現代時評《B29に立ち向かう竹槍》片山通夫

今日・21年4月8日現在、日本の新聞などで「ワクチンパスポート」を検索してみた。無論漏れがあることも承知の上で書くと、ほぼすべてが海外のニュースの紹介だ。例えば「全米初のワクチンパスポート運用 ニューヨーク州、アプリで証明」と共同通信が伝えたのは3/27(土) 12:29配信。
3/27(土) 12:29配信記事では「ANAがワクチン接種履歴などのデジタル証明書実験を実施 実用化には各国の承認が必要」という記事が同じ共同通信が伝えた。

このワクチンパスポートに積極的に取り組んでいるのが、先進主要国の中で最も大規模に接種することに成功し、新型コロナの状況を劇的に改善させている人口6665万のイギリス。今年1月中旬には1日当たりの死者数が2,000人に迫るなど人口比で見て世界最悪の犠牲者を出していたが、3月末時点で全人口の40%以上が1度はワクチンの接種を受けたわずか2ヵ月で1日あたり20人以下と驚くべき回復実績を叩き出した。
こうした中、イギリスは「海外旅行を復活させるべくワクチンパスポート制度」を制定し、ワクチン接種者を国内は無論、海外に移動の復活を目指しているという。6月末以降はスタジアムや劇場への定員の入場を許可する計画でワクチン接種者を優先することになりそうだ。
このワクチンパスポート構想を海外にも広めて参加国の統一制度として、自由に行き来できるように訴えている。何しろ夏はヨーロッパ各国は大型の休暇に入る。おそらくこの構想は実を結ぶ可能性が高いと筆者はみる。

一方アジア・オセアニアに目を向けると、ASEAN全体でにタイやベトナムが議論に積極的で、ASEAN加盟10ヵ国についてワクチン接種の履歴をデジタル証明できるシステムを共通化するというEUと同様の仕組みが検討されているようだ。特にシンガポールは「コロナをよく抑えている複数の国と観光旅行が年末までにはできそう」と楽観的だ。

ただ「中国製ワクチンはブラジルなどで接種が進んでいるが効果はいまいちのようだ・・・」とよその国のことを言っている場合でないのがわが国の実情。ワクチン開発は表面的にはほとんどニュースにならない。最近になってようやくニュースになってきたのが、海外から輸入ワクチンの接種。

最近爆発的に感染者を出している大阪や東京などは早々にワクチン接種を進めたいのだろうが、具体的な計画は聞こえてこない。つまりワクチンを確保できていないのが実情だろう。

安倍・菅政権はワクチンの開発はおろか確保も接種も絶望的な遅れだ。そんな中で「GOTO」だの飲食店の見回りだのと、いよいよ「B29に立ち向かう竹槍」の様相を帯びてきた。こう書いてみると、かの「アベノマスク」を象徴的に思い出す。

参考
ASEAN加盟国  ブルネイ・ダルサラーム カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ
B29 アメリカのボーイングが開発した大型戦略爆撃機 東京大空襲など日本を空爆した。
竹槍 https://bit.ly/39UwtCJ