大相撲九州場所で初優勝したウクライナ出身の安青錦が大関になった。11月26日に開かれた日本相撲協会の理事会で正式に決定したもので、初土俵から14場所での大関昇進は年6場所が定着した1958年以降、最速記録である。このニュースに、わたしは20年前の秋、駐ウクライナ日本大使の公邸を訪ねたときのことを思い出した。公邸に昭和の大横綱・大鵬の写真が掛けられていて、大使は「大鵬のお父さんはウクライナ出身。だから相撲も人気がある」と語った。安青錦はその大鵬を彷彿とさせる超スピード出世を果たしたのだ。それだけではない。ともに戦争が影を落としているのである。戦後80年。不思議な縁というほかない。 “現代時評【安青錦に「大鵬二世の期待」】井上脩身” の続きを読む
609studio email newsletter 2025年12月2日号 #1235
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◆現代時評【安青錦に「大鵬二世の期待」】井上脩身
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609Studio email newsletter 2025年10月14日号 #1228
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◆現代時評《高市総裁の笑顔を破った連立離脱》井上脩身
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現代時評《石破おろしを読み解く》井上脩身
石破茂首相は9月7日、記者会見で退任を表明した。7月20日の参院選で自民党が大敗した責めを問う「石破おろし」の風が吹くなか、続投の意欲をしめして抵抗した石破氏であったが、刀折れ矢尽きたのだ。2024年10月1日に首相に選任されて以来、わずか1年の短命政権におわった。さっそく「三木おろし」との類似点を探る論調がネット上にあらわれるなど、あいもかわらぬ自民党の内輪もめ体質に識者から冷たい目が向けられた。 “現代時評《石破おろしを読み解く》井上脩身” の続きを読む
【609 Studio】email newsletter 2025年8月12日 #1219
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【609 Studio】email newsletter 2025年8月12日 #1219
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◆現代時評《昭和天皇が退位しなかった戦後》井上脩身
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毎日のようにラインで近況を知らせてくる旧知の友人の報告のなかに、数年
前から「天皇陛下バンザイ」の書き込みが頻発するようになった。「天皇陛下
バンザイ」という強い響きは、わたしには「名誉の戦死」とかさなり、80年
前のあの重苦しい戦争のイメージがつきまとう。天皇主権の国から、戦後、国
民主権の国になり、天皇自身「戦争勝利の神」から「平和をねがう象徴」に変
わったはずだ。この20年あまり、わが国の右傾化が目立ちだしたが、気の合
う友まで天皇崇拝者になったことにショックをうけ、このままでは戦前のよう
な国になってしまうのでは、とおそれおののいた。その懸念が戦後80年のこ
とし、現実化した。「天皇は国をしらす」と唱える参政党が躍進したのである。
なぜこのようなことになったのか。現人神から象徴へと天皇制が変更されたに
もかかわらず、昭和天皇が退位しなかったことにその一因がある、とわたしは
思う。戦後、この国は生まれ変わるため新たな憲法を制定した。その公布は新
しい天皇の名でなされるべきであった。 “【609 Studio】email newsletter 2025年8月12日 #1219” の続きを読む
現代時評《昭和天皇が退位しなかった戦後 全文》井上脩身
毎日のようにラインで近況を知らせてくる旧知の友人の報告のなかに、数年前から「天皇陛下バンザイ」の書き込みが頻発するようになった。「天皇陛下バンザイ」という強い響きは、わたしには「名誉の戦死」とかさなり、80年前のあの重苦しい戦争のイメージがつきまとう。 “現代時評《昭和天皇が退位しなかった戦後 全文》井上脩身” の続きを読む
現代時評《昭和天皇が退位しなかった戦後 下》井上脩身
参政党の憲法草案
昭和天皇が退位しなかったため、昭和時代は戦後も40年近く経過した1989(昭和64)年までつづいた。1960年ころから経済が高度に成長、1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博を経て、「ジャパン・アズ・ナンバー1」といわれるほどに我が世の春を謳歌した。 “現代時評《昭和天皇が退位しなかった戦後 下》井上脩身” の続きを読む
現代時評《昭和天皇が退位しなかった戦後 上》井上脩身
毎日のようにラインで近況を知らせてくる旧知の友人の報告のなかに、数年前から「天皇陛下バンザイ」の書き込みが頻発するようになった。「天皇陛下バンザイ」という強い響きは、わたしには「名誉の戦死」とかさなり、80年前のあの重苦しい戦争のイメージがつきまとう。天皇主権の国から、 “現代時評《昭和天皇が退位しなかった戦後 上》井上脩身” の続きを読む
