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連載コラム・日本の島できごと事典 その96《ごみ騒動》渡辺幸重

<国内最大級の産業廃棄物の不法投棄により、「ごみの島」と呼ばれた瀬戸内海の離島・豊島(てしま)=香川県土庄(とのしょう)町=で、20年余りに及んだ処理事業が終了し、県が30日、現地を公開した。>
 これは今年3月31日の毎日新聞朝刊に「香川・豊島 ごみの山消えても残る地下水汚染 産廃処理事業終了」という見出しで掲載された記事の冒頭部分です。豊島は四国・高松港の北約12kmの瀬戸内海に浮かぶ島で、四方を島に囲まれた多島海美の中にあります。1970年代後期からこの島に有害産業廃棄物が大量に投棄されるようになり、住民に健康被害が出るようになりました。島の住民は激しい撤去運動を繰り広げ、2003年に成立した産廃特措法に基づいて2019年7月までに総計約91万3,000トンの廃棄物と汚染土が豊島の西約4㎞にある直島に運ばれ、香川県が建設した「直島環境センター中間処理施設」で焼却・溶融化処理されました。そして今回、汚染地下水を浄化する高度排水処理施設の整備や整地作業が終わり、「わが国初の汚染地修復の国家的取り組み」と言われた処理事業が完了したと報道されたのです。
 ちなみに、廃棄物と汚染土の総量は毎年処理対象量の見直しがあり、2012年7月には最大の93万8,000トンが見込まれましたが、2017年に搬出がいったん完了したあとに発見された産廃・汚泥を含めて最終的な量は処理約91万3,000トンとされています。 MORE