◇◇現代時評《四面楚歌の日本》片山通夫

戦術核を使うか、いや、おそらくブラフだろう、まさか使えまい等々様々な思惑が交差している。実際、万一戦術核が使われたら世界は本格的な核戦争に陥るか、プーチンの核でとどまっているかは全く予測できない。それほど世界は馬鹿でもないかもしれないし、何かのはずみで・・・。いやいや、そんなことを考えたくない。 続きを読む ◇◇現代時評《四面楚歌の日本》片山通夫

現代時評《満州国建国と重なるウクライナ4州併合》井上脩身

 ロシアのプーチン大統領は9月30日、ウクライナの東部・南部の4州をロシア領に編入すると宣言した。強奪というほかないロシアによるウクライナ領土の併合に対し、ウクライナは反転攻勢を展開しロシア軍を猛攻、ウクライナ戦争は新た局面に入った。岸田首相は10月3日の所信表明演説で「力による一方的な現状変更は許されない」と非難したが、90年前の1932年、軍事占領した中国東北部の満州に傀儡国家である満州国を成立させたのはわが国である。ウクライナ4州併合を満州国建国と重ね合わせると、ウクライナ戦争の今後をうらなう、あるキーワードがうかびあがる。「Iの国」である。 続きを読む 現代時評《満州国建国と重なるウクライナ4州併合》井上脩身

好評発売中!《片山通夫写真集 ONCE UPON A TIME》編集室

片山通夫写真集 ONCE UPON A TIME 表紙

2022年10月23日発売開始!
60年代から撮り続けたドキュメンタリー220点あまりを収録した写真集。1960年代のキューバ、「北送」と呼ばれた在日朝鮮人の祖国帰還の新潟港。ブルガリア、チェコ、ルーマニアなど東欧諸国の民主化や廃墟となったチョルノブイリ、作者のライフワークとなったサハリンの戦後問題。そして時代を映す日本の折々の風景をモノクロームで描いた作品集。
全286頁。モノクローム写真239点を収録。


本体価格 3600円(税込)+送料(370円)

お問合せ・ご注文はメールで。オンデマンド印刷。
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*→@に変えてください。

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近刊解説《片山通夫写真集 ONCE UPON A TIME》井上脩身

「片山作品に見る冷戦下のフォトジャーナリズム」 003

祖国への帰還の夢とおく
 米ソ冷戦はヤルタ会談に始まった、と述べた。その合意に基づくヤルタ協定で、樺太南部はソ連に返還されることとされた。この会談の3カ月後、同じアメリカ、イギリス、ソ連の3カ国によってポツダム会議が開かれ、日本はポツダム宣言を受諾して無条件降伏。1951年のサンフランシスコ講和条約で南樺太の全ての権利を放棄することになった。

南樺太は日露戦争後の1905年のポーツマス条約によって日本の領土となり、1931年には、漁業、林業、製紙業を中心に日本人40万6557人が移住していた。 続きを読む 近刊解説《片山通夫写真集 ONCE UPON A TIME》井上脩身

現代時評《日本は北朝鮮とどのようなつきあい方をして来たか?》片山通夫

最近朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からのミサイル発射が多くなった。一日に複数のミサイルが発射されることもある。いったい北朝鮮、もしくは東アジアで何が起こっているのかはうかがい知ることは困難だ。 続きを読む 現代時評《日本は北朝鮮とどのようなつきあい方をして来たか?》片山通夫

近刊情報《片山通夫写真集ONCE UPON A TIME 002》井上脩身

片山作品に見る冷戦下のフォトジャーナリズム 002

陽気さの奥の翳を捉えるカメラアイ

キューバの近現代の歴史を概観しておこう。
スペインの支配下にあったキューバが1902年に独立した後、製糖産業などにアメリカ資本が多数進出。1952年、バティスタがクーデターで政権を奪取すると、アメリカのキューバ支配がいっそう進んだ。バティスタ独裁政治に反旗を掲げたカストロは、メキシコに亡命中にゲバラに出会って後の1956年にキューバに上陸、2年余りのゲリラ闘争のすえ、1959年1月、バティスタを国外に追放、革命政権を樹立した。 続きを読む 近刊情報《片山通夫写真集ONCE UPON A TIME 002》井上脩身

