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609 Studio email newsletter 2025年10月14日号 #1228
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世界のニュース、元毎日新聞・井上脩身氏のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評《高市総裁の笑顔を破った連立離脱》井上脩身
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笑顔の高市早苗・自民党総裁が鬼の形相になった。今月10日、公明党の斉
藤鉄夫代表から連立離脱を告げられた直後の記者会見でのことだ。自民党の総
裁選中、人前では笑顔を絶やさず、勝利が決まると「ついに石破から総理の座
を奪い取った」とばかりに満面に笑みを浮かべた高市氏だが、公明離脱のショ
ックから、報道陣の前で素顔を表してしまったのだ。わたしは1カ月前から、
毎朝笑顔をつくるようつとめている。「笑顔は健康のもと」という新聞記事を
みたからだ。という次第で、高市氏の笑顔にわたしは関心をもった。彼女の笑
顔は心からのものなのか、作ったものかと。結局、怖い顔を隠すために政治的
に作ったに過ぎなかったのである。余りの狼狽からボロを出してしまった高市
氏をみて、わたしは思った。破顔ならぬ破党の始まりではないかと。
笑顔を作ると、幸せホルモンの分泌が促されて気分が明るくなると9月半ば
の新聞記事にあった。それで健康になれるのならと、わたしは小箱にあしらわ
れたアンパンマンの顏をみつめながら、約5分間笑顔を作ることにしたのだ。
始めたのが自民党の総裁選が話題になりだしたころなので、高市氏の笑顔に注
目するようになった。新総裁に選出されたときは、幸せホルモンがどっと分泌
したのであろう、心からの笑いにつつまれた高市氏であった。注目すべきは、
斉藤氏との連立協議をする直前の表情である。連立離脱を告げるつもりの斉藤
氏が厳しく顏を引き締めているのに対し、高市氏はいつものように微笑を浮か
べている。連立離脱を申し渡されるとは、夢にも思っていなかったことを表し
ているではないか。会談後は冒頭に述べた通りだ。怒りが心頭に発したのであ
ろう。頭に角を二つつければ鬼女そのものであった。
思わず顏に現れた形相が、高市氏の公明党に対する姿勢を表しているように思
った。安倍晋三政権下での集団的自衛権行使容認の閣議決定の際、「平和の
党」を掲げる公明党はしぶりながらも、結局その決定を承認。森友問題、桜を
見る会問題など、安倍氏の強権姿勢に非難が湧きあがった際も、公明党は事実
上黙認してきた。公明党は「恥も外聞もなく自民党にしがみついている」とみ
られても仕方なかった。
高市氏は第2次安倍内閣と第4次安倍内閣で総務大臣に登用されるなど、安倍
氏から強く引き立てられ、高市氏自身、安倍氏を尊敬していた。その安倍政権
下における公明党の態度をみて、どこか見下していたのではないだろうか。高
市氏は「安倍政治復活継承」のおもいを込めて総裁選を戦い、勝ち取ったので
ある。その高市氏としては、公明党は「しがみついてくるはず」であった。そ
れが何と、「サヨナラ」を告げにきたのだ。
わたしは連立離脱の報に「公明党にも骨があったのか」と驚いた。高市氏には
その骨が顏に突き刺さり、笑顔が消えたわけだ。笑顔が消えるのはいいとして、
26年間一緒にやってきた相手に鬼の形相を向けるとはどういうことだろう。
高市氏の笑顔は、人を見下すという彼女の本性を隠すためだったのかもしれな
い。
公明党抜きの政治運営を、高市氏が笑顔を絶やさずできるかどうかわからない
が、笑おうが笑うまいが、わが国経済の立て直しは急務である。
わが国の経済成長がピークに達していた1980年、日本のGDPは1兆1
293億ドルであった。2000年は4兆9683億ドル、2025年(予
測)は4兆1864億ドルである。日本は1980年から2000年まで4・
4倍に増えたものの、2000年以降は全く伸びが止まり、むしろ下降傾向で
ある。参考までにアメリカと中国のGDP(単位ドル)は次のとおりだ。
1980年=アメリカ2兆8573億、中国3035億▽2000年=アメリ
カ10兆2509億(1980年比3・6倍)、中国1兆2203億(同4・
0倍)▽2025年(予測)=アメリカ30兆5072億(2000年比3
倍)、中国19兆2317億(同15・8倍)
アメリカは1980年から2000年、2025年とおおむね3倍の伸びを示
し、堅調である。中国の2000年からの経済成長はすさまじく、この25年
間で16倍近くもGDPが伸長。アメリカと中国に挟まれた日本だけが谷間に
落ち込んだ形だ。
「失われた30年」といわれ、なお先行きは見通せない。この打破のためと称
して高市氏はアベノミクスの二番煎じのごとく、「サナエノミクス」を標榜、
積極財政策をとる構えである。
アベノミクスは(1)大胆な金融政策(2)機動的な財政政策(3)民間投資を
喚起する成長戦略――の3本の矢からなる。要するに、産業界にカネをジャブ
ジャブ投入し、経済・産業活動を活性化させようというものだ。だが、GDP
の上では全くその成果が表れず、エコノミストの多くは「失敗だった」と指摘。
こうしたなか、高市氏は「アベノミクス継承」を掲げるのである。GDPが下
降傾向にあるなか、積極財政を展開して果たして効果があるのだろうか。アベ
ノミクスによって円安が進み、輸入品の価格が上昇。加えてウクライナ戦争の
影響で物価が高騰、さらにトランプ関税が輸出産業にダメージを与えるとみら
れ、安倍政権当時よりもマイナス要因が増えている。この現状でカネをジャブ
ジャブ投入することは、経済を上向きにできないだけでなく、財政赤字を増や
すだけになる可能性が高い。
高市氏は閣僚時代も靖国参拝を欠かさず、選択的夫婦別姓制度導入に反対する
