現代時評《騒乱 マイナンバーカード》山梨良平

この稿を書くにあたって、例によって「騒乱」の意味を辞書で調べてみた。「騒乱」とは「事変が起こって、社会の秩序が混乱すること。 また、そのような事変。」を指す。
ロシアでは、ワグネルのクーデターもどきがおさまって一息ついているようだが、ロイター通信が《世界は「プーチン後」に備えを、ワグネル反乱で動き始めた時計》とコラムに書いた。何はともあれ、水面下では単に収まったとは言えないようだ。
所で我が国の「騒乱」だが、現在のところマイナンバーカードに尽きるようだ。ほとんど毎日と言っても過言ではなさそうな騒ぎになっている。とうとう「返納騒ぎ」だ。政府も巨額の予算を使って始めたカードなのだから、今更「はい、そうですか」と撤回するわけには行かないのだろう。しかしことは国民の安全(健康)にかかわる事態になってきた。来秋には「紙の保険証」をマイナンバーカードに切り替えると言うのだが、なかなか実際はそうは行かない事態だ。

ここで筆者が把握できたトラブルを挙げておく。 (順不同)
*本人ではない家族名義の口座 13万件
*別人の公金受取口座 748件
*マイナンバーカード保険証に別人の情報 7300余件
*別人の証明書発行など
*預金口座の氏名の「ふりがな」がなく、漢字のみが登録

国民の矛先は河野デジタル相に向かっているようだが、根本原因は政府の計画性と融通のなさだろう。過去にも「一旦決めて予算化すれば」途中で中止や廃止という小回りが効かないのが政府であり自民党なのだろうと思える。しかしそれは国民の利益にもならないし、国家予算の喪失にしかならない。どこかの政党が「身を切る改革」と言っているが、実際に政府が「身を切る」必要がありそうだ。この政党もこんな時は「他人事」だから自ら火の粉をかぶる気もなさそうだが。

今、我が国のマイナンバーカードをめぐる有様は「騒乱」と言うに値する。