現代時評《ソウルで考えたこと 001》片山通夫

先週、一週間程ソウルへ何年ぶりかで行った。コロナで果たされなかったことをしに。
つまり、サハリンから「永住帰国」した、いわゆるサハリン韓人に会うためである。何しろコロナで世界中の人々の行動が制約されていた。無論ご存じのように我が国でも同様である。また昨年からプーチンのロシアは隣国ウクライナに攻め込み、世界中から非難されながら今なお侵攻中である。ソウルに住むサハリンから移ってきた人たちの心情や如何にとソウルへ向かった訳だった。

彼らは韓国の国籍も取得した。我々日本人には理解しにくいが、韓国籍と元々のロシア籍の二重国籍となった。ロシアへの行き来はロシアのパスポートを使う。日本と違ってロシアと韓国は相互にビザは不要となっているので、自由に行き来できる。たとえば彼らが日本へ観光旅行する場合は、韓国のパスポートを使えばビザは不要である。なんともうまく使い分けている。
考えてみれば、共著「サハリン物語」でも書いたように、戦後、サハリンに置き去りにされた韓国人は、日本人から旧ソ連という社会主義の為政者に代わって、大きな試練を経てきた。少々の変化には動じないのかもしれない。

今、ロシアが隣国ウクライナに侵攻し戦争が起こっている。また最近パレスチナの抵抗組織・ハマスがイスラエルを急襲しイスラエルがパレスチナのガザ地区を殲滅戦を行っている。中国は南シナ海でフィリピンなどと領有権を争い、今にも台湾を「取り戻そう」としている。

そんな中、日本では「台湾有事」とばかりに「中国脅威論」ともいうべき考え方が台頭してきている。岸田政権、いや安部政権の頃から、自民党は北朝鮮や中国を念頭に「戦闘の準備」をしてきた。防衛装備は年々強化され、自衛隊は沖縄県に移動して対中国と思える防衛の充実をしてきているのだ。尖閣列島の国有化からはじまって、いうなればハリネズミ状態である。 (次週に続く)

共著・サハリン物語