現代時評《無為に流る時間》山梨良平

少しはおさまってきたと思ったら、さっそく「緊急事態宣言解除」を要請だとテレビでわめいていた知事がいた。そう、あのイソジン知事である。なんでも経済的に苦しいからだそうな。これでは経済が破綻するという危惧かららしい。大阪のことである。大阪府はかなりの財政的な余裕があると見えたのだが、維新政治は「自分たちが府の財政を使うのには躊躇しない」が「府民のために使うのは嫌だ」という姿勢のようだ。100億も使って二度目の大阪都構想の住民投票のことだ。

一方、こんな府という自治体を抱えている国はといえば・・・。「Go Toキャンペーンの推進と停止」、「勝負の3週間」のステーキ会食&ガースー発言、緊急事態宣言発令をめぐるドタバタなど、こちらも負けていない。ようやく緊急事態宣言を出したかといえば、すぐに公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の国際的に非難を浴びる森妄言、そして辞任。それに続く後任を密室で辞任する森が決めたとか…。それも非難をあびて撤回というドタバタ。
こうした事件に打つ手なしの菅政権の混乱ぶり。当然のことながら嫌気がさしたのか、直近の政権支持率は軒並み不支持が支持を上回る結果となった。

時事通信が今月4から7日に実施した2月の世論調査で、菅内閣の支持率は前月比0.6ポイント増の34.8%、不支持率は3.1ポイント増の42.8%だった。不支持は初めて4割を超え、2カ月連続で支持を上回った。それでも「よくやっている」とでもいうのか、35%近くの支持者がいるという。ただこの調査の時点では森騒動はまだ本格的ではなかった。

世はコロナ禍の真っ最中である。頑迷な老化した頭で「オリンピック・パラリンピックは必ずやる」といまだににたまわっている。80%の国民が中止か延期かと言っているのにである。こうして政府や組織委員会は無為無策の日々を送っている。

一方ようやくコロナのワクチンがわが国に届き始めたようだ。仮にワクチンが「良く効く」としてオリンピックが予定されている7月23日にはほとんど100%の国民がワクチンの接種が終了しているわけではない。
厚労省のホームページによると
《接種が受けられる時期》
安全で有効なワクチンが承認され、供給できるようになった時には、医療従事者等への最初の接種が2月中旬から始められるよう準備を進めています。医療従事者等の後、高齢者開始は、早くても4月1日以降になる見込みです。
《接種を受ける際の同意》
新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種は、強制ではありません。しっかり情報提供を行ったうえで、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。
予防接種を受ける方には、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただいています。受ける方の同意なく、接種が行われることはありません。

というわけで、すべての国民が受けるわけでもなく、また責任は、自民政権お得意の「自己責任」というわけだ。
これでほとんどの国民接種するのだろうか。仮に50%の国民が接種しなかったとすれば、コロナの蔓延は止められるのだろうか?ちなみにわが国のインフルエンザワクチンの接種率は50%だといわれている。

無為に流れる時間を日々過ごす身ではなすすべもない。

参考 読売新聞 基礎からわかる「コロナワクチン」