追跡「サハリンの冬/010」

無国籍者への仕打ち

レーニン像/ユジノサハリンスク

先に述べたように「無国籍」という選択をした朝鮮人たちも多かった。ある朝鮮人家族に聞いた話を紹介しよう。「絶対祖国韓国に帰るんだ」という意志が強買ったようで、頑としてロシア国籍を取らなかった家族がいる。その家族に看護大学へ進学したい娘がいた。無国籍者は移動の自由はなかった。大学は大陸のハバロフスクにしかなかったので、受験の前に移動許可の申請をしていた。受験の日も移動理由に書き込んで。ところがなかなか許可は出なかった。その娘と母親は役所に日参して許可が出るよう頼んだ。とうとう受験日の前日になった。まだ出ない。翌日受援日に、役所から連絡がきた。「移動許可が出た」と。
無国籍者には受験の資格はなかった。彼女の母親は地面をたたいて泣き叫んだ。