現代時評《「言わんこっちゃない」なんて言ってももう遅い》片山通夫

安部晋三氏が暴漢に銃撃されて亡くなった。その2日後に参議院選が行われた。結果はごらんの通り、改憲勢力が身長した。岸田首相は「(改憲)発議のための『3分の2』結集のために努力を続けて、できるだけ早く発議をし、国民投票に結びつけていく」と述べた。

自民党に投票された方は同党の改憲案を知っての投票だったのか疑問に思える。今更だが現在出ている同党の案を次にあげる。。
http://satlaws.web.fc2.com/0140.html
かなり激しい改憲案だ。しかしこの案がそっくりそのまま改正(悪?)されるとは、思ってはいまい。きっと100言って20でも通ればいいだろうという心積りなのかもしれない。いや、このような案がすでに国民の前に提示されて、そのうえで今回の選挙を戦い勝利をおさめたのだから、もうほとんど国民の大多数の理解を得られたと思い込んでいるかもしれない。
こうして現行の憲法をいじることに血道をあげる輩が多くなってきた。 “現代時評《「言わんこっちゃない」なんて言ってももう遅い》片山通夫” の続きを読む

現代時評plus《「一体いくらもらったの?」と疑いたくなる》片山通夫

安部元首相が暗殺されてテレビ界をはじめ、マスコミは奇妙な状態になっている。犯人はすぐその場で捕まったが、今までテレビ界で盛んに安部ヨイショしていた評論家だの元政治家だのなんとか学者たちは、犯人と旧統一教会との関連をしゃべりだしたのに対して「およそ論理破綻としか思えない論理」で「安部とくだんの旧統一教会」の関係」を「単なる儀礼的な、もしくはなかったことに」しだした。
彼らの発言をいちいちここで取り上げるつもりもないが、あまりにも無責任な発言には驚かされる。 “現代時評plus《「一体いくらもらったの?」と疑いたくなる》片山通夫” の続きを読む

現代時評《参議院選を控えて》片山通夫

ウクライナ侵攻

10日が参議院選の投票日。自公および維新など憲法改正派ともいうべき政党は今の国際情勢を「利用」して勝利を目指している。北朝鮮の核脅威、中国の台湾政策、ロシアのウクライナ侵攻などきな臭いどころではない状況で危険をあおっている。例えば筆者が知った限りでは北朝鮮のミサイルや核実験などに「厳重」な「抗議」は、従来指摘されているように、北京の北朝鮮大使館に、北京の日本大使館から、ファクスにより抗議文を送付》するにとどまっているようだ。
片やミサイルをぶっぱなし、今一方は「ファックスで抗議」というバランスの悪さに恐れ入る。
以上を踏まえて参議院選のポイントを考えてみた。 “現代時評《参議院選を控えて》片山通夫” の続きを読む

現代時評《勝敗分けるドンバス攻防戦》井上脩身

ロシアがウクライナに侵略戦争を始めて4カ月がたった。ロシアは現在東部ドンバス地方に戦力を集中させている。ドンバスを完全制圧して属国にするのがプーチン大統領の狙いであることは、「ネオナチストから守る」とのプーチン氏の発言から見て明らかである。この目的達成ために周到に用意されたプロパガンダの結果であることが、最近上映された映画『ドンバス』を見てわかった。ドンバス地方には「ウクライナ兵はファシスト」と信じて疑わない人が少なくないのである。ウクライナ軍が、NATO諸国からの兵器の支援を得て東部戦線のロシア軍を押し返すことができても、住民たちに植え込まれた反ネオナチス感情を払拭するのは難しい。ウクライナ側にとって、この戦争はいま極めて厳しい局面にさしかかっている。 “現代時評《勝敗分けるドンバス攻防戦》井上脩身” の続きを読む

現代時評《東アジア波高し」と煽る勢力が跋扈する。》片山通夫

台湾の霊峰ミサイル。量産?

