609studio email newsletter 2025年12月2日号 #1235

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609studio email newsletter 2025年12月2日号 #1235
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世界のニュース、元毎日新聞・井上脩身氏の現代時評、同・渡辺幸重氏の日本の島出来事辞典など多彩な話題満載!なお諸般の事情によりサハリンの話題は都合により当面休止い
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◆現代時評【安青錦に「大鵬二世の期待」】井上脩身
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 大相撲九州場所で初優勝したウクライナ出身の安青錦が大関になった。11月
26日に開かれた日本相撲協会の理事会で正式に決定したもので、初土俵から1
4場所での大関昇進は年6場所が定着した1958年以降、最速記録である。こ
のニュースに、わたしは20年前の秋、駐ウクライナ日本大使の公邸を訪ねたと
きのことを思い出した。公邸に昭和の大横綱・大鵬の写真が掛けられていて、大
使は「大鵬のお父さんはウクライナ出身。だから相撲も人気がある」と語った。
安青錦はその大鵬を彷彿とさせる超スピード出世を果たしたのだ。それだけでは
ない。ともに戦争が影を落としているのである。戦後80年。不思議な縁という
ほかない。

 2005年10月、ウクライナの首都・キーウの国立博物館で書道展が開かれ、日本の書家約100人の作品が展示された。私はこの展覧会の企画、運営に携わり、半年間に3回、キーウを訪れた。前年、ロシア寄り政権を倒して、親ヨーロッパ派のユシチェンコ前首相を復活させたオレンジ革命の余波が街に色濃く漂っていて、オレンジ色の旗を振る若者たちが大通りを闊歩していた。こうした熱っぽい空気のなか、展覧会は駐ウクライナ大使の協力を得て、多大な成果を得たのであった。大鵬の写真を示した大使であったが、この1年半前にウクライナ中部のヴィーンヌィツャ市で産声を上げたダローニ・ヤブグシシンという赤ん坊が後に大関になろうとは、知るよしもない。

 大使が口にした「大鵬のお父さん」であるマルキャン・ボリシコ。1885年
か1888年にウクライナ東部ハリコフ州のルノフシナ村に生まれた。ハリコフ
州はウクライナ戦争の激戦地・ドンバス地方の北にあり、ロシア軍の猛攻を受け
た所だが、この140年近くも前に生まれたボリシコにはもちろん何の関係もな
い。ボリシコはウィキペディアによると、ロシア帝国の極東移住の呼びかけに応
じ、農民の両親とともにサハリンに入植。1925年、単身で日本治世下の南樺
太の大泊(コルサコフ)に移った。1928年、納谷キヨと結し、1940年、
南樺太北部の敷香町で幸喜が生まれた。後の大鵬である。

 太平洋戦争末期の1945年8月、ソ連軍が南樺太に侵攻、敷香町も戦禍に巻
きこまれた。幸喜の母親は北海道東部に引き揚げることにし、幸喜を連れて引き
揚げ船・小笠原丸に乗り込んだ。母親は同船で小樽に向かうつもりだったが、宗
谷海峡で体調が悪化、やむなく稚内で下船した。小笠原丸は稚内から小樽に向か
う途中の留萌沖でソ連潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈没した。乗っていた638人
中生存したのは61人に過ぎなかった。幸喜の母が体調を崩さなかったら、昭和
の大横綱は生まれなかったであろう。引き揚げの母子家庭の生活は厳しく、幸喜
は納豆を売り歩いて家計を支えたという。

 幸喜が弟子屈高校定時制に通いながら林野庁関係の仕事をしていた1956年、
大相撲の二所ノ関部屋一門が巡業に来たのがきっかけで入門。同年9月、初土俵
を踏み、1960年1月場所で新入幕。7月場所で小結、9月場所で関脇、つづ
く11月場所では13勝2敗の好成績で初優勝して大関へと、三段飛びの昇進を
果たした。

 さて、後に安青錦になるダローニ少年。わずか7歳から相撲をはじめたのは、
大鵬の父親の祖国ならではの風土の影響であろうか。生まれ育ったヴィーンヌィ
ツャ市は、1917年にロシア革命が起きるとソビエト・ウクライナ戦争の戦場
になり、ウクライナ人の1割が犠牲になった所。1937年から38年にかけて
のソ連の大粛清時代には「ヴィーンヌィツャ虐殺」といわれるむごたらしい事件
が起き、1万人近くの市民が殺されたとされる。そんな暗い歴史をもつヴィーン
ヌィツャ市であるが、運動神経が抜群のダローニは着実に力をつけ、世界ジュニ
ア相撲選手権大会で3位に入った。

だが、平和は突然破られる。ロシアのプーチン大統領2022年2月、ウクライ
ナに戦争をしかけた。ヴィーンヌィツャ市でもミサイル攻撃を受けて27人が死
亡、80人が負傷した。ダローニは戦争が起きて2カ月後の2022年4月に来
日し、ジュニア選手権で知り合った関西大相撲部主将を訪問。同大や報徳学園
中・高校の相撲部でけいこができるよう、便宜が図られた。さらに報徳学園監督
の紹介で元関脇・安美錦が親方を務める安治川部屋の研修生になり、2023年、
同部屋に正式入門、しこ名を安青錦とした。青はウクライナの国旗の青である。

 安青錦は2023年9月場所で初土俵。その後の活躍は目ざましく、1年半後
の2025年3月場所で新入幕。7月場所で小結、9月場所で関脇、そして11
月場所では12勝3敗として横綱・豊昇龍と並び、優勝決定戦で豊昇龍を降して
初優勝し、大関昇進を決めた。大鵬同様の三段飛び大関である。

