モノローグ《メジロに罪はない話》片山通夫

友人が送ってくれたという「メジロ」の写真

一昨夜のこと。私の古くからの友人が、「メジロ」を頂いたという話。それを聞いて一瞬「メジロ?それあかん奴や」と思ってしまった。確か捕獲禁止だった。そしてもうずっと昔の話(半世紀以上前)だが、私の父が霞網でウグイスやメジロを捕獲していたことを思い出す。何しろ当時は田舎のことでヤマバトなども大人が空気銃で撃っていた。

それはともかく昔のこととメジロやウグイスは捕獲禁止と言うことを思い出したが、大きな勘違いで友人が知り合いから頂いたのは「魚のメジロ」だという。魚の種類もほとんど知らない私には「メジロ」がどんな魚なのかよくわかっていなかったが、メールには写真がついていた。調べてみたら「メジロ」は関西地方では出世魚であるブリの一つ手前、体長50~60センチ位の種類を言うらしい。つまり、ツバス(10~15cm)→ハマチ(20~40cm)→メジロ(50~60cm)→ブリ(80cm以上)と大きくなるにつれて呼び名が変わる魚だった。ほかにも地方によっては「ボラ」や「マアナゴ」のことを「メジロ」と呼ぶらしい。
ややこしい話だったが、ほっとした話。

現代時評《先住民の尊厳と慰霊》片山通夫

オタスの杜

時折思い出したようにニュースになるのが、我が国の先住民であるアイヌ民族の遺骨の「返還」というニュースだ。まず知っておきたいのが江戸幕府と松前藩が蝦夷(現北海道)という地にすでに住んでいて生活を確立していた先住民であるアイヌの土地を収奪し狩猟を制限しだした。ただ文字を持たないアイヌはたとえば土地の基本台帳などは持たなかった。おそらく「あの山のふもとまで」とか「この川のほとりの集落(コタン)」などと漠然とした表現で完結していた。ところが蝦夷地の松前藩や江戸幕府、そして明治政府は「記録」とか「土地台帳」とか言いだしたのではないかと思う。文字を持たないアイヌは文字を必要とはしなかったが、日本人にはそれは理解できなかった。 続きを読む 現代時評《先住民の尊厳と慰霊》片山通夫

現代時評《LGBTQ法案と旧統一教会の影》片山通夫

「自分の性別を自分がどう認識しているか」は個々の認識であり他人がとやかくいうべき問題ではないという大前提が自民党保守派の意見には無いように思える。だからなのか、この問題を法制化しようとすれば、突然本日からは《私は女、だから女湯に》となりかねないから問題という意見もそのあたりから聞こえてくる。しかし仮に突然だとしても、それが以前からもちろん以後も継続しているならば是認すべきだと思えるのだが。突然その時だけというのは即ち犯罪。

どうも彼ら保守派の考えの背景には「旧統一教会」の影が感じられるのは筆者だけか。たとえば自民党保守派は第一条にあった「差別は許されない」という文言を削除し、第三条の「基本理念」では「不当な差別はあってはならない」に改めた。東京新聞の記事によると《「許されない」という表現を避けたのは、事実上の禁止規定と解釈され、当事者が訴訟を乱発しかねないという意見を踏まえたためだ。保守派への配慮がにじみ、立憲民主党は「差別の意味を狭めるなら大きな問題だ」(岡田克也幹事長)と批判を強めている。》おまけにヒロシマでのサミットに体裁を整えるための道具にすることは決して許されるべきではない。

我々は我々の持つ日本国憲法に定める「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。(第19条)」を常に心しなければならない。無論性的マイノリティなど少数派の人々の権利なども制約すべきではない。それを「屁理屈をこねて」骨抜きにしょうとする勢力があることに驚く。こうした自民党保守派の懸念は同時にこの法案を骨抜きにしようという考えが底流にあり、それはそのまま旧統一教会への配慮ではないかと筆者には思える。

緊急出版!■「福島原発事故から 原発のない社会へ」渡辺幸重

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ドイツは原発ゼロを実現したのに、事故当事国の日本は原発の運転期間を延ばし、新型原発の開発まで打ち出すという暴挙に出、脱炭素のベールに包んだGX法案として衆院を通過させました。この姑息な政府方針に反対し、大震災、原発事故が起きたときの悲惨さを思い起こすべく、直後の現地ルポと脱原発運動の記録をまとめたのが本書です。ぜひご覧下さい。
関心のある方にはnesia@erix.com宛てにメールを頂ければPDF版を無料で差し上げます(5月13日まで)。原発ゼロ社会を実現するまでがんばりましょう。

現代時評《憲法》片山通夫

憲法談義が盛んだ。改正勢力がなぜか姦しい。自民党の改正案によると、自衛隊の明記と自衛の措置の言及。国会や内閣の緊急事態への対応を強化。参議院の合区解消、各都道府県から必ず1人以上選出へ。教育環境の充実。の4件だという。

一見妥当な案だと見せているが、とんでもない内容である。
・国民主権
・基本的人権の尊重
・平和主義
の重要な点は変えないというが、最も筆者が恐れるのは「緊急事態への対応」という点である。現在の法律でもたとえば「阪神淡路大震災」時の対応は「現状の法律」で充分対応することができるし、対応してきた。ただ気になる点はある。たとえば救援に外国から医師が来た。しかし彼らは「日本の医師免許は持っていない」から緊急を要する医療に携わることができない。外国の医師が目の前の患者に対応できないのは大いに問題だ。東日本大震災ではこの医師法の規定から外すよう「外国の医師免許を有する者の医療行為の取扱いについて」という緊急事態から緩和する通達が行われた。

