609studio、Lapizと統合:編集室

実験的に609studio、Lapizと統合してみることになった。主体は609studioでそのサイトにLapizの記事を掲載するという案だ。
来月、12月に出す予定のLapizの記事はこのサイトにも同様に掲載してみる。

新聞スクラップ013《日本版サマータイム「1時間進めて40年戻す]》」申案判明》片山通夫

虚構新聞の記事。https://kyoko-np.net/2023102801.html

答申案は4月1日から10月31日までを「夏時間」、11月1日から3月31日までを「冬時間」と設定。夏時間の期間中は、時計の針を標準時から1時間進めた後、40年戻す。標準時の2023年10月28日午前8時は、夏時間では1983年10月28日午前9時になる。

記事は《バブル景気前夜の40年前は、消費税も介護保険料もなく、国民年金保険料も月6千円程度。日本経済が最も暑く輝いたサマータイムを暦の上で擬似体験することで、心理的な景気浮揚効果を見込む。委員会の坂本義太夫座長は「数値の書き換えは国が最も得意とするところ。早急に実施していただけるのではないか」と期待感を示す。》と昨今の不景気に対する岸田政権のぶざまな対応に警鐘を鳴らした形となった。

新聞スクラップ011《イスラエル・ガザ戦争 対立の歴史》片山通夫

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【解説】 「イスラエル・ガザ戦争 対立の歴史をさかのぼる」という記事がBBCに掲載された。
簡単にいうと戦争の歴史は1948年にさかのぼる。我々一般の日本人には非常に理解しにくい歴史だ。もっとさかのぼれば4000年以前、つまり我々の歴史でいうと縄文時代の話になるようである。

詳しくは⇒ https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-67123651

現代時評《世界大戦の危機が高まりつつある》片山通夫

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ロシアによるウクライナ侵略、そして両国の戦争は泥沼の戦争が繰り広げられていることは周知の事実だ。この戦争が二国間の戦争に収まる気配は今や見つけることはできない。プーチンのロシアは、習近平の中国、金正恩の朝鮮と言うきわめて好戦的な三カ国に集約されてきた。ロシア・北朝鮮関係は「新たな戦略的水準」にとロシアのラブロフ外相はピョンヤンで述べた。また北京で開催された「一帯一路」会議に参加したタリバンは中国との経済関係強化の方針を発表した。これに先立ち、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は18日、訪問先の中国で習近平国家主席と会談し、両国関係は世界の紛争を受けて「強化」されたとの認識を示した。一方習氏も、両氏の深い友情と、両国の「政治・経済関係の深化」をたたえた。(10月19日 AFP)

そこで見えてくるのが西側のウクライナ支援疲れである。ハンガリーは対ロ制裁科すEU加盟国と一線を画しロシアに対してきわめて融和的だと言える。アメリカや日本がこれまで同様、今後もウクライナの対ロ戦に支援を続けられるかという問題がクローズアップされてきた。そこで勃発したのが今回のガザ地区ハマスによるイスラエル攻撃の戦闘だ。アメリカは即座にイスラエルを支持しバイデンはエルサレムを訪問した。これに反発したロシアは、おそらくイランを焚きつける可能性がある。

そうそう簡単には動かないだろうが、イランはイスラエルと一戦を交える危険がある。また中国はこの混乱に乗じてフィリピンなどと領有権争いそしている南シナ海や日本と争っている尖閣列島、そして従来から主張している台湾問題を一気に片づけるという暴挙に出るかもしれない。そうすれは第三次世界大戦となる。

考えてみればロシアとウクライナの関係も、パレスチナのイスラエル問題も決して偶発的な問題ではない。そこには「因縁」ともいえる深い歴史が隠されている。そしてひょんなきっかけでその隠されていた「因縁」が顔を出す。軽いきっかけが根深い因縁と相まってどうにもならない戦争にまで広がる。