 大鵬が大関になったのは新入幕から6場所を経てのこと。安青錦は5場所で大
関になっており、一場所早い昇進だ。昇進時の年齢は大鵬20歳5カ月、安青錦
は21歳8カ月。初土俵時の年齢が大鵬の方が若かったので、大関昇進時の年齢
も大鵬の方が1歳余り若いが、新入幕以降の出世スピードは安青錦がわずかにま
さっている。総合すると、安青錦は大鵬と肩を並べる、大相撲の若手エース、と
評価できそうだ。
大鵬が小結、関脇、大関へと駆け上がったとき、わたしは高校1年生だった。新
しいヒーローの誕生に目を見張り、学校から家に帰るなりテレビにかじりついた
ものだ。小結、関脇、大関と一気に階段を上がった安青錦。その実績をみると、
「大鵬二世」といっても過言ではあるまい。
 大鵬は大関になって5場所後の1061年9月場所で横綱昇進を決め、引退す
る1971年5月場所まで、32回、優勝。ちょうど高度経済成長期であったこ
とから「巨人・大鵬・卵焼き」の流行語にもなった。安青錦が大鵬のような大記
録を生み出せるはまだわからないが、わたしは8割以上の確立で横綱になるとみ
ている。大横綱になれるかどうかは、3連敗し、まだ一度も勝っていない横綱・
大の里と互角にわたり合えるかにかかっていよう。大鵬のライバルが柏戸であっ
たように、安青錦にとって大の里が最大のライバルになるにちがいない。

 安青錦の大関昇進が決またとき、テレビではウクライナの市民の喜びの表情を
映しだしていた。ロシアの攻撃におびえるなか、勇気を与えてくれたというのだ。
アメリカのトランプ大統領がウクライナ戦争の停戦と和平に乗り出していると報
道されている。だが、移り気のトランプ大統領のことだ。彼の言を素直に受け取
ることはできず、ウクライナの平和への道筋はまだ見通せない。
 報道によると、安青錦は優勝後、母親に電話。「お母さんは泣いていた」とい
う。ウクライナに平和が戻って、里帰りした横綱・安青錦がお母さんに晴れ姿を
見せられる日がくることを、わたしは切に願う。
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◆ TOPIX
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《熊出没注意》

関西各地でも熊目撃情報多発!
https://www.sankei.com/article/20251030-M5V6YHWAUBN6HATXN4MPPKMCU4/

*京都市伏見区で「70、80センチくらいのクマのような動物を見た」と通報 京
都府警が注意喚起
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1609635#goog_rewarded

《自然災害》

*バンコク=佐藤友紀】タイ政府当局は28日、タイ南部で大雨による洪水の被
害が拡大し、145人が死亡したと発表した。約1万4000人が避難生活を送
っているという。在タイ日本大使館によると日本人の被害は報告されていない。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20251128-OYT1T50147/

*インドネシア・スマトラ島で大雨、日本人8人が孤立状態…大使館「健康状態
に問題はなく連絡も取れている」
https://www.yomiuri.co.jp/world/20251130-GYT1T00087/

*米国アラスカ州・アンカレッジ近郊でM6.0の地震 津波の心配なし
https://weathernews.jp/news/202511/280016/

地震情報 https://www.data.jma.go.jp/multi/quake/index.html?lang=jp
地震本部 https://www.jishin.go.jp/

《JAPAN & WORLD》

*トランプ氏、ベネズエラへの圧力強化 「領空は閉鎖されたとみなすべき」
https://www.cnn.co.jp/usa/35241055.html

*北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名さ
れている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能
性が高い文字とは
https://www.news-postseven.com/archives/20251129_2078603.html?DETAIL

*「比例代表削減案は地方の信頼関係を上回る大きな動き」公明が自民党を牽制
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2318943

*米国人53%が「大富豪は民主主義の脅威」と回答 トランプ氏「新NY市長支
持」に急変の背景には「社会主義の台頭」も
https://x.gd/HfBi1

*中国人観光客が激減、「中国頼み」企業が総崩れ 百貨店・化粧品大手で株価
急落続く  https://x.com/stormmedia_jp/status/1991397345477664800

*アングル:ウクライナ和平案に与党内で厳しい声、トランプ氏の求心力に陰り
https://x.gd/ag9DV
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◇編集長から:片山通夫
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師走に入りました。何かと気ぜわしいと思います。今年はひとしお寒いように感じます。年のせいだという声もしきり…。。

巷では物価もあがりっぱなし、昨年の米騒動→一転減産だとか…。戦争にまっし
ぐらの首相はきっとアメリカ頼りの穀物輸入を押し付けられて・・・。これこそ
反日首相だと巷の評判。我が国のシーレーンを守るには各国との融和(平和)が
最適なのに。

この前の党首討論を少し聞いていたが、泣きたくなるほどのレベルだった。一体義務教育を本当に受けてきたのかと思う程の論点ずらし。つまりごまかし。
中学レベルの「討論」ができない。あれじゃ国家予算を使ってやる価値はない。

そういえば問題は違うがアメリカ大統領も朝令暮改の連続だ。

過日私の関係している写真倶楽部が備中高梁(岡山県)で雲海を見事に仕留めた。
急に冷え込んだ気候が良かったようだ。私は行けなかった!
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発行日  2025年12月2日 #1235
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