近刊解説《片山通夫写真集 ONCE UPON A TIME 》井上脩身

「片山作品に見る冷戦下のフォトジャーナリズム」001

片山通夫さんは私と同い年の1944年生まれである。高校に入学したのが1960年、いわゆる安保の年だ。安保条約はつまるところ東西冷戦のなか、わが国がアメリカの核の傘に入ることであったといえるだろう。核戦争の恐れは1962年のキューバ危機により具体的恐怖となり、人類は核の均衡という緊張状態のなかで息をつめて生きていくことになる。こうした時代背景をうけて、若き日の片山さんはカメラを手にキューバにとび、米ソ対立の最前線にあるカリブの国の人たちの実相に迫った。そこで磨いたカメラアイはやがて日本の敗戦でサハリンに取り残された朝鮮人に向ける。深いしわの奥ににじむ誇りと尊厳。片山さんはレンズを通して物言わぬ辺境の地の人たちに寄り添う。そこに私はフォトジャーナリストとしての鋭い時代感覚と温もりある人間性をみる。 続きを読む 近刊解説《片山通夫写真集 ONCE UPON A TIME 》井上脩身

自著紹介

写真集・著書
「Image Of Saints」91年刊
「セピア色の世界」96年刊
「北の大地に生きる」96年刊

「サハリン物語」2001年刊

2001年刊苦難の人生をたどった朝鮮人たちの証言
日本人は墓も帰国した-。サハリンに残る戦争の傷跡は、21世紀の今も告発を続けている。戦後、サハリンに取り残された朝鮮人の悲痛な声を丹念に取材した証言集。日韓両国の真の友好を問うサハリン韓人の物語。

写真集「サハリン」2005年刊

​「追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯」2010年刊

日本統治下の朝鮮半島から樺太の炭坑への出稼ぎを余儀なくされた主人公は、やっと家族と暮らせるようになった樺太から「急速転換」で九州へ移送される。掘進夫としてわき目もふらず働くなか日本は敗戦。予想外の事態に直面した主人公は、ともに九州の炭坑で働いていた長男を朝鮮半島の故郷に帰し、戦後の混乱のなかを仲間と樺太へ向かう。「逆密航」を経てやっと家族と再会した主人公は、戦後のサハリンで世を去る。

​写真集「サハリン逍遥」2017年刊

サハリン在住コリアンの取材で15年間島に通った写真家が自然や人びとの暮らしをおりにふれ撮りためた素顔のサハリン。 かつての日露国境の島・樺太の長い冬と短い夏、そして歴史を感じさせるモノクロ約100カット。
さりげないアプローチでとらえた被写体にユーモラスな文章をそえて。

現代時評《北朝鮮がミサイル発射した。》片山通夫

北朝鮮がミサイルを撃った。最高高度は1000㎞、飛距離は4600㎞。日本の「上空」をはるかに超えて、宇宙空間を飛んだようだ。高度400㎞では、国際宇宙ステーション(ISS)が回っている。その2倍以上の高度となるととてもじゃないけど「日本上空」ではなく「宇宙空間」としか言いようがない。
それを「日本上空を飛んだ」という表現はかなり無理があるというか、まったくの「為にする」嘘だ。ここでかなりの誤解があるようなので北朝鮮が発射する毎に日本国内で説明される「語句」を調べてみた。 続きを読む 現代時評《北朝鮮がミサイル発射した。》片山通夫

現代時評《それでも戦争しますか?》山梨良平

安倍国葬が終わった。世論調査で見れば国葬反対が多くを占めた珍しい現象だった。端的に言えばかなり無理をした国葬だった。安部氏が政権を担っていた時代、我が国はひたすら戦争に向かっていた。
9月10日の日刊ゲンダイに作曲家が書かれた「三枝成彰の中高年革命」と言うコラムに「日本はあらためて戦争放棄を宣言すべきだ」と書かれていたのが目に留まった。そこに書かれていた内容がほとんど私の考え方と似ていたので「ふんふん成程」といちいち納得できた。
我々が、日本の所謂タカ派の政治家がやれ防衛だ、防衛費の増強だ、いや敵地先制攻撃はどうだ?挙句に核の共有だなどと一見勇ましい。とにかく攻めることに力点を置いている。仮想敵国は北朝鮮であり、中国であり、最近はウクライナに侵攻したロシアもその仲間入りした。 続きを読む 現代時評《それでも戦争しますか?》山梨良平

現代時評《国の品格落とす安倍氏の国葬》井上脩身

~チャーチル元英国首相との違いを考察~

9月8日に亡くなったエリザベス女王(写真)の国葬が19日、執り行われた。わが国の天皇をはじめ世界各国の国家元首や首脳約500人が参列して営まれた葬儀は、国葬の名にふさわしい荘厳な趣を醸し出していた。イギリスでは女王以外の国葬は、第2次大戦後では1965年に亡くなったチャーチル元首相だけである。イギリスでは王以外の人物を国葬とする場合、王室と議会の同意が必要だが、わが国では国会の承認を得ないまま、27日に安倍元首相の国葬が行われる。イギリスの例をみるならば、議会に諮ることなく国葬を行い得るのは、安倍氏がチャーチル以上に高く評価される歴史的政治家であると、国民のだれしもが認める場合に限られるであろう。しかし岸田首相がチャーチルの業績を分析し、安倍氏と比較検討した気配は全くない。 続きを読む 現代時評《国の品格落とす安倍氏の国葬》井上脩身