6月13日の産経新聞(電子版)をみて驚いた。《「北京はミサイル射程内」台湾の立法院長が公言》とある。台湾の游錫?(ゆう・しゃくこん)立法院長(国会議長に相当)は12日、台湾メディア主催のオンライン講演会で「われわれには北京を射程圏に収める雲峰ミサイルがある。中国が台湾を侵略する前によく考えてほしい」と発言した。中国が台湾の武力統一に踏み切った場合には北京を攻撃する可能性があることを強く示唆した。 “現代時評《東アジア波高し」と煽る勢力が跋扈する。》片山通夫” の続きを読む

現代時評《理不尽が死を招く!》片山通夫

クライナの首都キーウ(キエフ)近郊・ブチャの道ばたには、後ろ手に縛られ、頭部に銃弾を受けた男性が倒れていた。(インターネットから)

我々は毎日人が亡くなったニュースを目にする。しかしそれはこう言っては良くないが所詮他人事である。原因は様々だ。病気だったり事故の場合もあるだろう。災害も考えられる。本当に思わぬ所に危険は潜んでいる。このように死は必ずいつか訪れる。ほとんどの人は、日頃そんなことを考えずに生活している。機会があれば、神仏にお願いする程度だろう。

 

そうして人は生活を楽しみ、また苦しむ。

一方理不尽だが世の中には戦争と言うものがある。大抵の場合、戦争もしくは紛争は個人の意志とはかけ離れたところで発生する。今起こっているパレスチナとイスラエルの紛争は第二次大戦の結果だ。簡単に言うとイスラエル人に戦勝国である米英がお前たちの居場所を作ろうなどと安請け合いした。しかしややこしいことに、その場所は旧約聖書に掲載された場所だった。エルサレムである。
少し説明をしておきたい。何がややこしいかと言うと、エルサレムは世界最古の都市の一つで、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖市とされている。そしてユダヤ教を信じるイスラエル人はこのエルサレムを首都としている。最も国連ではこれを認めてはいない。アメリカのトランプ前大統領が現職の時、テルアビブにあった米大使館をエルサレムに移して物議をかもした。
一方のパレスチナ自治政府は東エルサレムを「パレスチナ国の首都」と主張している。
この三つ巴の混乱は、ひとえに第二次世界大戦後の英米の勇み足だったと筆者は考える。煮えたぎる坩堝に手を突っ込んだわけだ。

そして今年2022年2月24日、プーチンのロシアは隣国ウクライナに攻め込んだ。ウクライナは広大な面積を持つ農業国で、ソ連時代は「穀倉地帯」と大切にされた。世界の食料の何割かを生産していた。今、世界の食料価格が上がっているし、絶対量が不足しているという国連の報告もある。ロシアがウクライナの小麦を「強奪」しているという報道も見られる。エジプトに売る話を持ち掛けたが、エジプトは断ったらしい。「強奪された小麦=盗品」を買って世界から避難されるよりもというわけなのかもしれない。
ともあれ、ウクライナでは一般市民が理不尽に殺されている。派遣されて戦っているロシア兵も、それを迎え撃つウクライナ兵も理不尽に殺されている。

報道によるとロシア兵は「演習」と言われていつの間にかウクライナとの戦争に参加していたという、信じられない状況も起こっているようだ。無論「演習などではなく」実戦で、それも同じスラブ系の民族だと言われるウクライナ人が相手。厭戦気分も脱走する兵も理解できる。

エルサレムをめぐる対立もウクライナに侵攻したロシアも庶民にとっては理不尽そのものだといえる。ましてそのために殺された人にとっては。
今もその理不尽が世界で進行している。

エルサレム問題⇒https://is.gd/b66WKH
ウクライナ問題⇒https://is.gd/Ic4EwA

現代時評《ロシアのインフラが危ない》片山通夫

ロシアでは最近旅客機はソ連時代のイリューシンからエアバスやボーイングにシフトしてきた。筆者も以前はサハリンへ行くのにアントノフ24(写真)と言うバスのように小さいプロペラ機(ターボプロップ)で通った。ところがある時から夏季にはボーイングに変更になった。ユジノサハリンスクの航空会社の窓口の女性は「機材はボーイングよ」といささか得意げだったことを覚えている。アントノフはウクライナの航空機製造会社だ。ロシアの侵攻後にロシア兵が「史上最大の重航空機」にして「史上最も重い航空機」であり、「現存する世界最大の航空機」であるアントノフAn-225を大破させたことは記憶に新しい。