現代時評《兵庫知事選を再現した参院選》井上脩身
参政党が大躍進し、自民・公明の与党が惨敗した参院選。SNSの駆使によってフェークニュースが飛び交うなど、さながら昨年11月の兵庫知事選の国政選挙版であった。こうしたトランプ型選挙は、当落にどう影響するのであろうか。NHKから国民を守る党(NHK党)の立花孝志党首は同知事選と今回の参院選に立候補した。立花氏の選挙にそのカギがあるのではないか、と考えて立花氏の選挙結果を点検した。 “現代時評《兵庫知事選を再現した参院選》井上脩身” の続きを読む
【609 Studio】email newsletter 2025年6月17日 #1211
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【609 Studio】email newsletter 2025年6月17日 #1211
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◆現代時評《大川原冤罪事件にみる特高警察体質》井上脩身
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化学機械メーカー、大川原化工機(横浜市)の噴霧乾燥器輸出をめぐる冤罪
事件で、東京高裁から違法な捜査・起訴と認定された国と東京都は6月11日、
上告を断念、警察・検察のでっち上げ事件であることが確定した。 “【609 Studio】email newsletter 2025年6月17日 #1211” の続きを読む
現代時評《大川原冤罪事件にみる特高警察体質》井上脩身
化学機械メーカー、大川原化工機(横浜市)の噴霧乾燥器輸出をめぐる冤罪事件で、東京高裁から違法な捜査・起訴と認定された国と東京都は6月11日、上告を断念、警察・検察のでっち上げ事件であることが確定した。わたしはこの報道に接し、1952年に起きた菅生事件を思い起こした。共通するのは、法令の施行・改正に際し、存在しない事件をつくりあげて出世の道具にした点だ。「非国民」の弾圧のためには無実の者をも地獄に落とす戦前の特高警察の体質が、戦後80年のいまも公安警察に脈々と流れていることを示した組織的権力犯罪なのである。 “現代時評《大川原冤罪事件にみる特高警察体質》井上脩身” の続きを読む
現代時評《英語ファースト大統領令の罪》井上脩身
スペイン北部のサンティアゴ市(サンティアゴ・デ・コンポステーラ)で「ガリシア文学の日」の5月17日、「ガリシア語を守ろう」と訴えるデモが行われた。スペインではスペイン語が広く使われているが、同市が属するガリシア州は「ガリシア語はガリシアで生きる者にとってのアイデンティティー」として、ガリシア語を公用語に指定しているのだ。 “現代時評《英語ファースト大統領令の罪》井上脩身” の続きを読む
現代時評《中国憎し関税の真意》井上脩身
アメリカのトランプ大統領は4月9日、約60カ国・地域に最大50%の相互関税を発動、その日のうちに中国以外は「90日間停止する」と発表した。中国に対しては関税を125%に引き上げ、発動済みの20%の制裁関税と合わせて145%の高関税を課すこととした。 “現代時評《中国憎し関税の真意》井上脩身” の続きを読む
編集長が行く《東京・江東地区 下》文、写真 井上脩身
今はスカイツリーのお膝元

【LAPIZ ONLINE】1月上旬、わたしは早乙女さんの『東京大空襲ものがたり』と『東京大空襲』を携え、本稿に登場する現場をたずねた。
地下鉄浅草駅を降り、さいしょに言問橋に向かい、次に焼け残り電柱の現場をたずねた。本稿の趣旨に合わせ、まず電柱のことを書いておきたい。
焼け残った電柱は浅草駅南西約1キロの、幅5メートルほどの通りの角にポツンと立っている。何かの工事の作業員4、5人が通りかかったが、この電柱に目もくれない。写真を撮っていると、ベビーカーを押す女性がけげんそうな顔をして通りすぎた。電柱を実際に目にして気づいたことだが、底部は高さ50センチ、幅20センチの穴状になっており、下部は空洞になっているとおもわれた。おそらく焼夷弾が直接当たって燃えた痕跡であろう。B29が超低空飛行していた証拠といえるのかもしれない。 “編集長が行く《東京・江東地区 下》文、写真 井上脩身” の続きを読む
編集長が行く《東京・江東地区 上》文、写真 井上脩身
東京大空襲の現場をたずねて

東京・台東区の下町に黒焦げの丸太が立っていると聞いた。1945年3月10日の東京大空襲によって焼けた電柱だという。調べてみると、作家、早乙女勝元さんがこの電柱をもとに童話『東京大空襲ものがたり』(金の星社)を書いていたことがわかり、さっそく読んでみた。電柱によじのぼって助かった少年が、大人になった後年、電柱にまつわる悲しいできごとを語るというストーリー。電柱は今に残る大空襲の生き証人というのだ。ずいぶん前、わたしは早乙女さんの代表作『東京大空襲』を岩波新書で読んだおぼえがある。東京大空襲から100年の節目の日を控えて、電柱に会いにいくとともに、『東京大空襲』の舞台となった惨劇の跡地をたずねてまわった。 “編集長が行く《東京・江東地区 上》文、写真 井上脩身” の続きを読む