散歩道《穴太衆の石積み 坂本・滋賀》片山通夫

「あのうしゅう」と読む。決して「あなごの太巻き」ではない。穴太衆の歴史は古い。一説には奈良・明日香の石舞台にもその石積の技の片鱗を感じられると言われている。8世紀ごろ、比叡山延暦寺の石垣にも穴太衆の石工衆が動員され、門前町の坂本には当時の石積が華麗に残っている。
時代は下がり、安土時代には安土城等戦国期の築城に大いにその石積みの技術を使われた。
また現代では、2016年4月14日21時26分以降に熊本県と大分県で相次いで発生した熊本地震。気象庁震度階級では最も大きい震度7を観測する地震が4月14日夜および4月16日未明に発生したほか、最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生している。当然ながら熊本城も大きな被害を受け、加藤清正が築いた「武者返し」と呼ばれる独特な勾配が特徴で、地震で崩壊した石垣が多い一方で、創建当時のままの石垣の多くが崩壊を免れたと言われている。
加藤清正の築城技術には穴太衆の石垣技術が利用されているという。

参考・現代の穴太衆の石積み

石の声を聞き石に従うことが仕事

石の集積場へ行き、たくさんの石の周りを1日か2日かけてゆっくりとぐるぐる周りながら、一つひとつ違う石の 性格を覚えていきます。
そうして頭の中に絵を描きながら配置を組み上げていくのです。実際に石積みに着手するときは、すでに頭の中に設計図が ほぼ出来上がっているわけです。石を見分けるというより、石と対話しながら石の声に耳を傾けていく。 石と長く付き合っていると石のほうから教えてくれるようになるのです。穴太衆積の技法はすべて口伝されてきましたが、 それは秘技だからというよりも文字では表現できないからです。
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