現代時評plus【自民党裏金問題】片山通夫

4月4日に裏金問題で離党勧告まで飛び出した処分に対して、FNNプライムが「訴訟も辞さない」と息まいてる議員もいたようだと報じた。同じFNNプライムの同日のニュースでも世耕弘成前参院幹事長は「誰がこんなことを決めたのかというのは、私自身、はっきり言って知りたいという思いであります。私は何の相談も受けておりません」 と話していると報じた。

筆者にとって、一連の岸田自民党の今回の措置程腑に落ちないことはなかった。幾つかそれを挙げてみたい。
1)まず二階氏の立候補辞退。もう結構お年を召されているし、後継者もいるようだ。岸田氏の先制を制して早々に(タイミングよく)立候補辞退とは、流石古だぬき。離党を打ち出さずに立候補辞退は妙手だ。立候補辞退ならまだ党員で国会議員だ。除名も可能だった。
2)森元首相に手をつけられなかったことは国民感情から見れば「やっぱり」という印象は否めない。それも後だしで「電話で」済ませたようだ。
3)最後に岸田首相自身の措置。はっきり言って甘い。いや甘すぎる。自身に甘い措置は決して国民は看過しない。おそらく次の世論調査でも一連の措置で幕引きを図ろうとする政権に鉄槌が下されよう。

以下共同通信 https://mainichi.jp/articles/20240405/ddm/005/070/044000c
疑惑の解明を置き去りにしたまま幕引きすることは許されない。内向きの論理と中途半端な処分で国民の不信を払拭(ふっしょく)できると考えているのだとすれば、見当違いも甚だしい。

自民党は派閥裏金問題で、安倍派と二階派の現職議員ら計39人に処分を下した。組織的な裏金作りを長年続けてきた安倍派の座長だった塩谷立元文部科学相と、参院側トップだった世耕弘成前党参院幹事長を離党勧告とした。8段階ある処分のうち、除名に次ぎ2番目に重い。

金額の多寡にかかわらず、政治資金を収支報告書に正しく記載しなかったことは政治資金規正法に違反する行為である。2021年のコロナ禍の緊急事態宣言下に、銀座のクラブを訪れた3議員が離党勧告となったのに比べても、甘過ぎる処分だ。

対象者を5年間で500万円以上という不記載額で線引きした根拠も不透明だ。一部党幹部だけで決めたという。党内の反発を抑え、対象者を少なくするためではないかとの疑念が拭えない。安倍派幹部の中でも扱いが割れ、党内からは恣意(しい)的な判断だと批判の声が上がる。

何より理解しがたいのは、岸田文雄首相と二階俊博元幹事長が処分されなかったことだ。岸田派と二階派も元会計責任者が規正法違反で立件された。

岸田派の不記載額は3年間で約3000万円に上る。首相は議員に還流していた他派閥との違いを強調するが、派閥が裏金をため込んでいた。トップの責任は重い。
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最後にもう一度書く。
二階氏は次期衆院選への不出馬を表明したため、そもそも党が処分を要請しなかった。だが、不記載額は3526万円と現職議員で最多。そして今なお現職の衆議院議員。今なお辞任する気配はない。それなのに処分対象とならなかったのは理屈に合わない。