ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから100日以上が経った。ここにきて世界で絶大な権力を持っているはずのトランプ氏の思惑がかなり狂ってきたように見受ける。だからなのか、5月15日にイスタンブールで開催されるはずだったプーチン並びにゼレンスキーといった大統領二人の会談に立ち会うつもりではるばる中東まで出かけた。しかしプーチン氏はモスクワから出てこなかった。
最近、米国内でトランプ氏の強引な政治のやり方に不平や反対が多くなってきた。ほとんど毎日国内のどこかで反トランプのデモが行われているという報道もある。
例えば時事通信は「反トランプ大規模デモ、米各地で再び」と報じた。
「ニューヨークAFP=時事】ドナルド・トランプ米大統領とその強硬政策に抗議する大規模デモが19日、ニューヨークやワシントンなど米各地で行われた。本格的な反トランプ・デモとしては、今月5日に続き、2度目となった。(写真は、米ホワイトハウス近くで、ドナルド・トランプ大統領とその政策に抗議するデモ参加者)https://www.jiji.com/jc/article?k=20250421047303a&g=afp
一般的に大統領や総理大臣などに対する反対意見は通常の範囲内で起こる。しかしトランプ氏のような顕著な例はあまり見ない。彼の場合、もしかしてアメリカと言う国においては、特に顕著なのだろうが、世界を巻き込んだ「関税問題」や「人種差別的」な移民問題等、またオックスフォード大学のケースを見るように、反ユダヤだとトランプ氏自身が判断すれば、政府からの研究費など補助金を大幅にカットしてしまうという強引なやり口はまれにみるやり方で、とてもじゃないが、通常の範を越えている。
所でこの16日にイスタンブールでプーチン氏とゼレンスキー氏が、あたかもトランプ大統領の仲介で会談するかのようなアナウンスが、最初はアメリカから流れた。「トランプ氏はプーチン氏を招待した」かの印象だった。その為トランプ氏はわざわざ中東諸国を訪問することを発表、イスラエルの非人道的な攻撃にも言及しネタニヤフ・イスラエル首相との仲もあまりよくない印象を世界の与えた。
しかし、プーチン氏はトランプ氏の誘いには載ってこなかった。
こうしてみると、さきに述べた米国内でのトランプ政権に対する抗議に対するトランプ氏の「点数稼ぎ」の様相を帯びてくる。何しろ大統領選でトランプ氏に投票した人々の半数が後悔しているという調査もあるくらいだとか。
(ニューズウィーク
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2025/05/551260.php)
トランプ氏は、米国内の反発を、プーチン氏を会議に引っ張り出して点数を稼げると考えたが大きな誤算となり、プーチン氏は「その手にゃ乗らん」とばかりにモスクワの春を楽しむことにした。
民主主義のリーダーたるアメリカを、一人の独裁者が、排他的ないわば三流の国にたった3カ月余りで貶めたトランプは、アメリカ市民の反撃に戸惑うことになるだろう。