と、ここまで書いたところでCNNがイスラエル軍がレバノンのヒズボラを攻撃したというニュース。戦線が拡大する危険が高まった。

【参考】悲劇の連鎖
今からおよそ4000年前(紀元前17世紀)に、族長であるアブラハム、その子イサク、孫のヤコブから始ま、メソポタミアで発掘された紀元前2000~1500年頃の文献では、当時彼らが聖書に描かれたとおりの遊牧生活を送っていたことを裏付けています。「創世紀」には、アブラハムがカルデアのウルからカナンへと導かれ、唯一神を信じる民の祖となったことが描かれています。その後、カナン全土に飢饉が広がったときに、ヤコブ(イスラエル)と12人の息子はその家族とともにエジプトに移住しましたが、その子孫は奴隷にされたり強制労働を強いられたりするなどの憂き目にあいました。400年の隷属の後に、イスラエルの民はモーセによって解放されました(紀元前12~13世紀頃)。聖書によると、モーセはその民をエジプトから脱出させ、先祖に約束されていたイスラエルの地に連れ戻すために神によって選ばれた人でした。モーセらはシナイ砂漠を40年にわたって流浪し、その間に「十戒」を含む「モーセ五書」を授かり、一神教の教えを形成していきました。出エジプト(紀元前1300年)は、ユダヤの民の記憶に深く刻まれ、束縛からの解放と自由を表す象徴となりました。毎年ユダヤ人は当時の出来事を記念して、ペサハ(過越祭)、シャブオット(七週祭)、スコット(仮庵祭)を行っています。
第二次世界大戦中に、壮絶な迫害を受けたユダヤ人は、自分たちの国家を持つ意志を固めました。 ユダヤ人に同情的な国際世論を追い風に、1947年国連総会でパレスチナの分割案が提示されると、ユダヤ人はそれを受け入れ1948年イスラエルを建国。  (在日イスラエル大使館) ⇒ https://onl.bz/vRjtgxU

ユダヤ人が2000年の長い歴史の中で世界に離散し、迫害を受けてきた悲劇がようやくイスラエルと言う国を持ったわけ。ところがその地・パレスチナの地に根を下ろしていたパレスチナ人70万人が、イスラエルの建国によって故郷を追われた。これがパレスチナ人の悲劇。この二つが今の戦争の遠因であり、とても我々に想像できない根深いものがある。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji97/

 

新聞スクラップ010《細田氏記者会見》片山通夫

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インターネットでの反応は「ジャニーズ事件」よりもひどい記者会見だったと悪評ふんぷん。
「ここまで生き恥を晒せるのは逆にすごいよ」と言うインターネットの声・・・。細田衆院議長 辞任会見“打ち切り”で大荒れ 旧統一教会と接点も…「問題ない」(ANNnews2023年10月13日)
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=t08C7q5BQMY

現代時評plus《軍靴の音が聞こえる!》山梨良平

インターネットから

突然、現地時間10月7日パレスチナ・ガザ地区のハマスからイスラエルに対して攻撃が始まった。無論、ロシアとウクライナの戦争は続いている。
ロシアはウクライナがEUやNATOに加盟することを嫌い、ロシア側に引き留める為に、現政権を親ロシア政権をウクライナに樹立・干渉するために攻め込んだ。ところが西側が一致
一方、イスラエルはもともと緊張状態だったパレスチナとのにらみ合いのバランスを崩そうとしたパレスチナ・ガザ地区を実質支配しているハマスが、一方的に先陣を切ったので、現在の状況になった。この遠因にはイスラエルとサウジアラビアの接近があったと思える。
ハマスの後ろにはイランが、その後ろにはロシアがいる。またイスラエル最大の同盟国はアメリカであり、イギリスである。
この図式で考えると、ロシア、中国、北朝鮮をはじめ、アフリカ諸国などのグループとアメリカ、イギリスを中心としたグループのせめぎあいが見られる。そのうえ、中国は南シナ海で覇権を振るって、フィリピンなどと海の領土争いに余念がない。勿論日本も尖閣列島の領有権で中国と対峙している。また、中国は台湾に攻め込むと公言している。

こうなると世界はロシア・中国グループと、アメリカ・西欧グループに分かれてそれぞれの力を誇示し、各地で小競り合いを始める危険が、そのうち両グループの大規模な戦争に発展する気がしてならない。その小競り合いが、ロシアとウクライナの戦争であり、アメリカの代理国・イスラエルとロシアとイランの代理であるハマスの戦いが今始まったばかりだと思える。

無論これらの戦争が人間の英知で避けられることができれば良いのだが、前世紀の例を見てもそれは夢でしかないのかもしれない。

註・ハマス:パレスチナのスンニ派イスラム原理主義、過激派、民族主義組織である。社会奉仕組織「ダワ」と軍事組織「イズ・アッディン・アル・カッサム旅団」を擁する。2006年のパレスチナ立法選挙で勝利し、2007年のガザの戦いの後、ガザ地区の事実上の統治当局となった。

