◇◇現代時評《四面楚歌の日本》片山通夫

戦術核を使うか、いや、おそらくブラフだろう、まさか使えまい等々様々な思惑が交差している。実際、万一戦術核が使われたら世界は本格的な核戦争に陥るか、プーチンの核でとどまっているかは全く予測できない。それほど世界は馬鹿でもないかもしれないし、何かのはずみで・・・。いやいや、そんなことを考えたくない。

ところがAFP通信が次のようなニュースを10月26日に伝えた。
「プーチン氏、核抑止部隊の訓練を指揮 ロシア大統領府」~ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が同日、核戦争の脅威に対応する戦略的核抑止部隊の訓練を指揮したと発表した~
なんでも「陸海空の戦略的抑止力部隊の訓練」を実施しプーチンが指令室から訓練を指揮したらしい。
否が応でも緊張は高まる。核大国がウクライナとの戦争中に《形勢が不利になった》ところでの戦略的核抑止部隊の訓練であり、通常の措置でないところが最高司令官プーチンが指揮したというわけである。

米国務長官は早速「核使用なら相応の結果」と警告した。戦争で核を使われたのはヒロシマとナガサキ。しかし戦術核とはとなるとはっきりしないので例によってウイキペディアで調べてみた。戦略核と言った場合、米ロが直接的に互いを攻撃できる核兵器のことを指す。一方、戦術核と言った場合、米ロが直接撃ち合うものではなく、欧州など地域レベルの戦場で使われるものを想定したものという。射程500キロメートル。米露が戦争した場合の戦術核はロシアから500キロ程度の射程で核兵器を・・・。日本には簡単に飛ぶ。北朝鮮どころの騒ぎではない。

考えてみれば、今のプーチン率いるロシア、金正恩の北朝鮮、そして3期目に突入した習近平の中国など周りに敵視されている国がひしめいている。おまけに頼みの米国も余りあてにできないかもしれない。韓国はと言えば本来同盟を結ぶ必要があるのに、国際政治学者で韓国研究の第一人者である木村幹神戸大学大学院教授は《史上最悪と言われる日韓関係。尹大統領が日本との関係改善に意欲を見せていることについて、「韓国が中国と対峙するために同盟国のアメリカとの関係が重要。日本は同盟国の同盟国で価値が見直され始めている」と述べました》と。

重要な近隣の国は皆一歩も二歩も引いている状況が今の日本のいる立ち位置だといえる。今一つ付け加えておきたいのは、日本の経済力。かつての maide in Japan の名声も地に落ちた。国力も。日本にまともに相手してくれている国は遠い地域の国々だけ。台湾が唯一日本を評価hしてくれているようだが、これもいささか眉唾の所がありそうに思われる。「地球儀を俯瞰する外交」は亡くなった安倍元首相が唱えた。しかし彼は60兆円ものお金(金額には諸説ありそう)をばらまいただけだった。国民の半数が反対していた国葬にG7など主要国の首脳は参列しなかった。
これらを見ていると日本の置かれている立場がはっきりと理解できる。四面楚歌なのだ。

今後は各国からの信頼を得るために、地道に平和外交構築をしてゆかなければならないと痛感する。