は一体なのを守ろうとしているのか、はなはだ疑問だ。議論は全く議論の体をなしていない。菅氏の最も悪い面が前面に出てきている。1月27日の参議院予算委員会で立憲民主党の蓮舫氏は「そんな答弁だから、(国民に首相の)言葉が伝わらない」と迫ると、「少々失礼じゃないでしょうか」と色をなして反論。」したという記事を見た。
詳細は上のリンク先の毎日新聞をお読みいただきたいが、彼女の首相に対する言葉は少々きついかもしれないが、的を得ている。もちろん物には言いようということもあるが、首相の木で鼻をくくったような答弁や官房長官時代の記者会見を見てみると、まったく「(国民に首相の)言葉が伝わらない」はその通りだ。

アメリカで新大統領が「分断から融和へ」をモットーにスピーチをした。菅首相も「国民の支持をバック」に、このコロナ禍のなか、大胆な政策を打ち出せれば、まさか二階幹事長も経済優先でNOとは言えないだろうと思うのは甘いのか。もちろん前提に「国民の圧倒的な支持」が必要だが…。

それこそ、こんな言い方は失礼だが、どうせ現在の支持率も低いし、下手をすれば早晩退陣ということになる。それなら、歴史に名を残してもらいたいものだ。マスコミと野党とそれに続く国民を味方につけて「華々しい退陣覚悟」の政策を打ち出すべきだ。

菅首相!こんな困難も、天が与えた好機ととらえてみては?