
もうかなり昔の話。(あんなんばっかり!)ミノルタTC-1と言うカメラがあった。勿論フィルムカメラである。調べてみたら今から30年も前の1996年01月01日が新発売だった。「緑のロッコール」で有名なミノルタのカメラだ。チタンボデイの実にコンパクトなカメラ。今時のコンパクトデジタルカメラよりもはるかに精巧な造りだと思う。 閑話休題。実によく映るカメラだった。まず小さい。シャツのポケットに入る程度のサイズ。98 mm × 60 mm × 29 mm)。レンズは「緑のロッコール」と呼ばれていた銘玉 ロッコール 28mm f/3.5 を搭載されていてスナップには最高だった。しかしボクは当時このカメラを持っていなかった。ボディが小さいのは良いのだが、何しろ高い。チタンなので丈夫だろうけど高かった。ビンボーなボクには手が出なかった。
それが大分経ってから、余裕というやつがボクにも回ってきたので,
中古で手に入れた。ところがそのころになるとデジタルカメラが主流で、暗室に対して明室(めいしつ)、つまりコンピュータ処理が中心になってきた。
またボクが足繁く通っていたカメラ店などの、フィルム売り場は行くたびに小さくなって最後には店員に「フィルムください」だの「印画紙はどこに?」と尋ねなきゃどこにあるかわからないほど、虐待されてきた。
世界はデジタルの時代になり、カメラも当然デジタル化してゆく。確かにコスト的には安いので、枚数をこなすようになった。フィルムカメラ時代のように、慎重に撮らなくなった。連射が当たり前で、一秒間に5コマ辺りから今では高速連射撮影で秒25コマなんてのもあるようだ。確か昔の16mm映画カメラがトーキーで秒24コマだったと記憶しているが、映画カメラ並みのコマ数・・・。
話がどんどん飛んでいるので、元のミノルタTC-1に戻る。このカメラは何度も言うように実に小さい。ボクはいつ頃か忘れたがある目的をもって中古のTC-1を手に入れた。ある目的とは大層な表現だが、所謂ストリートでスナップ写真を撮ろうという魂胆。先に書いたようにこのカメラについているG-Rokkorというレンズは28mmF3.5の広角レンズで、歪曲収差が少なく、中央部の描写性能は高いものの、周辺減光や像の流れる「レンズの味」が特徴。また、最短撮影距離が短いTC-1の特性と合わせて使用することで、近接撮影でも背景のボケや描写の改善が期待でき、撮影スタイルやレンズの特性を楽しむことが出来た。
良いとこ尽くめのTC-1だが、あまり使っていなかった。なぜなら世はデジタルの時代に突入していたのだ。