現代時評plus《次の首相に望むこと》片山通夫

菅首相が「自民総裁選に不出馬」という衝撃的な、しかし考えれば当たりまえのことが一日か二日ほどで収まって、自民党内は勿論、マスコミや国民の眼は自民党の総裁選に一気に眼が注がれているが少し待ってほしい。安倍政権で内閣官房長官を永らく勤め、一年前に総理に就任し、60%以上の支持率を誇った菅内閣だったが、たった一年で「たたき上げ首相」は頓挫した。なぜなのかを安倍、菅政権を通して真摯に振り返ることから次期総裁に誰が「選ばれるか」ではなく「誰がふさわしいか」を考えなくては、みんなの日本の将来はコロナに脅かされて、それこそ頓挫してしまうと思う。

思想・信条は人それぞれだ。しかし「幸せ」を望む心はおそらく一緒だと思う。極端な話を一つしてみたい。
先月末にアフガニスタンでタリバンが実権を握った。それに先立ち、国際社会はアフガニスタンに滞在する自国民と関係機関で働いたアフガン人を自国もしくは関係国へ退避させた。例えば「ドイツとカナダ、アフガンでの救出作戦を終了」という日経記事だ。「ドイツは26日までの11日間で、45カ国の5000人以上を救出した。このうちドイツ人は約500人で、アフガン人が4000人以上を占める。」と伝えた。「一方のカナダ軍はこれまでにカブールから約3700人を退避させたが、一部のカナダ人やアフガン人協力者らはアフガンに取り残されている。人数などの詳細は明らかになっていない。カナダ国防省のウェイン・エア参謀長代理はアフガンの治安が急速に悪化するなか、米軍の撤退期限である8月31日を前にアフガンを離れる必要があったとし「もっと長く滞在し、脱出しようとしていた人々を救出したかった」と語った。トルドー首相は「われわれのアフガニスタンへの関与は終わっていない」としたうえで、「同盟国と協力しながらタリバンに圧力をかけていく」と述べた。同日には5000万カナダドル(約43億円)をアフガン人への人道支援に追加で投じると発表した。」
隣の国、韓国のハンギョレ新聞は「政府は27日、現地職員と家族ら約390人の韓国移送を完了させた。米軍の協力を得て対象者を特定のバスで空港まで移動させることで、イスラム原理主義勢力タリバンによる検問を切り抜けた。」と伝えた。結果インチョン空港に26日に無事到着したという。

そして我々の国は「自衛隊派遣、出遅れ響く 甘い見通し、「想定外」続発―アフガン人退避失敗」と時事通信が伝えたように完全な失敗に終わった。⇒ https://www.jiji.com/jc/article?k=2021090101042&g=pol

おそらく政府や自民党は菅首相では迫る衆議院選挙に「勝てない」と危機感を募らせた。国際社会と比してわが国の政府や政権与党はあまりにも「内向き」だった。これを反省しての「菅おろし」だったらまだ救いはある。しかし今見える限りはまだまだ・・・・。言葉ではグローバルだの国際化と言い募るが、女性の権利や性同一性障害、もしくはLGBTに対する偏見、もっと言えば「女性天皇」への拒絶などがかえって女性やマイノリティへの偏見でしかないと思う。

最後に「万系一世」と言われる天皇家にも女性天皇は複数名存在したことは周知の史実だ。明治以後の考え方が、これを拒否している。せいぜい150年あまりの歴史が、それこそ5~7世紀頃からの歴史を作り変えているだけだ。

話が飛躍しすぎた。次の首相にはぜひ「グローバルで国民全般の生活の安定」を目指せる方がふさわしい。「井戸塀」という言葉が懐かしいようでは?!!