現代時評plus《クマ出没注意!》片山通夫

筆者はほぼ近畿3府県の真ん中に住んでいる。筆者が子供の頃(半世紀以上昔の話)にはまさに「ウサギ追いしかの山 小鮒釣りしかの川」の世界だった。無論かの山は名のある名山ではなくいわゆる里山であり、川は農業用水用の溜池から流れ出る川だった。冬になると村人総出で里山に柴を刈る。その柴は風呂にかまどに使う重要な燃料だった。無論薪も。

そんな時期に小学生は耐寒訓練と称してウサギ狩りをその里山で行う。里山の峰には長さ1m位の竹などの棒を持った高学年の子供たちが控える。里山のふもとには太さ1mm位だったかの糸で編んだネットを横一列の張る。記憶は定かではないが50m位だったと思う。そのネットの両側には低学年の子供たちがわんさかわんさかと並ぶ。
先生や村の大人たちが合図の笛を鳴らすと高学年の児童たちは村の若者たちと一緒にわーっと鬨(とき)の声を挙げて峰からふもとに(いるだろうと思われる)ウサギを追いおろしてゆく。棒で地面を叩きながら。追われたウサギは心ならずもふもとに向かって駆け降りる。待ち構えたネットに引っかかってあえなく御用となる計画だが・・・。学校では児童のお母さんたちが大鍋でウサギ汁ならぬ豚汁を作ってくれていた。

そんなことを思い出していたら、京都の仁和寺付近にクマが出たという記事が目に留まった。よく読んでみると鳴滝という場所にあるユースホステル辺りだとか。結構車やバスが通る所だ。京都で観光協会関連のボランティアをしている知り合いは「クマよけの鈴」は今や「人間がいるという合図」なのだそうだ。クマは鈴の音を頼りに近づいて来るらしい。

クマ出没注意!なのだ。