追跡「サハリンの冬/011」

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闇夜のカラス

サハリンの町におかしな話が聞こえてくる。闇夜のカラスの話である。月明かりのない闇夜の深夜、真っ黒なカラスが無国籍者の家を乙津れることが頻繁にあった。コツコツとドアをたたく音が聞こえるとその家の家族すべてが一夜にしていなくなったという。ある時、その家の主人が残業だか何かで遅くなって帰ってきた。家の前にはボルガという名の大きな車がとまっている。その牛とにはバンが一台。男はピンときてすぐに遠くへ逃げた。翌朝人を自宅にやって調べてみると、家はもぬけの殻だった。男の家族はそれ以降行方は知れなかったらしい。噂では北朝鮮へ送られたという。このような話がユジノサハリンスクで頻繁に聞かれる時期があった。その男はKGBに後日逮捕されて今もって行方知らずだ。

人々は「闇夜のカラス」と呼んで恐れた。

 

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