自民党の内部で大きな嵐が吹いている。その嵐は地獄から脱する為の生みの苦しみの嵐か、それとも極右もしくは内部分裂への茨道なのか。安倍首相時代から現在に至るまでの間、菅と岸田の二人の首相を自民党は支えた。この二人は、安倍の専横を踏襲していた。党内がまだ「安倍時代の余韻」を浸る余裕があったのだ。闇金議員もまた右派を辞任する議員も安倍時代に謳歌した夢を見続けられた。つまり闇金議員などへの世論の風当たりもあまり目立っていなかった。
いや、国民から見れば不満や疑問はふつふつと湧いてきていた。
大多数の自民党議員は、国民の持つその不満や疑問をほとんど感じないままに選挙に臨んだ。選挙前には自民党が247議席だったのがこの選挙で191議席に激変した。公明党も32議席から25議席に落ち込んだ。結局与党は279議席から215議席に落ちた。選挙を前に真摯に受け止めて党内の引き締めや闇金議員への厳しい処分など目に見える改革をすれば良かったのだが、おざなりの処置に終始したことがこの結果を生んだ。国民もようやく目が覚めたということだ。しかしこの7月の参議院選でも同じことが起こり、野党に流れてはずの、国民の支持は自民党や民主党など既成政党にもNOを突きつけた。参政党など極右と言うか面白いことを発する政党に国民の支持は流れた。
分析を様々な報道機関や政党が行っているが、SNSに若者の票が流れたという結果を踏まえて、既成政党はSNSなどを武器に戦略を練り直している現状だ。おそらくまだ明確な戦略は練り切れていないと思われる。安部政権時代を支えた一翼にネット右翼(派)がいた。彼らはおそらく変革を好まず、日本古来の伝統を重んじたグループだったと思う。そして声が大きいのが特徴で、実際の選挙演説でも安倍首相の言に反対するグループは批判の声を封殺した。事態は極限にまで安部政権の自由を認めた。それは桜を見る会など些末な件だけでなく、憲法の解釈を変えて集団的自衛権の行使を合法化する、あるいは森友・加計問題や桜を見る会の私物化という問題に表れているように傲慢さがあった。
それらの反省からか、旧統一教会信者の家族に暗殺された安部首相の死から事態はゆっくりだが着実に動き出した。自民党では安倍の路線を踏襲する菅、岸田両首相のあと、熾烈な総裁選が行われ、石破首相が昨年秋に誕生した。しかし一方では自民党支持者が激減していた。それはこの稿に書いている安倍首相への支持層が減ったということに他ならない。通常暗殺されれば同情で支持は集まるのだが。
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