丹波紀行《鬼が行く道 003》片山通夫

「首塚」

老いの坂峠には「酒呑童子の首塚」がある。不浄な鬼の首を都に持ち込むことを拒まれた源頼光はここにその首を埋めた。考えてみれば、京都は平安の昔から妖怪変化の巣窟だった。化野は葬送の地で風葬の地だった。また東山の鳥辺野、洛北の蓮台野と並ぶ三大葬地のひとつとして知られていた。
そんな京の都には様々な怪異が起こっている。
そんな怪異の一つに、京の北に深泥池(みぞろがいけ)と言う池があり、深夜、タクシーが市街地で陰気な雰囲気の若い女性を乗せたところ、消え入るような声で「深泥池まで」と言うので車を走らせたが、着いた頃には女性の姿は見えず、後部席のシートがビッショリとぬれていたという怪談話は有名だ。

岩倉に抜ける宝が池の「狐坂」、京都の鬼門、比叡山にある「山中越え」、東に東山の「将軍塚」、山科との境、蹴上にある「栗田口刑場跡」、北西の方向には愛宕山へ行く途中の「清滝トンネル」等々、都に入る境界には、おどろおどろしい魔界が存在する。

また「老いの坂峠」は(京都と亀岡の境の峠)昔から妖怪変化が集まるといわれていた。また京都と丹波を結ぶ鞍馬街道、山里の営みが続く若狭街道、化野にたどり着く愛宕街道、山陰街道は老いの坂峠を越えて亀岡を経て園部、福知山に着く。福知山郊外には鬼の棲家と言われた大江山が控えている。今一つの街道は丹波篠山を経て福知山に至り山陰街道に繋がる街道もある。(続く)