現代時評《大川原冤罪事件にみる特高警察体質》井上脩身

化学機械メーカー、大川原化工機(横浜市)の噴霧乾燥器輸出をめぐる冤罪事件で、東京高裁から違法な捜査・起訴と認定された国と東京都は6月11日、上告を断念、警察・検察のでっち上げ事件であることが確定した。わたしはこの報道に接し、1952年に起きた菅生事件を思い起こした。共通するのは、法令の施行・改正に際し、存在しない事件をつくりあげて出世の道具にした点だ。「非国民」の弾圧のためには無実の者をも地獄に落とす戦前の特高警察の体質が、戦後80年のいまも公安警察に脈々と流れていることを示した組織的権力犯罪なのである。 “現代時評《大川原冤罪事件にみる特高警察体質》井上脩身” の続きを読む

◆現代時評《取り残される農家》山梨良平

 闇にうごめいているような印象がある全国農業協同組合連合会(JA全農)の備蓄米。新聞報道によると、農林水産省はこの3月から4月にかけて3回に分けて備蓄米の入札を実施し、JA全農が全体の約95%を落札したとある。その半分がようやく卸売業者にこの程届いたというわけだが、JA全農「意図的に遅らせたわけではない」と言う。一方、5月下旬に随意契約で小売業者に直接売り渡した備蓄米は、契約から数日で店頭に並んでおり、スピードの違いが際立つ。
 精米する時間がとか何とかJA全農には彼らなりの理由がありそうだ。そういえば消費税を下げられない理由に、石破総理は国会で「下げるには技術的に一年はかかる」と述べていたが、上げるときはどうだったか?小売業者は「一晩で出来る」と言い切る。レジスターなどの変更のことだ。 “◆現代時評《取り残される農家》山梨良平” の続きを読む

【609 Studio】email newsletter 2025年6月10日 #1210

email newsletter 2025年6月10日  #1210
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世界のニュース、井上脩身氏のコラムなど多彩な話題満載!
また諸般の事情によりサハリンの話題は都合により当面休止いたします。 
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◆現代時評《取り残される農家》山梨良平
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 闇にうごめいているような印象がある全国農業協同組合連合会(JA全農)の
備蓄米。新聞報道によると、農林水産省はこの3月から4月にかけて3回に分け
て備蓄米の入札を実施し、JA全農が全体の約95%を落札したとある。その半
分がようやく卸売業者にこの程届いたというわけだが、JA全農「意図的に遅ら
せたわけではない」と言う。一方、5月下旬に随意契約で小売業者に直接売り渡
した備蓄米は、契約から数日で店頭に並んでおり、スピードの違いが際立つ。
 精米する時間がとか何とかJA全農には彼らなりの理由がありそうだ。そうい
えば消費税を下げられない理由に、石破総理は国会で「下げるには技術的に一年
はかかる」と述べていたが、上げるときはどうだったか?小売業者は「一晩で出
来る」と言い切る。レジスターなどの変更のことだ。 “【609 Studio】email newsletter 2025年6月10日 #1210” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その171《日本軍の住民虐殺》渡辺幸重

天皇の軍隊に虐殺された久米島住民・久米島在朝鮮人 痛恨之碑

自民党の西田昌司参議院議員が「(ひめゆりの塔の説明は)歴史の書き換え」などと発言したこと、参政党の神谷宗幣代表(参議院議員)が「日本軍は沖縄の人を殺したわけではない」と擁護したことが問題になっています。現職国会議員が戦前の大日本帝国の価値観を押しつけようとする姿には唖然としますが、沖縄戦において日本軍が沖縄の民間人を虐殺した事件は体験者によって多く語られ、史実として定着しています。その一つが「久米島(くめじま)守備隊住民虐殺事件(久米島事件)」です。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その171《日本軍の住民虐殺》渡辺幸重” の続きを読む

紀行・岡山の旅《大正ロマン》片山通夫

「大正ロマン」とは大正時代の趣を伝える思潮や文化事象を指す言葉である。それはそこはかとなく郷愁を感じる時代でもあった。次の昭和の時代になると、戦争の記憶が先に出てきて暗い時代になり、挙句の果てには思想も文化、文学も追いやられる時代になったあげく、空襲で大都市は焼け野原に、そしておぞましい原爆が落とされた。 “紀行・岡山の旅《大正ロマン》片山通夫” の続きを読む

