
【LapizOnline】補陀落(ふだらく)とは仏教で南方の海の彼方にあるとされる観世音菩薩が住む浄土のことで、行者(僧)が浄土への往生を果たし、民衆を浄土へ先導するために単身小舟に乗って沖に出る捨て身の行が「補陀落渡海」と呼ばれます。最古の事例は868(貞観10)年の慶龍上人、最後は1909(明治42)年の天俊上人の渡海で、主に平安時代から江戸時代中頃まで行なわれました。全国では約60例、そのうち和歌山県の那智勝浦からの渡海が半数の約30例を占めています。他には高知県の足摺岬、室戸岬、茨城県の那珂湊などから出帆した例があります。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その136《補陀落渡海》渡辺幸重” の続きを読む