このように法律上問題となっても臨機応変に対応できる場合もある。自衛隊が憲法に記載されなくても、誰も鬼子扱いはしないだろう。特に災害救援に関しては感謝すれどもである。自衛隊法で充分対応出来るししてきた。

基本的人権之尊重と国民主権の尊重に関しては、自民党政権に今でも充分無視されている。
重要な案件を国会に諮らず「閣議決定」などというまやかしをさせない法律が必要だ。まして平和主義を貫くためには憲法9条を前面に出す必要がある。事実かどうか未確認だが、田中角栄氏が首相だった時、ベトナム戦争に派兵するようアメリカから要請されたが憲法を盾に派兵しなかったというエピソードが残る。彼も自民党の党員で首相になった。
参考:中日新聞 2022/5/4 https://www.chunichi.co.jp/article/464233

ONCE UPON a TIME 外伝・日本で編《カビとの闘い#2》片山通夫

この方法ではカビはとれないしラリってしまう。ボクは考えた。インターネットで方法を探してみたが、これという方法は見つからない。エタノールでとれという方法はわんさかあったが・・・。次善の策でボクはとりあえず再現すべきフィルムをスキャンしてデジタル化した。そしてそれをPhotoshopという写真加工ソフトで一点一点カビを消してゆくことにした。とてもじゃないけど手間のかかる作業だった。おまけに目は疲れるし。
結構時間と手間をかけることができたのはまさにコロナ禍の結果、時間が生まれたためでもある。それはともかく千点以上のデジタル写真が出来上がった。アマゾンフォトス(Amazon Photos)にアップロードしてあるが5800点ほどある。

もちろんすべての写真がカビに侵されていたわけではない。お断りしておきたい。

ONCE UPON a TIME 外伝・日本で編《カビとの闘い#1》片山通夫

何しろ半世紀以上も写真を撮っていたのだから数だけは膨大なフィルムが残っていた。ただ残念ながら湿気とカビに侵されたフィルムもたくさんあった。いまだかな白状するとコロナ以前には見るのも恐ろしかった。そんな時、新型コロナウイルスが世界を襲った。外出禁止まがいの情報が錯綜する中で「この状態から抜け出せないなら」とフィルムの山に向かうことにした。エチルアルコールはコロナ以前に買ってあった。やわらかい綿にアルコールを浸してフィルムをこすってカビを落とした・・・つもりだった。何かのCMで見たのかもしれないが「頑固な汚れに…」というフレーズが思い浮かんだ。とれないのだ。カビが。そのうち意地になって擦る、こする…。 とれない…。汚れはがんこだった。
なんだかいい気分になってきた…。エチルアルコールで。つまりラリってきた。

急いでベランダのガラス戸を開いて換気した。

フィルムに生えたカビの頑固さよ。

ONCE UPON a TIME 外伝”グランマを読む人”片山通夫

Granma(グランマ)を読む人

グランマとは英語でgrandmotherを指すスペイン語である。カストロやゲバラがメキシコからキューバに攻め込んだ時に乗っていた中古のヨットの名前である。日本語に訳すとおばあちゃん。定員12名の本船になんと82名が乗り込んでのキューバ上陸だった。また無謀なことにカストロは事前に上陸を発表していたのでバティスタ政府軍に待ち構えられていたという。キューバ革命の詳しい情報はこちらを参照。

写真はそのグランマと名付けられたキューバ共産党機関紙を読む男。場所は旧ハバナの街角。(筆者撮影)

ONCE UPON a TIME 外伝 キューバ編 完
しばらくこのシリーズはお休みをいただきます。

 

 

現代時評《「我々は何もかも決して忘れない」ゼレンスキー大統領》山梨良平

動画にはロシア兵が短剣で、まだ生きているウクライナ兵の首をはねたと思しき光景が映し出されていた。(英エコノミスト誌 2023年4月22日号)
この動画を見たウクライナのゼレンスキー大統領は「我々は何もかも決して忘れない」と述べたとメディアは伝えた。CNNによると「ウクライナ軍は反攻には好位置にいる」と米欧州軍のカボリ司令官は米下院軍事委員会で述べたと伝えた。しかし慎重論というか、「過度の期待はせぬ事だ」と戒める説も少なくはない。 続きを読む 現代時評《「我々は何もかも決して忘れない」ゼレンスキー大統領》山梨良平

ONCE UPON a TIME 外伝”ヘミングウエイ「老人と海」#3″片山通夫

とにかく無事に陸揚げ?したカジキを解体し山分けするというので、ボクも一切れ。・・・と言っても30センチくらいの大きな一切れ。ぶつ切りだから胴体の大きさの30センチ。とりあえずその塊をもって車に乗せてもらって・・・。
「何処へ行く?」
ボクは考えた。
「日本大使館へ連れてって」
この考えは正しかった。
つまり大使館には料理人も醤油もワサビもあるのだ。
大喜びしたのは大使館の日本人一同。かくしてボクは皆さんに喜ばれながらマグロの刺身を堪能できた。(この稿完)

 

Photo&Journal P:India