現代時評《貴方は「消耗品」、戦争は突然勃発する!》片山通夫

現在行われているロシアとウクライナを見たら明白であり、今更説明も必要ないと思うが、それでも・・・。

ニューヨーク・タイムズは2023年8月18日、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻で、これまでにウクライナ軍のおよそ7万人、ロシア軍のおよそ12万人が死亡したとするアメリカ政府当局者の見解を伝えした。 この他に両軍合わせておよそ30万人のけが人が出ているとしている。一方、真贋は不明だが、ウクライナ軍発表ではロシア軍戦死者27万人。日本の自衛隊総数25万人が消滅するほどの犠牲者が出ているとした。

また2023年9月30日、「ロシア 新たに13万人徴兵の大統領令署名 一方的併合4州も対象」とNHKが伝えた。およそ1年前の動員数は30万人。ロシアの兵員は不足しているとみられる。
またワグネルはおよそ1万人の囚人を刑務所でスカウトした模様。(NGO団体「ロシア・ビハインド・バーズ」調べ)この情報が正しいと、先に述べたロシア軍戦死者27万人も、あながち誇張された数字ではないかもしれない。

一方のウクライナは国民皆兵で18~60歳のウクライナ人男性は1240万人。ただインフラの維持のため、また病気や怪我で軍務につけない人も勿論いるが、18~60歳のウクライナ人男性は推定1240万人。この人数には現役兵である約21万人のうち、女性約3万人を除外したおよそ18万人が含まれますから、「ウクライナ人で徴兵できる男性人口」は概ね1225万人ほど。この1225万人を根こそぎ動員(44.2%)すると、約541.5万人が兵力になる計算。

日本の場合(2023年9月20日公表)、 15~64歳人口は7401万人で、総人口は1億2157万6千人。国民皆兵制度で計算をすればウクライナの数を大きく上回る。
問題はそれからである。仮想敵国が海を渡って攻めてきた時、当然自衛隊が矢面に立つことになる。その背後に国民から動員された兵士がにわか軍隊として控えることになろう。
いや、もしかすれば先の戦争時のように、矢面に立たされるのは国民から動員された兵士で、つまり気がつけば前線で戦っていたと言うことになりかねないのが、我が国なのかもしれない。ただ徴兵制でないので、考えにくいが。

最近の戦争は「肉弾戦ではない」と思っていた。しかしロシアとウクライナの戦争を見る限り、ドローンや電子機器を駆使した戦争だけでは決してないようだ。
先の戦争での沖縄での戦いを今ウクライナで目の当たりにしている。遠距離でのミサイル攻撃、ドローン(無人機)攻撃のみならず、戦車での戦いが多く見られる。つまり「肉弾戦に近い」のである。

戦車での戦いや海域での戦いでは、国民は「消耗品」で「死ぬのはあなた、儲けるのは政治家や大企業」と言うことになる。ウクライナでの両国の損失を見れば、結局死ぬのは「あなた」なのだ。

決して現行の憲法の改悪を赦してはならない。また日頃からの外交努力を怠ってはならない。たとえばフクシマの汚染水を海洋に放出したことにも筆者はいささか疑問に思える。強硬に反対している中国にどれほど理解の努力を日本はしたのか。IAEAがお墨付きを与えたかのような論理は疑問だし…。
戦争はこの例を見ても「突然勃発する」のだ。今からでも遅くはない。SNSででも「戦争反対」を訴えよう。そして選挙に行って批判票を!

写真:2023年3月、ウクライナ東部バフムト近郊のロシア側の陣地を目標に、自走カノン砲「2S7ピオン」で砲撃するウクライナ兵