今、ニューヨークで国連総会が開かれている。我が国の石破総理は国連総会で演説「安保理改革」や「二国家解決」を訴えた。また安全保障理事会が十分に機能を発揮できていないとして改革を断行すべきだと訴え、中東情勢をめぐり、イスラエルが「二国家解決」への道を閉ざすさらなる行動をとる場合、パレスチナを国家として承認する可能性を示唆した。
石破氏にとっては世界のみならず日本国内向けのメッセージを発出したつもりだったと思うが、「とき既に遅し」で国内のマスコミもあまり大きくは取り上げなかった。それに引き換え、自民党の筆者に言わせれば猿芝居然とした総裁選の方が大きく取り上げられている様を見るにつけ、こりゃもうこの国は駄目だと、今更ながら思い知ったわけだ。
しかし石破首相は重要な発言をした。
先の大戦後、日本はアジア諸国の「寛容の精神」に支えられ「不戦の誓いの下、世界の恒久平和実現に力を尽くしてきた」と強調。分断より連帯、対立より寛容の姿勢が重要だと訴えた。またイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻を強く非難したことも同時に記憶にとどめたい。
所謂「石破おろし」はこの夏の参議院選が自民の敗北に終わってすぐに、読売と毎日が先陣を切って始まった。読売などは「号外」まで出した。結果として9月に退陣すると石破氏は発表したことはご存じのとおりである。終戦記念日の発言、ミズリー号上での無条件降伏式、そして現在の国連総会での演説まで、自民党と大手のマスコミは、完全に総理の発言を抑えきった。見事な言論統制である。今にして思えば、読売の号外は自民党内部からの圧力ではなかったと疑いたくなる。
それにつけても国内の自民党総裁選のマスコミの熱気は恐ろしい程だ。遠い昔、マスコミ人事って言葉があったが今も同じ形態と言える。大手のマスコミが「石破退陣」なりを書くと遠からず石破氏は辞めざるを得ないように陥る。今、《高市早苗の人気が急落「怒ってみせるだけ…外国人対策に具体性ゼロ」あれだけ騒いだ消費税減税はどこへ消えた?コロコロ意見を変える姿勢》と日本テレビの調査。真贋は今のところ不明だが、読売系の日本テレビの調査と来ると、さもありなんと思ってしまう。きっと小泉氏の就任を目指していると思う。しかし小泉氏も「やらせ」問題で失速中!
残念ながら国連での演説は各国の共感を得たとは思えないが「イスラエルが「二国家解決」への道を閉ざすさらなる行動をとる場合、パレスチナを国家として承認する可能性を示唆」した。我が国にとっては精一杯の表現だったと思われる。奈良のシカが「外国人に虐待されている」と訴える馬鹿よりははるかに上等だ。(https://www.tokyo-np.co.jp/article/437743)
しかしこうしてみると、悲しいかな、自民党の総裁選のレベルの低いことが際立っているようだ。良識ある自民党の懐の深さが懐かしい。
この話を友人と久々の秋の夜に自民党総裁選の話をしてみたら、彼は「酒がまずくなる」の一言。
「白玉の 歯にしみとほる秋の夜の 酒は静かに飲むべかりけり」 若山牧水。