現代時評《近頃都で流行るもの》片山通夫

近頃都で流行るもの。

国葬談義に宗教カルト、いずれ劣らぬ低俗さ。安部元首相の国葬に国民の半数以上が反対と。盟友トランプも欠席と弔問外交の夢破れ、参加者集めに四苦八苦。カルトに浸食自民党。広告塔の安部元首相、言い訳ごまかしなんのその。それに引き換え英国国葬、カルトまみれの国葬にそっぽを向いた首脳たち。哀れ憐れの首相の岸田。地獄の門は永田町、今なお続く百鬼夜行の自民党。
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◇現代時評《不謹慎だとは思うが・・・》片山通夫

比較しては不謹慎だとは思うが、英国のエリザベス二世(96歳)が亡くなられた。在位70年という。BBCニュースによると、《王室は声明で、「女王は本日午後、バルモラルで穏やかに亡くなった」と発表。「国王と王妃は今晩、バルモラルにとどまり、明日ロンドンに戻る」と発表した。》チャールズ皇太子が直ちに国王に疲れたということだ。女王の死去に世界から驚きと悲しみが伝えられた。特に印象的なのは現在ロシアに侵攻されているウクライナの大統領からのメッセージを紹介したい。 続きを読む ◇現代時評《不謹慎だとは思うが・・・》片山通夫

現代時評《旧統一教会問題》山梨良平

平安時代の加持祈祷

自民党だけではないと思われる。が、相当深く政権与党に食い込んでいるようだ。朝日新聞の調査では8割が自民党だとか…。冗談ではなく「容易ならざる事態」ととらえたほうが良い。それを 自民・茂木幹事長は《旧統一教会と関係断絶「守れなければ離党も」》などと筆者に言わせればのんきに構えているではないか。一部では「信教の自由」や「政教分離」といった憲法の観点から取り締まりに及び腰の人もいるようだが、憲法学者・九州大の南野森(みなみの・しげる)教授は「難しい憲法上の問題と捉えるべきではないんです」と一刀両断(毎日新聞)。つまりこの問題を憲法の観点ではなく《宗教の儀式で人を殺せばその人は逮捕されるし、詐欺をやったら逮捕されたり、また損害賠償も請求されたりするでしょう。それだけのことです。外形的に法に触れる行為や反社会的行為があれば、制裁を受けるのは当たり前です。》と明快だ。つまり強引な勧誘や壷などを高額で売り付けたり、寄付などを強引に強要するのは決して宗教活動ではないと言うことだ。これらの行為は強要や詐欺などの犯罪でしかない。加持祈祷事件を見ても明白だ。そしてこのような「犯罪団体」、つまり今でいう「反社団体」を宗教法人格を持たせることが問題で、人々に誤解を招ねかせる。

重ねて言う。
「信教の自由」などと言わせないで、警察力を使ってでも信者の救済に当たるべきだ。そのための国家権力行使は、かの安倍元首相時代の「レイプ犯逮捕状握り潰し事件」よりも国民の支持を受けること間違いがない。そのために自民党は旧統一教会の名称変更を認めたいきさつを精査して、精査状況・報告をリアルタイムで国民の前にさらけ出して宗教法人格を抹消すべきだ。
 当時の文科大臣・下村博文一人のメンツなんぞより、自民党全体のメンツの方が重要なはずである。いやそれよりも、山上容疑者に代表される「信者の救済」の方が遥かに重要だ。

*加持祈祷事件:宗教的行為である加持祈祷によって少女を死に至らしめた僧侶が、傷害致死罪に問われた事件である。宗教的行為を処罰することが、憲法20条(信教の自由)に違反しないかが争われた憲法学上著名な判例の一つである。 詳細 https://is.gd/lsekJp (ウイキペディア)

 

小さい旅:片山通夫

夏の終わりのある日。ふらっと電車に乗った。鞍馬へ行く叡電(えいでん)。貴船口という駅が途中にあった。清流が流れていて京都の奥座敷とでもいうべき小料理屋が軒を連ねている。夏なら素麺流し。電車はとことこともみじのトンネルを抜けて天狗と牛若丸で有名な鞍馬まで。   叡電

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