CNN 全記事一覧     https://www.cnn.co.jp/archives/
AFP ウクライナ危機   https://www.afpbb.com/?cx_part=nav
共同 ウクライナ侵攻  https://www.47news.jp/world/ukraine
BBC ロシア・ウクライナ戦争 https://www.bbc.com/japanese/60631515

 

現代時評《中国非難 安易に乗るな」片山通夫

昨今中国への非難論調が、マスコミ、政治家、それに乗っかった右翼的な人々などが多くなった。安部政権以来、岸田政権に至る現在まで、何かと言えば中国非難である。仮想敵国ではなく立派な「敵国扱い」だ。汚染水(処理水)放出に関して、中国は日本からの魚介類の輸入を全面禁止措置をとった。 続きを読む 現代時評《中国非難 安易に乗るな」片山通夫

新聞スクラップ「北朝鮮人権報告官・・・」片山通夫

中央日報日本語版2023.09.10 12:21

訪韓中のエリサベス・サルモン国連北朝鮮人権特別報告官が8日、中央日報とのインタビューで「北朝鮮に拉致された人、抑留者、韓国軍捕虜の家族は社会から忘れられることを最も恐れている。強制失踪条約など国際法的枠組みの中で北朝鮮の拉致・抑留問題が早く解決されるようあらゆる措置を取らなければならない」と強調した。

現代時評plus《決してカッコいいものではない。」片山通夫

朝鮮戦争

ロシアとウクライナの戦争に加えて、パレスチナ・ガザ地区のハマスとイスラエルの戦争が始まった。この戦いはおそらくイランなど周辺国が参加する可能性がある。イラクやイランがロシアの後ろ盾で、そしてアメリカやイギリスがイスラエルに肩入れする。
無論わが日本もアメリカの尻馬にのって早速日本国内でキャンペーンを始めたようだ。
ロンドンやパリではテロの脅迫が頻発している。これらの町では戦争に反対する民衆のデモが繰り広げられている。きっと第三次世界大戦勃発前夜の様相を帯びてきたのではないか。

AFPは「サウジアラビアがイスラエルとの正常化交渉を停止」したとの情報があると伝えた。また韓国軍の輸送機が13日、イスラエル・テルアビブの空港に到着した。韓国人と親族、関係者らが搭乗した後、同機は韓国に向けて出発した。またイスラエル退避の邦人51人、ソウル郊外に到着 上川外相ら韓国に謝意を述べた。
一方、イスラエル出発のチャーター機、ドバイ到着 邦人8人搭乗。
【解説2023年10月11日】ハマス襲撃、各国の犠牲者まとめ。
https://www.afpbb.com/articles/-/3485733

いつももどかしい思いをするのだが、いち早く救出の航空機を派遣する韓国とそれに同乗させてもらう日本。我が国には法律的制約があるのか。もしあればどのような制約だろう。
安部政権時代、韓国とは最悪の関係だった時期がある。国内の書店には「嫌韓書物」が山のように積み上げられていた。あまりいい気持のものではなかった。

それはともかくウクライナやガザ地区などの映像をテレビで見ることが多いが、是非その映像から戦争は「決してカッコいいものではない」という思いを持ってほしい。

新聞スクラップ009《「NGは仕方なかったのでは」という記者たち》片山通夫

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デイリー新潮(2023年10月07日)がジャニーズ会見「望月衣塑子記者の暴走」を見た東京新聞記者たちの本音「迷惑なんですが…上層部は問題にしていません」

「昔は、朝日や読売を打ち負かす特ダネを取ってくる優秀な事件記者だったんですがね…」。こう嘆くのは、東京新聞のベテラン記者である。ジャニーズ事務所の会見を「茶番だ」と騒ぎ立てる東京新聞・望月衣塑子記者(48)の“暴走”が止まらない。同僚たちは彼女の振る舞いをどう思っているのか。“本音”を聞いた。と書きだした。《デイリー新潮(2023年10月07日)》
以下本文参照 https://www.dailyshincho.jp/article/2023/10070600/?all=1

なるほどこういう見方もあるのかと驚いたが、考えてみれば内閣記者会だか、いわゆる記者クラブの弊害が顕著だ。

「ジャーナリズムとは何か」と改めて考えさせる記事だ。

前回のスクラップ007で述べた埼玉県議会の「虐待」防止条例案では県庁詰めの記者たちはどうしてるんだろう?

