現代時評《国の矜持》片山通夫

 参議院選が終わった。安倍首相は夏休みとばかりにゴルフ三昧だそうな。まあご自分の小遣いでやられるのはご勝手にだが、戦闘機の爆買いや、外遊のたびのバラマキはもう少し国民の懐具合や生活事情を見てからにしてもらいたいものだ。

 先週の木曜日26日、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、職員2人を含む26人が重軽傷を負った事件は発生から3年を迎えた。関係者はまだまだ癒されないだろうとおもう。

 そこでふと思った。知的障害者を始め、様々な持った人を抱える家族はおそらく公的なもっと手厚い保護を望んでおられるだろうと。

 もし自分の子供が何らかの障害などをもって生まれたならば、親である自分が生活を共にできる間はまだしも、自分が亡くなった後のことを思えば、いてもたってもおられないと思う。

 我が国の体裁(大国たる見栄??)を考えるなら、戦闘機の爆買いやバラマキは決して良い策だとは思えない。すべての国民が平穏にその人生を終えることができるような政策をとることが、大国の矜持だと思うのだが。

現代時評《参議院選後の地獄がやってくる》片山通夫

 参議院選が終わった。結果はご承知の通り。細かいことはさておき、この後我が国は修羅場を経験するような予感がする。まず対米貿易。5月のトランプ訪日時に日米首脳が会談して「貿易交渉、8月に発表」と彼は話した。

 とりもなおさず安倍は選挙後に持ち越させたわけだ。その選挙が昨日終わった。トランプはこの選挙が終わるのを首を長くして待っていたことだろう。彼の言う「貿易赤字」を解消する機会がやってきたわけだから…。次は自分の選挙だ。国内的に立場を強くしておきたい。ましてイラン情勢が極度に不安定だ。米軍をホルムズ海峡に投入しなければならないかもしれない。しかし戦争は避けたい。米軍に犠牲者が出れば選挙どころの話ではなくなる危険がある。そこでうまいことを考えた。「有志連合」という連合軍の構成である。

 今後安倍は対イランへの融資連合への自衛隊の参加をもくろみ、農作物の輸入に関して大きく譲歩するだろう。その時日本の農家は壊滅的な打撃を受ける。一方自動車の対米輸出はもう作物の関税撤廃とバーター取引のごとく交渉するのではないか。

 参議院選の結果は出た。かろうじて改憲勢力の力はそぐことはできたが、これも薄氷を踏む思いだ。結局死んだふりをした国民が馬鹿を見ることになりそうだ。

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◆現代時評《打ち出の小づち》片山通夫
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 安倍首相が26日に通常国会閉幕に際して会見でこう言い放った。
現行の年金制度維持する考えを示して「打ち出の小づちない」

 これは老後の生活費が2千万円(一説には2千9百万)不足するとされた問題で、国民の年金への関心が高まる中、「負担を増やすことなく、給付だけを増やすことなどできない。年金を増やす打ち出の小づちは存在しない」と述べたようだ。
 
 この男、国民の生活よりも「トランプにゴマをする」、「外交の安倍を気取る」ことにだけ、頭が回るようだ。いったいトランプからいくらの武器を買わされたのか、また用もないのに外国へ出かけて金をばらまいたのか。
 例えば北方領土に関して言えば、まんまとプーチンにしてやられて、何千億だか、上納したようだ。
 ワシントンポストは次のように伝えた。
《北方領土問題を巡る日ロ交渉に関する特集記事を掲載、日本が目指していた20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)におけるロシアとの平和条約大枠合意の希望はついえたとした上で、安倍晋三首相が「2島プラスアルファ」という大きな譲歩をしたにもかかわらず、プーチン・ロシア大統領は逆に態度を硬化させたと指摘。プーチン大統領が日本の経済協力に向けた意欲を引き起こすため、取引が可能との印象を与えてきたとも強調した。》

一方、トランプから買い取った、もしくは買い取る予定の武器の総額はいったいいくらになるのだろうか。その上に日米安保は不公平だと…。この上なお金を引き出すつもりのようだ。

 この男の小づちは外国だけに向いている。原資は国民の血税だろうに。

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