◆現代時評《取り残される農家》山梨良平

 闇にうごめいているような印象がある全国農業協同組合連合会(JA全農)の備蓄米。新聞報道によると、農林水産省はこの3月から4月にかけて3回に分けて備蓄米の入札を実施し、JA全農が全体の約95%を落札したとある。その半分がようやく卸売業者にこの程届いたというわけだが、JA全農「意図的に遅らせたわけではない」と言う。一方、5月下旬に随意契約で小売業者に直接売り渡した備蓄米は、契約から数日で店頭に並んでおり、スピードの違いが際立つ。
 精米する時間がとか何とかJA全農には彼らなりの理由がありそうだ。そういえば消費税を下げられない理由に、石破総理は国会で「下げるには技術的に一年はかかる」と述べていたが、上げるときはどうだったか?小売業者は「一晩で出来る」と言い切る。レジスターなどの変更のことだ。 “◆現代時評《取り残される農家》山梨良平” の続きを読む

紀行・岡山の旅《大正ロマン》片山通夫

「大正ロマン」とは大正時代の趣を伝える思潮や文化事象を指す言葉である。それはそこはかとなく郷愁を感じる時代でもあった。次の昭和の時代になると、戦争の記憶が先に出てきて暗い時代になり、挙句の果てには思想も文化、文学も追いやられる時代になったあげく、空襲で大都市は焼け野原に、そしておぞましい原爆が落とされた。 “紀行・岡山の旅《大正ロマン》片山通夫” の続きを読む

現代時評《英語ファースト大統領令の罪》井上脩身

スペイン北部のサンティアゴ市(サンティアゴ・デ・コンポステーラ)で「ガリシア文学の日」の5月17日、「ガリシア語を守ろう」と訴えるデモが行われた。スペインではスペイン語が広く使われているが、同市が属するガリシア州は「ガリシア語はガリシアで生きる者にとってのアイデンティティー」として、ガリシア語を公用語に指定しているのだ。 “現代時評《英語ファースト大統領令の罪》井上脩身” の続きを読む

現代時評plus《ヤルタ会談の再来》山梨良平

80年程も以前、ヨーロッパではナチスドイツがヨーロッパを戦場に当時のソ連まで戦争の手を伸ばしていた。アジアでは朝鮮や台湾を植民地にした日本が、中国や東南アジアにまで侵略していた。ルーズベルトのアメリカもヨーロッパ戦線に参加した。世界は第二次大戦のさなかだった。 “現代時評plus《ヤルタ会談の再来》山梨良平” の続きを読む

現代時評《トランプの誤算》山梨良平

ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから100日以上が経った。ここにきて世界で絶大な権力を持っているはずのトランプ氏の思惑がかなり狂ってきたように見受ける。だからなのか、5月15日にイスタンブールで開催されるはずだったプーチン並びにゼレンスキーといった大統領二人の会談に立ち会うつもりではるばる中東まで出かけた。しかしプーチン氏はモスクワから出てこなかった。 “現代時評《トランプの誤算》山梨良平” の続きを読む

現代時評plus《スパイ達の高笑い》山梨良平

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勿論それ以前から顕在化していたのだろう。我が国では安倍政権以来だったのではないか。それが一気に表に出て来たのが、アメリカのトランプ大統領が就任してからだった。いや、さきに述べたように我が国では安部政権のでたらめ政治以来だ。大きな事件は数ある。今はそれはここでは書かない。安倍の小型である菅が首相に治まった時、小型ながら看過できない事件を起こした。 “現代時評plus《スパイ達の高笑い》山梨良平” の続きを読む

現代時評《活字真理教》片山通夫

魏志倭人伝

 

聞いた風なフレーズだった。

「フェイクニュースと虚偽操作扇動がこの国の民主主義を脅かしている」(2023年10月の在郷軍人会創設71周年記念式での韓国・尹前大統領の祝辞)このフレーズが大統領の口癖だったようだ。

真贋織り交ぜてインターネット上でニュースが飛びかう。人は自分の考え(思考)に合うニュースは心地よいから、その考えに賛同し、また拡散する。フェイクだとわかっていてもそれを流布する場合もあるかもしれない。 “現代時評《活字真理教》片山通夫” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その168《掘り下げ屋敷》渡辺幸重

渡名喜島の農村集落(「文化遺産オンライン」サイトより)

日本列島には毎年台風が襲来し、大きな被害をもたらします。近年は気象変動(温暖化)のせいか“スーパー台風”と呼ばれる超大型の台風が増えたので心配が大きくなっています。私は“台風銀座”と呼ばれる琉球弧(南西諸島)に生まれ育ったので “連載コラム・日本の島できごと事典 その168《掘り下げ屋敷》渡辺幸重” の続きを読む

現代時評〔自然体で生きる〕片山通夫

過日養老孟司さんのインタビュー記事を読んだ。NHKの記事だった。おそらくこの記事はNHKが放送したものだったのだろうから、見られたからも多いと思う。この稿ではとくに彼のインタビュー記事について書くわけではない。ただ養老さんの生きるさまを垣間見たことを書きたく思った。 “現代時評〔自然体で生きる〕片山通夫” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その167《福江大火》渡辺幸重

焦土と化した被災地の全景(『福江大火復興50周年記念誌』より)

1962(昭和37)年年9月26日午前2時10分頃、五島列島・福江島の福江市(現在は長崎県五島市)で604戸の家を焼く類焼面積13万2,000平方メートルの「福江大火」が発生しました。死者はありませんでしたが811人の負傷者が出、被災者は3,936人に及びました。原因はマッチの火による失火とされ、海岸通りから中心商店街に向かって延焼、6時間の間に市街地の大半が焼け野原となったのです。

市役所庁舎をはじめ市消防車車庫、長崎県五島支庁、福江税務署、福江警察署、公立五島病院など主要官公署のほとんどを焼失してしまいました。被害額は約40億円(当時)という長崎県下では戦後最大の火災となり、激甚災害法が公布されて初めての激甚災害に指定されました。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その167《福江大火》渡辺幸重” の続きを読む