現代時評plus《ヤルタ会談の再来》山梨良平

80年程も以前、ヨーロッパではナチスドイツがヨーロッパを戦場に当時のソ連まで戦争の手を伸ばしていた。アジアでは朝鮮や台湾を植民地にした日本が、中国や東南アジアにまで侵略していた。ルーズベルトのアメリカもヨーロッパ戦線に参加した。世界は第二次大戦のさなかだった。

チャーチル英首相、ルーズベルト米大統領、スターリンソ連首相(左から)

アメリカのトランプ氏はカナダを「米国の51番目の州」と呼ぶが、今はカナダ併合は本気でないだろう。しかしデンマーク自治領・グリーンランドやパナマ運河の占有について、もしかしてスエズ運河もトランプ大統領は実現に向けた具体的な措置を講じ始めていると言う報告があった。冗談でなく、言葉通りに受け止めなければならないかもしれない。いや言葉通りに受け取れば、受け取る側が「アメリカに売り渡す」準備ができたとトランプ氏はとる可能性がある。そんな危険を犯すことは出来まい。

国際情勢がトランプ氏のような破天荒な男にかき回される必要はないと思う。一笑にふせばいい。関税?簡単なことだ。何年間とは言わないが、アメリカとの交易を極限まで縮小すればいい。例えば自動車だが、日本はアメリカに売らなければいい。そして激昂するアメリカ市民に「いえ、お宅たちがあんな男を選んだから・・・」とうっすらと涙を浮かべるのだ。もしくはアメリカ以外に販路を見つけることだ。共同通信によると「アメリカの日鉄USスチール買収承認に関して トランプ氏、経済効果主張」とある。日本にとっては高い買い物だったと思う。この資金を日本国内の投資に向けることができればと考えてしまうほど、国内は疲弊しているのに…。

ヤルタ会談の時代に戻ろう。80年以上前のことだ。世界はドイツやイタリア、そして日本を相手に第二次大戦を戦っていた。しかしその時、戦後の希望をヤルタで相談していた政治家たちがいた。戦後処理、もっと露骨に言えば戦後の分捕り会議だ。当時のソ連のスターリン、アメリカのルーズベルトそしてイギリスのチャーチルが主役の会談だった。

今それをEU、ASEAN、中国など各国と対応策を練ればよいとも思う。日本は2兆円にも上る金をアメリカに投げ出さずに、この会議に投資すればいい。無論各国も出来る範囲で・・。金がなければ資源でやればいい。うまくすれば「トランプのアメリカ」を孤立させることができるはずだ。
もっとも貿易と言えども「戦争」は避けなけらばならない。

註・ヤルタ会談:第二次世界大戦の末期、イタリアはすでに降伏し、ドイツの降伏も近いと想定された1945年2月4日~11日に開催された連合国の戦後処理構想に関する首脳会談である。参加者はイギリス首相チャーチル、アメリカ大統領F=ローズベルト、ソ連首相スターリンとその随員。
1943年11月のカイロ会談、テヘラン会談に続く三回目の連合国首脳会議であった。 https://www.y-history.net/appendix/wh1505-101.html