現代時評《アジア大変!》片山通夫

地球温暖化や異常気象に関してはここでは書かない。アメリカが同時多発テロ以降、アフガンで「テロ対策」と称して戦争を初めて20年。このほど米軍はアフガンから撤退した。周知のようにアフガンはタリバンが政権をとった。西側諸国はイスラム原理主義のタリバンが、特に女性の人権などにどの様な政策をとるか注意深く見つめている。 アフガニスタンは鳥のくちばしのような地形で中国の新疆ウイグル地区と接している。新疆ウイグル地区には、所謂イスラム教徒のウイグル人が多数住んでいるが、北京政府は彼らの人権を無視した政策をとって、分離独立思考を抑圧していると、西欧諸国は中国を非難しているのが現状だ。今はまだアフガンでの政策に力を注ぐことに専念しているタリバンが今後ウイグル地域へどの様な干渉を始めるか中国は心穏やかではないだろうと思われる。何しろ相手はアメリカと20年にも及ぶ戦争をして生き延びたイスラム原理主義のタリバンのことだ。
一方インドも中国と国境の山岳部で小競り合いを繰り返している。またチベットやブータンと言った国々もやはり中国に対して「脅威」を感じている。インドと中国という核所有大国のはざまで領有権を争っている。チベットは漢民族のチベット進出によって多大な不利益を被っていることは周知の事実だ。

眼をもう少し東へ向けると南シナ海が横たわっている。この海でも「領有権」を争っている。相手は中国。清朝どころかそれ以前の歴史を持ち出しているようだ。例えば夏王朝と漢王朝の記録にまでさかのぼる歴史を根拠に主張している。夏王朝は中国最古の王朝国家で紀元前2100年頃に成立したとされる。また漢王朝は、前漢(紀元前206年 – 8年)と後漢(25年 – 220年)の二つの王朝(両漢)を総称、「漢王朝」と呼ばれる。いずれにしても相当の歴史的存在と言える。

そして現代では香港。この香港問題は記憶に新しい。まだある。台湾問題だ。台湾政府を否定して「一つの中国」政策として自国の範疇に入れてはばからない。今後この台湾は中国から「武力併合」される可能性がある。そうすれば、北朝鮮や韓国はおろか日本も巻き込まれて、いや当事国の一員として中国と事を構えざるを得なくなる。

もしかして安倍政権が当時閣議で憲法解釈を変えたのはこの「遠大な対中国おはじめとする相手」と戦争状態の解決のためだったのかと疑いを持つ。。
2014年7月、憲法9条解釈を変更し、集団的自衛権の一部行使を容認する閣議決定。翌2015年には「安保関連法案」を国会に提出し、国会審議が始まった。この法案は、武力攻撃事態法や自衛隊法など10の法案を一括改正する「平和安全法制整備法案」と新法案である「国際平和支援法案」の2本で構成されるが、法案を束ねて一括で審議する手法への異論も出た。採決が近づくにつれて国会周辺での抗議デモが活発化したが、安保関連法は9月に成立した。そのほか2013年12月には「特定秘密保護法」が、2017年6月には「共謀罪」の構成要件を改め「改正組織犯罪処罰法」も成立した。、
着々と対北朝鮮、対中国との戦争準備と思われても仕方のない強引な措置だった。ただ憲法解釈の変更は与党の力を持ってしても、変更はかなわない。そこで解釈変更という奇策をとった。
あのミサイルからの避難訓練も国民だましの茶番劇だった。
http://www.kokuminhogo.go.jp/kokuminaction/action_case.html

9月13日。韓国や日本のマスコミは「北朝鮮巡航ミサイル、日本全土が射程圏内」と報じた。低空で飛来するので対応は困難だ。また韓国のマスコミは「韓国が15日、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)開発の最終段階となる潜水艦による水中からの試験発射に成功した」と報じた。潜水艦からのミサイルは脅威だ。

このように東アジア各国も「互いに抑止力」を口実に「戦争準備」に余念がない。迎撃がますます困難なミサイルへの対応はコロナ禍の今筆者には考えられない愚行だとしか映らない。