新聞スクラップ008《やばい自民党・埼玉》片山通夫

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東京新聞電子版(2023年10月6日 21時55分)
「埼玉県で子育てしたくない」? 子どもだけの外出・留守番は「虐待」とする自民の条例改正案に保護者反発

なんでも自民党が県議会に提案し委員会で可決された。《「放置」見つけたら県民に通報義務も》あるという。これではひとり親や共働きの家庭は子育てが出来ない。保育園の充実が先決だろう。旧ソ連時代の「ピオニール※」の再現か、それとも戦時教育の再現か?
なんとなく「旧統一教会」の影を感じる。

※ソ連邦における10歳から15歳までの少年少女を対象とする児童組織,少年団。 英語ではピオニール。 ピオネールの掟の中にはすべての子どもの模範となること,コムソモール(青年共産同盟)に入る準備をすることが掲げられていた。
追記:結局取り下げました。

現代時評《貴方は「消耗品」、戦争は突然勃発する!》片山通夫

現在行われているロシアとウクライナを見たら明白であり、今更説明も必要ないと思うが、それでも・・・。

ニューヨーク・タイムズは2023年8月18日、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻で、これまでにウクライナ軍のおよそ7万人、ロシア軍のおよそ12万人が死亡したとするアメリカ政府当局者の見解を伝えした。 この他に両軍合わせておよそ30万人のけが人が出ているとしている。一方、真贋は不明だが、ウクライナ軍発表ではロシア軍戦死者27万人。日本の自衛隊総数25万人が消滅するほどの犠牲者が出ているとした。 続きを読む 現代時評《貴方は「消耗品」、戦争は突然勃発する!》片山通夫

現代時評《人間の器》山梨良平

TVニュースより(日本テレビ)

通常能力や性質からみた、人間の大きさを指して「度量」と言う言葉を使う。
もう何時の頃かは忘却の彼方においてきたが、以前は政治家にも、与野党通じて「広い度量の人物」はおられた。 別の言葉で表現すると「器が大きい人物」を指すのだろう。

しかし昨今の自民党のみならず与野党に度量の広い人物は見当たらない。たとえばこのほど、杉田議員のアイヌ民族を侮辱する表現について、札幌法務局が「人権侵犯の事実があった」と認定していたことが分かった。具体的には「会議室では小汚い格好に加え、チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」と自身のブログの書いたことを指すらしい。彼女は「落選中で一般人だった」と言い訳した。 続きを読む 現代時評《人間の器》山梨良平

新聞スクラップ005《人間失格」の太宰治、薬物中毒の症状記す井伏鱒二の書簡確認…「妄想口走つてゐる》片山通夫

井伏鱒二氏

作家の井伏鱒二(1898~1993年)が、パビナール(麻薬性鎮痛剤)の中毒に苦しんでいた弟子の太宰治(1909~48年)の入院中の症状を記した全集未収録の書簡が確認された。

読売新聞2023/09/27 10:48

現代時評《福田村事件にみる日本人の差別観》井上脩身

映画「福田村事件」ポスター

関東大震災から100年がたった9月1日、私は大阪の映画館で映画『福田村事件』を見た。千葉県福田村(現・野田市三ツ堀)で起きた売薬行商人惨殺事件を核に、震災のパニックから朝鮮人虐殺に至った時代背景に迫ろうとした意欲作だ。だが、闇の中に埋もれていた福田事件をえぐり出して世に知らしめたのが、辻野弥生さんの力作『福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇』(五月書房)であることを、映画のどこにも示されていないことに違和感を覚えた。映画は、大正デモクラシーに並行して、水面下で軍国主義が進む中で事件が起きたことに力点を置いているが、この事件の本質は、朝鮮、朝鮮人に対する日本の国や人々の差別観ではないのか。辻野さんが探り出した事件の真相から、私なりに福田事件を考えてみた。

