────────────
【609 Studio】email newsletter 2025年8月26日 #1221
──────────────
世界のニュース、井上脩身氏のコラムなど多彩な話題満載!
また諸般の事情によりサハリンの話題は都合により当面休止いたします。
毎週火曜日発行 購読無料!
購読 解除 https://www.mag2.com/m/0000052236
───────────────
◆現代時評《反ユダヤ主義》片山通夫
───────────────
最近、新聞紙上などで「反ユダヤ主義」と言う言葉がよく聞かれる。イスラ
エルがハマスとの戦闘でガザ地区を攻撃している状況の中で、イスラエル側に
ついたアメリカのトランプ大統領などからも、彼にとっては金科玉条のようにこの言葉をよく聞くことがあるが、ユダヤ教やその歴史、またナチスのホロコーストなど、あまり日本人になじみのない歴史や言葉が頻繁に出てくる。もう一度筆者もおさらいするつもりで考えてみることにした。
まずこの反ユダヤ主義とは辞書などで調べてみると、「ユダヤ人やユダヤ教
に対する偏見、敵意、憎悪、迫害、差別を指す。これは宗教的、人種的、ある
いは政治的な理由からユダヤ人を排斥しようとする思想であり、歴史的にはホ
ロコーストのような大量虐殺の根源にもなった」と言うようである。簡単に言
うとユダヤ人への偏見、差別であり、排斥でもある。
我々が知っているのはナチス(1933年から1945年までドイツを統治した国家
および政党の通称)が行ったユダヤ人迫害、抹殺は有名である。
しかし史上では、ナチスのホロコーストだけでなく、ユダヤ人の迫害の歴史
は古く、古代から始まり、キリスト教の国教化(392年、ローマ帝国のテオド
シウス帝がアタナシウス派キリスト教を国教としたこと)以降、十字軍や宗教
改革、ポグロムといった暴力行為、そして最終的にはホロコーストに至る。
ホロコーストはナチスによる組織的なユダヤ人約600万人の虐殺であり、反
ユダヤ主義(ユダヤ人に対する偏見や嫌悪)がその背景にあった。
ではなぜユダヤ民族はかくまでも長きにわたり、反ユダヤ主義にさいなまれ
て北かと言うと、実に「反キリスト主義」のなせる技だった。つまりユダヤ人
はキリストを信じなかった。キリスト紀元の最初の1000年間で、ヨーロッパの
キリスト教徒(カトリック)階層のリーダーたちは、すべてのユダヤ人はキリ
ストの処刑の責任を負い、ローマ人による神殿の破壊とユダヤ人が分散してい
るのは、過去の宗教上の罪と、ユダヤ人が自分たちの信仰を放棄してキリスト
教信仰を受け入れなかったことに対する罰であるという考え方からである。
実際、過去2000年もの間、カトリックはユダヤ人を宗教という観点から認め
なかった、いや信じなかったと言われている。反ユダヤ主義は、「反キリスト教」の裏返しだった。一神教であるユダヤ教もキリスト教も、我が国のように神仏を同時に信じ敬う「宗教」は信じられないだろうし、「反ユダヤ主義」だとイスラエルのネタニヤフ首相は無論、アメリカのトランプ大統領も同様の考えのようだ。
現在、ヨルダン川西岸とガザ地区、それに東エルサレムとイスラエルは、
ローマ時代(紀元前753年。日本ではまだ文字も持たない縄文時代と考えられ
ている)から「パレスチナ」と呼ばれ、聖書に書かれたユダヤ人の王国の土
地ともされ、ユダヤ人は古来の祖国とみなしている。1947年、国連でパレスチ
ナ分割決議を採択し、パレスチナの地が、ユダヤ人とアラブ人の2国に分けら
れ、翌年ユダヤ人がイスラエルの建国を宣言した。
このように2000年来の歴史が今に生きているし、各国の思惑が交錯している
のがイスラエルとパレスチナ、そしてそれがこの二国の利害に直結しているよ
うだ。そこにはナチスドイツのユダヤ人迫害、広義にはキリスト教(カトリッ
ク)との2000年来の争いがあるのが「ユダヤ主義」と「反ユダヤ主義」の戦い
の結果だと筆者は考える。日本で言うと、文字も持たない縄文時代からの反目
が今に続いている。一神教は我々のような多神教徒には理解できない。
今、フランスやオーストラリア、カナダなどの各国が、パレスチナ・ガザを国家として認める動きがあり、イスラエルが「反ユダヤ主義」だと抗議している。難しい問題だが、そこにもパレスチナ民族がユダヤ民族と同様の年月を過ごしてきたはずだ。またトランプ大統領のように、気にいらない主義や運動、教育などを反ユダヤ主義と言うお題目で圧力をかけて締め付けるのは感心しない。