など、右翼的政治姿勢を大っぴらにしてきた。今年4月、高市氏は台湾の頼清
徳総統を訪ね、連携を深めていくことなどを話し合っており、高市氏では、日
中関係がきしむことは避けられない。もはやアメリカと肩を並べかねないほど
の経済大国となった中国は、わが国の貿易相手国のトップである。政治的、・
外交的きしみはわが国の経済にマイナスであることはいうまでもない。
アメリカ、中国という、相反する経済・軍事勢力を両翼にかかえる日本のリー
ダーに求められるのは、日米、日中関係を的確に仕切る鋭い才覚と幅広い人格
である。高市氏にその器量がないことは、鬼の形相が示している。だが、公明
抜きの少数与党にやせ細ったとはいえ、高市氏の下で国政を進めるしかない。
経済的に下降カーブをこのままたどるならば、高市氏への失望感にとどまらず、
自民党の弱体化を加速させることになるであろう。
このように見ていくと、公明党にとって、高市氏と手を組むことは、連帯責
任をさらに負い続けることを意味する。斉藤鉄夫代表は「政治とカネの問題の
解決に自民党が本気で取り組んでいない」ことを連立離脱の理由に挙げたが、
もっと深い思いが込められていたとわたしは思う。
本稿の最後に、これだけは付け加えておきたい。高市氏は総裁選中「奈良の
鹿を蹴飛ばした外国人がいた」と語った。わたしはトランプ氏が大統領選中
「(中南米)移民がペットを食った」と発言したことを思いだした。高市氏の
外国人(おそらくアジア、アフリカ人)へのあからさまな差別観。この一点で
わたしは「高市ノー」なのである。わたしは公明党を支持しているわけではな
いが、「高市ノー」を突き付けた公明党に拍手喝采を送りたい。
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〔地震〕環太平洋の各地で地震頻発!カムチャッカからフィリピンやインドネ
シア等。当然我が国も含まれる。
*地震情報は日本国内においては気象庁が地震に関する情報(震度・震源な
ど)の発表を行っています。
気象庁 地震情報
https://www.data.jma.go.jp/multi/quake/index.html?lang=jp
重要【南海トラフ地震について】
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/nteq/index.html
〔世界のニュース〕
*自公連立白紙、公明の怒りに油注いだ高市総裁 「他党より自民が大事」側
近から漏れる声
:変わらない自民党への怒りが限界に達した。公明党の斉藤鉄夫代表が10日、
26年間連携してきた自民の高市早苗総裁に「決別」を告げた。高市氏は公明が
求めた「政治とカネ」問題で継続協議を求めたが、斉藤氏は突き放した。野党
時代も離れず、信頼を重ねた“相棒”を失った自民。「一丁目一番地」とした
自公連立が成り立たず、初手でつまずいた高市新体制を暗中模索の日々が待ち
受ける。(小川勝也、坂本公司、村田直隆)・・・MORE
https://www.nishinippon.co.jp/item/1410079/
*トランプ派の意に沿わぬ人間は「アンティファ」扱い、殺害予告受けた大学
教授が米国脱出 https://x.gd/0yxjc
参考 https://www.bbc.com/japanese/articles/cz08y1j13v1o
*ロシア各州、入隊ボーナスを大幅引き上げ ウクライナでの戦闘への兵力増
強図る https://www.cnn.co.jp/world/35238942.html
*トランプ氏、「反乱法」の発動に言及 州兵派遣を阻む裁判所判断回避で
:(CNN) トランプ米大統領は6日、全米の都市への部隊派遣を裁判所が
引き続き差し止める場合、「反乱法」を発動する可能性があると述べた。10
0年以上前に制定された同法を用いて不利な司法判断を回避する意向を示唆し
た。 https://www.cnn.co.jp/usa/35238888.html
*米政府閉鎖が空の移動を直撃、各地で管制塔閉鎖や遅延が発生
https://www.cnn.co.jp/usa/35238916.html
*メローニ伊首相、「ジェノサイドの共犯」としてICCに告発される
https://www.afpbb.com/articles/-/3602262?cx_part=top_latest
*米上院議員、ボンディ司法長官を厳しく追及 トランプ氏の政敵起訴めぐり
https://x.gd/IsBSE
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◇編集長から:片山通夫
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もう一度、「石破首相再選」という策はないものか?それとも辞職取り消し?
野分が非情にも八丈島や小笠原近辺の島々を二度も続けて襲った。お見舞いを!
今月10日は忙しい日だった。知らなかったが今年は昭和100年だとか。
石破首相の所感、ノーベル平和賞発表、公明党が自民党と決別、フィリピン
でM7.4の強い地震等々この日に集中した。
秋もようやくという季節になった。先週6日の中秋の名月は大阪では見事だ
った。藤原道長が詠んだ和歌「この世をば我が世とぞ思ふ 望月の欠けたるこ
ともなしと思へば」は安倍時代の自民党の振る舞い。やはり「驕る平氏は久し
からず」だった。
今週の井上脩身氏の現代時評だが、高市氏の笑顔が一瞬にして般若に変わっ
たという表現は言い得て妙。般若の顔の裏側には山姥が隠れているのかもしれ
ない。奈良・十津川村、下市町辺りには山姥が棲んでいるという話もある。
https://contest.japias.jp/tqj17/170236/jiten/yamanba.html
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