取材手帖・晴れの国《北前船が運んできた富・下津井》片山通夫

岡山・下津井湊

むかし下津井回船問屋・下津井

3月も半ばだが、まだ寒い時期に「備前の国・岡山」に行くことにした。だいぶ以前から下津井と言う港町に興味があった。本州と四国を結ぶ明石海峡大橋と瀬戸大橋、少なくともこの二つの橋は、明石と下津井の町を激変させたようだった。明石は何度もいった。東経135線が町を南北に貫き日本の標準時を定めた明石、また神戸と言う大消費地を控えた明石は瀬戸内海で獲れる海産物の町でもある。一方の下津井は横溝正史の小説に出てきたのでその名を知った。 “取材手帖・晴れの国《北前船が運んできた富・下津井》片山通夫” の続きを読む

【609 Studio】email newsletter 2025年6月3日 #1209

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◆現代時評《2000円の備蓄米》片山通夫
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いやはや大変な騒ぎだ。そして、従来からのコメ政策の粗(アラ)があからさ
まに出てきた。最初は前農相の失言、イヤ本音か、「江藤農相 辞表提出 『コメ
買ったことがない』発言。正直なのか馬鹿なのか、それとも鈍いのか…。
ご存じのよう「令和の百姓一揆」まで出現した米騒動の渦中で担当大臣の感覚
が、国民感情とかけ離れていることをさらけ出したわけである。
https://mainichi.jp/articles/20250331/k00/00m/040/218000c

そこへさっそうと登場したのが小泉進次郎新農相。備蓄米の競争入札をやめ
て随意契約に変更。たちまちマスコミにもてはやされて、彼の姿をテレビで見な
い日はないありさま。この国のマスコミも往年の翼賛政治に倣った以来の「翼賛
マスコミ」の域から脱し切れていない。今日2025年6月1日のテレビや新聞は「想
像通り《安いコメを買った、食べてみたが、遜色ない》との消費者の談・オンパ
レード。まるで重い病の著名人の死亡記事(準備記事)さながら…。

日本人に限ったことではないとは思うが、火急時に対する防備なのか「買いだ
め」の癖が治らない。それとも5㎏4000円も5000円もする米が2000円で買えると
なるとニュースにもなるのか…。
気になるのは過去の備蓄米の小売り量だが、農林水産省の発表では、5月11日
までの備蓄米の流通状況は、ことし3月に落札された21万トンのうち、消費の現
場に届いた量は2割程度だという。誰が留めているのかは実際のところわからな
いが、事実8割は流通していないというわけだ。

理由はそれぞれある。備蓄米は玄米だから精米しなくてはいけないし、昨今の
流通の逼迫でトラックの不足などらしい。そしたら随時契約分はなぜすぐに店頭
に並ぶのか理由がわからない。つまり小泉農相が先頭を切って指揮したからなの
か?所で興味あるニュースを見た。

【野村元農相、小泉氏に苦言 党内の手続き省略に「ルールを覚えて」】だと。
つまり農業界のルールをと言うわけだ。詳しくは以下のページをを見てほしい。
農水省やJAなどと自民党農業族が長年培ってきたルールを壊すなと言うことらし
い。この期に及んでまだ「旧来の陋習(老醜)」を守れだと。
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紀行・岡山の旅《岡山禁酒會館》片山通夫

不思議な名前の不思議な建物が不思議な場所に建っている。
大正12年築の木造洋風建築物らしい。
これは筆者の偏見と言うかどうかはともかく、岡山は「大正ロマンの香り」が感じられる。横溝正史の推理小説の舞台が、戦後間もなくの岡山県が舞台だというのが多い影響もあり、またそれ以前の「大正ロマン」を満喫させてくれる画家で詩人の竹久夢二の生家もやはり岡山県(邑久町)だったりしてなんとなく親しみを覚える。 “紀行・岡山の旅《岡山禁酒會館》片山通夫” の続きを読む