余談はさておき、ロシアのウクライナ侵攻で西側諸国によるロシアへの経済制裁で思わぬところで影響を受けているのがインフラだ。航空機を例にとってみると、先に述べたようにエアバスやボーイングと言った西側の機材が使われている。ところが経済制裁によって航空機のメンテナンス部品が入らなくなった。定期的に交換しなければならない部品が入らないと航空機の安全は保証できなくなる。これは重大事故につながる恐れがあることは自明の理だ。以前筆者がウクライナのキエフ空港でヘリコプターを待っていたことがある。チェルノブイリの取材だった。ところが一向に搭乗出来ない。2時間も待っただろうか。ようやく乗ることができたが、本来乗るはずの機材に不具合が生じたらしい。そこで同型機のパーツを外して取り付けるのに時間がかかったと言う。
今、ロシアではそのような事態があちこちで発生しているのではないかと思う。経済制裁は思わぬところで思わぬ結果を生む。ロシアの新幹線にも影響が出ていると朝日新聞が報じた。新幹線の車両を製造するドイツのシーメンスが、ウクライナ侵攻によってロシアから撤退した。この鉄道は、サンクトペテルブルグ出身のプーチンの肝いりでモスクワ⇔サンクトペテルブルク間を走る。朝日新聞によると「存続の危機」らしい。
このような思わぬ事態がロシアでも起こっている。いや戦争が長引き事態が今以上に悪化すれば、ロシアの社会は混乱を極め、国民のプーチンへの不満が爆発する可能性も大だ。

そういえばまだソ連崩壊の記憶も新しかった2000年頃のサハリンでは誰もロシアの銀行やルーブルそのものを信用していなかった。一方でソ連時代と違って海外へ行くことがそれほど難しくなくなった。そこで目を付けたのが外国人の財布だ。と言っても泥棒やすりをするわけではない。外国の旅行者にとって必要なルーブルを銀行でなく、個人で外貨と交換して「タンス預金」する。そしてそれを貯めていつかは外国へ出かけるという遠大な計画をロシア人たちはたてていた。しかしウクライナ侵攻以前の生活を知ってしまった庶民はどの様に感じるのかはわからない。

現代時評《プーチンの誤算》片山通夫

プーチン大統領(インターネットから)

抜き差しならないように見える。いやロシアの今のことだ。もっと言えばロシアのプーチンの今のことだ。先日5月9日、世界が注目する中で対独戦勝記念日を祝った。大方の予測を裏切って「ウクライナとの戦争」とか「戦略核攻撃の可能性」とかはプーチン大統領の口からは出なかった。
一方、報道などで伝えられるウクライナでのロシア軍の状況は決して芳しいものではないようだ。
《ロシア軍 将官クラス「7人死亡」報道の衝撃 専門家は「旧日本軍のインパール作戦と似た状況か」》と指摘する向きもある。プーチン大統領のイライラはおさまりうそうもない。 “現代時評《プーチンの誤算》片山通夫” の続きを読む

現代時評《ラスプーチンとキリル総主教》片山通夫

グリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチン Григорий Ефимович Распутин (ウイキペディア)

先ごろ、「カトリック教会のリーダーがロシア正教会のリーダーとウクライナの戦争について話をしました」と、CNNが伝えた。フランシスコ教皇がイタリアのメディアに明らかにしたもので、ロシア正教会のキリル総主教に「プーチンの言いなりにならないよう説得」したという。。40分の会談でキリル総主教は「我々は戦争をしたくない。ロシアは誰にも攻撃したことはない」。プーチンとキリル総主教は所謂盟友だと言われている。出身は二人ともサンクトペテルブルグ。キリル総主教は教皇との会談の冒頭、書面を片手に持ち、戦争を正当化する理由を20分間にわたって読み上げたという。これに対して教皇は「私はそれを聞き、『全く理解できない』と言いました。我々は国家の聖職者ではない。イエスの言葉で話さなくてはならない。総主教はプーチン氏の侍者になることはできない」、つまりプーチンの言うがままになるべきではないと話したということだったが、総主教は聞く耳を持たなかったようだ。 “現代時評《ラスプーチンとキリル総主教》片山通夫” の続きを読む