やはりお正月には神道を信じて神社へ、お盆には仏教徒となり、仏さまに手
を合わせ、キリスト降誕祭を祝ってクリスマスを過ごす「柔軟さ」が良いので
はないかと思う。そんな日本でも宗教がらみの衝突は歴史的には多々存在した。
出来れば寛容の精神で臨みたいものだ。
─────────────
◆今週のTOPIX
─────────────
[地震]
相変わらず多発している。詳しくは・・・
〔気象庁地震情報〕
https://www.data.jma.go.jp/multi/quake/index.html?lang=jp
〔政界いろいろ〕
*総裁リコール包囲網で絶体絶命の石破首相、裏金議員たちが動けば動くほど
続投の意思を強めるワケ 目指すのは安倍政治から脱却と自民党の再生
MORE
https://www.news-postseven.com/archives/20250819_2058778.html?DETAIL
*《石破リコール工作》次期政権“入閣リスト”に旧安倍派幹部らの名 世耕
弘成氏が官房長官、西村康稔氏が外相、萩生田光一氏が幹事長候補…「裏金議
員内閣」の様相に ( NEWSポストセブン 2025.08.19)
⇒閣僚や党役員の人事は総理大臣の“権力の源泉”とされてきた。重要ポスト
を配分していくことで党内の多数を押さえ、権力掌握につながるからだ。だが、
石破茂・首相の続投か、退陣を求める勢力が「総裁リコール」(臨時総裁選)
を実施させるのかで大揺れのなか、早くも“次期政権の幹部ポスト”の陣容が
出回っているというのだ。一体、どういうことなのか──。
MORE
https://www.news-postseven.com/archives/20250819_2058777.html?DETAIL
*トランプ氏、ウクライナの攻撃への転換支持示す投稿 「侵略国を攻撃せず
して勝つのは難しい」
https://www.cnn.co.jp/usa/35237000.html?tag=nl
─────────────
【出版案内】
片山通夫写真集 ”ONCE UPON a TIME”
アマゾンでも電子雑誌として販売中! https://onl.bz/EVvmBhx
60年代から撮り続けたドキュメンタリー220点あまりを収録した写真集。1960
年代のキューバ、「北送」と呼ばれた在日朝鮮人の祖国帰還の新潟港。ベイ
ルートの重信房子、ブルガリア、チェコ、ルーマニアなど東欧諸国の民主化や
廃墟となったチョルノブイリ、作者のライフワークとなったサハリンの戦後問
題。そして時代を映す日本の折々の風景をモノクロームで描いた作品集。
オンデマンド印刷。
全286頁。モノクローム写真239点を収録。
発行 publishing house Lapiz
本体価格 5000円(税込)+送料(600円)
お問合せ・ご注文はメールで。
michiokatayama*gmail.com *→@に変えてください。
お名前、電話番号、郵送先など連絡先をお忘れなく。
──────────────
◇編集長から:片山通夫
──────────────
酷暑が続いています。暦の上では「処暑(しょしょ)」で、暑さが収まって
くる時期であるとされていて今年は8月23日。ちょうど関西では地蔵盆。地蔵
盆は子どもたちの健やかな成長を願う地蔵菩薩の祭りで京都等では町の辻々の
祠に祀られているお地蔵さまを飾りお供えをする。またお供えは子供たちに配
り共に祝う。最近都会では凶悪な犯罪が起こっている。先日も神戸のマンショ
ンのエレベーターで女性が刺され亡くなった。地蔵盆のように隣近所同志が日
頃から親しく付き合えればと思う。
──────────────
【609 Studio】email newsletter
発行日 2025年8月26日 #1221
FB https://www.facebook.com/michio.katayama.5
配信 まぐまぐ配信システム ID:00000522369
contac mk*609studio,com *→@
website http://www.609studio.com/
投稿 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/
購読 解除 https://www.mag2.com/m/0000052236
◇禁・無断転載◇ ───── ─────