現代時評plus《トランプ関税》山梨良平

 2025年に入ってトランプ氏が大統領に就任して以来、所謂トランプ関税に世界は極度の混乱に陥っている。所で筆者は経済には滅法弱いことを最初にお断りしておく。けれども滅法弱い経済脳でもってしても、いやだからかもしれないが、トランプ大統領がよしとするアメリカの関税対策はどうにも腑に落ちないのだ。(写真は「フランスへ帰る!」自由の女神)

簡単な話、仮に今までの輸入関税が10%だったとする。それを20%に引き上げられた場合、正味の商品代金100円に従来の10%引き上げられた課税後はつまり110円だったのが120円と高くなる。ここまではわかる。しかしわからないのは、その関税額20円は誰が支払うのかということだ。私が理解しているのには、通常輸入関税は輸入業者が国に支払う。そして課税された商品代にいくばくかのマージンを加算して市場で売り出される。マージンが3円だとすると、123円が商品代となる。

もしも筆者が間違っていなかったら、こんな言い方は良くないが、アメリカ人はこれしきの計算も出来ないのかと思う。それとも筆者にはわからない秘策があるのだろうか?まさか輸出する側がアメリカの関税をも支払うのではあるまい。ということは、アメリカ国内では、物価の上昇が近い将来起こる。つまり普通考えればインフレに陥ることになるはずだ。筆者の乏しい経済脳では。

こうして考えると、トランプは大きな間違いをしているのではないか。上昇した関税額は、外国のメーカーがアメリカ政府に支払うのではないということだ。近い将来、アメリカ国内は大きな混乱に陥る危険があると危惧する。
筆者が調べて見たアメリカ国内の報道では、そこのところを大統領は言及していない。関税を上げたためにアメリカ政府は何万ドルも増収になるから、税金を下げると言う。税金が下がった分、政府は減収になり、そのうえ国民に対して税金を下げると言うのでは、どうにもつじつまが合わないと思う。トランプのアメリカのことだから、一日本国民の筆者がとやかく言うこともないが。

後に。今回のアラスカでのプーチン氏との会談、その前のノルウェー財務相あてのノーベル平和賞に関する「電話でおねだり」、関税に関するTACO(”Trump Always Chickens Out” の略で、トランプ米大統領の政策の変更を批判する言葉「朝令暮改」)など、駄々っ子なのか、とてもプロの政治家とも思えない行状のトランプ大統領には驚くしかない。
今一つ。ウクライナにかまっているのはいいんだけど、まさかウクライナの資源を狙ってるのじゃないだろうな?イスラエルのガザ攻撃を中止させれば?こちらは地下支援はないかもしれないが。

参考
*トランプ、利下げの遅れではなく関税ショック全体のツケをパウエルに押しつけて自分は逃げ切る算段
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2025/08/563830.php

*アメリカに繁栄をもたらす「移民パワー」を“制限”するトランプ…すでに現れ始めた経済面での悪影響とは?
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/38567

*関税とはだれが払うのか?関税が上下することによって起こる影響を解説
https://article.ejinzai.jp/column/how-tariffs-work/