前掲書によれば、地震発生から五日後の9月6日午前10時ころ、売薬行商人の一行14人が茨城県方面に向かおうとして福田村にさしかかった。一行は香川県西部の三つの被差別部落の出身者で、支配人に率いられ、薬を積んだ車を引いて各地を回っていた。同村三ツ堀の神社の境内で休んでいた一行を自警団が見つけ、「鮮人の疑いがある」として尋問したところ、四国弁で語ったことから「全くの鮮人」と判断、警鐘を打ち鳴らして急報、隣村にも応援を求めた。武器を携えた数百人が神社に殺到、行商人一行を包囲し、「朝鮮人を打ち殺せ」と騒ぎ立てた。行商人たちが「私たちは日本人」と弁明につとめたが、群衆となった村人は耳を貸さず、荒縄や針金で縛り、とび口、こん棒などで殴打したうえ、「利根川に投げこんでしまえ」と怒号。渡船場から9人を川に投げ込み、8人をでき死させ、1人を対岸で殺した。ほかの5人は警察官が駆け付けたため殺害を免れた。死者のなかに2~6歳の子どもが3人いたほか、胎児も1人いた。

福田村の自警団は行商人一行をなぜ朝鮮人と判断したのだろうか。一行の語り口に讃岐なまりがあるとしても、彼らは各地を回って商売をしているのだから、福田村でも言葉が通じないということはあり得ない。私は映画で『福田村事件』を見たあと、このことに思いをめぐらせた。浮かんできたのが

・「綿々と続く朝鮮蔑視」
・「よそ者を排除する排他性」
・「おかみ絶対姿勢」の3点である。

まずは朝鮮蔑視。日本の文化は中国から朝鮮半島を経て伝わってきた。島国であるため、ほかに行き場がなくて醸成され、高い文化をつくりあげた。そのおごりであろうか。天智天皇時代の663年、朝鮮に軍を進めた(白村江の戦い)のを皮切りに、1592年、豊臣秀吉による朝鮮出兵(文禄・慶長の役)、1873年、西郷隆盛が朝鮮出兵を主張(征韓論)、日清・日露戦争を経て1910年、韓国併合。1944年の敗戦に至るまでの日本の歴史を概観すると、日本は朝鮮半島を支配しようとし続けてきたことがわかる。こうした国の姿勢が国民のなかに朝鮮蔑視観を植え付けることになった。

日本人の排他性は二つの構造からなる。一般的なよそ者排除と、自分より下位とみた者に対する攻撃的排除である。江戸時代の鎖国政策も重なって、日本人はよそ者を受けつけない体質になっていた。それでも欧米など経済的に上位の国の人々には迎合するが、下位とみなす人たちには容赦なかった。その典型が被差別部落の人たちに対するあからさまな差別である。この体質は貧困層にも向けられる。街の美観や秩序保全の名目でホームレスを排除するのは、本質的には貧者への差別なのである。

おかみへの絶対姿勢は、国民を思い通りに操るため、権力者が町内会組織などを通じて国民に強いるものだ。権力機構が強大であればあるほど国民はその網のなかにがんじがらめにされる。日本の場合、労働運動が盛んだった戦後の一時期を除いて、おおむね保守政権が政治を掌握しており、おかみに逆らうことのできない状態がつくりだされてきた。

以上の3点から福田村事件を分析した。
関東大震災後の朝鮮人虐殺は、地震のあった9月1日夕、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「日本人を皆殺しするため火をつけた」などというデマから始まった。3日、内務省警保局長名で「朝鮮人が各地で放火しており、不逞鮮人に厳密なる取り締まりを」と全国に打電。おかみの言う事は絶対である福田村の人たちは早速自警団を組織、「不逞鮮人」に備えた。農村地帯である同村では、現実の朝鮮人に接した人はほとんどいなかったであろう。したがって、朝鮮人の人となりを知らず、長い間培われてきた差別観だけが増幅した。冷静に考えれば売薬行商人一行が朝鮮人でないことはすぐに分かったはずだ。しかし、彼らは貧しい行商人である。朝鮮人であろうとなかろうと、自分たちより下位とみなした貧者に対する差別観によって攻撃したのである。村人一人一人は善人であろう。群集心理が加わって、火山のマグマのように、それぞれが悪魔と化し、暴発したのである。

100年後の今はどうか。朝鮮人差別、被差別部落民への差別、貧しい人への差別、よそ者排除、そしておかみ絶対姿勢。これらは過去の時代の話とは言い切れるであろうか。
首都直下型地震が30年内に70%の確率で起きるといわれている。今起きてもおかしくないということだ。SNSによって情報があっという間に広まる時代だ。関東大震災の頃とは比較にならないほど、多くの外国人が暮らすなか、にわかにデマと判別できない情報が飛び交うに違いない。そうしたとき、「差別だけは許さない」という確固たる信念を持ち、かつ貫けるのか。AI化が進むなか、問われるのは人間性なのである。

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