とりとめのない話《オリジナルLPレコード その2》 中川眞須良

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ジャズは一部しか知らないしそのLPレコードの世界も一部しか知らない。しかし今まで大・小会場、ジャズスポット、スタジオ等でのいわゆる生演奏に数多く接する機会に恵まれたことを幸せに思っている。

この生演奏の現場の雰囲気(熱気とあとをを引くすべての音)を手持ちのスピーカーから最も忠実に再現出来るのがLPレコードと確信する。

特に好みとする時代のジャズ演奏とその録音が1960年代前後に集中しているため、手持ちのLPのほとんどがこの内容のものだ。

特にこの時代はLPレコードへの録音技術が大変革を遂げた時代でもある。高低音の音域拡大、雑音 ノイズのカット、左右の分離をより心地良くするステレオ録音などの技術、機械装置などの進展はLPレコードの世界を大ブレークさせた最大要因であろう。

いろいろな有名グループのヒット曲(名曲)を集めたいわゆる「名盤」と称されるLPをはじめ、全米の多くのレコード会社から発売されたその総数は想像を絶する。当然その名盤は人気度や注文数に応じ数回から数年にわたり再生産・販売を続けているのは各社同じであろう。

さて本題の「オリジナルLPレコード」とは・・・?

それは「初期にレコード会社から一定枚数プレス(製造)し発売された製品」とするのが妥当だろう。書籍に例えればいわゆる「初版本」である。

これに対しそれ以降に同じように発売された、いわゆる「再プレス盤」の枚数は各社オリジナル盤を大きく上回っているのは共通の事実だ。それらの発売会社はオリジナル社を含めアメリカ国内外 そして日本盤と多種にわたるが、もちろん中身はすべて同じである。

・・・が再プレス、特に日本盤の一部に少々雰囲気が異なる盤に出くわすケースがある。
それは中域音がコーティングの艶がなくなったような、高域音が細い糸の尾を引く伸びが短くなったような、低域音が前に迫る勢いが弱くなったような、言葉による表現は難しいがいわゆる少しストレスを感じる音なのである。レコードファンのなかにはこのストレスの解消のため、また時にはより満足する音を求めてどうしてもオリジナルにこだわる人が少なからずいる。この世界の有名人の一人、レコーデイングエンジニアである。ルディ―・バンゲルダーが録音を担当しさらに彼の名の刻印(Rudy Van Gelder)入りレコードのみを探している「回復不能の病人」と言える人までも・・・。

しかし この世界、「少しの録音技術や録音方法の違い、時にはレコードジャケットの図柄の変更など全く気にせず各自の世界を存分に楽しめば良い」、との結論に達すればLPレコードから発せられるあの独特の風を感知でき、そして新たな景色に出会えること間違いない。(完)

註:Rudy Van Gelder
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