現代時評《憲法》片山通夫

憲法談義が盛んだ。改正勢力がなぜか姦しい。自民党の改正案によると、自衛隊の明記と自衛の措置の言及。国会や内閣の緊急事態への対応を強化。参議院の合区解消、各都道府県から必ず1人以上選出へ。教育環境の充実。の4件だという。

一見妥当な案だと見せているが、とんでもない内容である。
・国民主権
・基本的人権の尊重
・平和主義
の重要な点は変えないというが、最も筆者が恐れるのは「緊急事態への対応」という点である。現在の法律でもたとえば「阪神淡路大震災」時の対応は「現状の法律」で充分対応することができるし、対応してきた。ただ気になる点はある。たとえば救援に外国から医師が来た。しかし彼らは「日本の医師免許は持っていない」から緊急を要する医療に携わることができない。外国の医師が目の前の患者に対応できないのは大いに問題だ。東日本大震災ではこの医師法の規定から外すよう「外国の医師免許を有する者の医療行為の取扱いについて」という緊急事態から緩和する通達が行われた。

このように法律上問題となっても臨機応変に対応できる場合もある。自衛隊が憲法に記載されなくても、誰も鬼子扱いはしないだろう。特に災害救援に関しては感謝すれどもである。自衛隊法で充分対応出来るししてきた。

基本的人権之尊重と国民主権の尊重に関しては、自民党政権に今でも充分無視されている。
重要な案件を国会に諮らず「閣議決定」などというまやかしをさせない法律が必要だ。まして平和主義を貫くためには憲法9条を前面に出す必要がある。事実かどうか未確認だが、田中角栄氏が首相だった時、ベトナム戦争に派兵するようアメリカから要請されたが憲法を盾に派兵しなかったというエピソードが残る。彼も自民党の党員で首相になった。
参考:中日新聞 2022/5/4 https://www.chunichi.co.jp/article/464233