闇にうごめいているような印象がある全国農業協同組合連合会(JA全農)の備蓄米。新聞報道によると、農林水産省はこの3月から4月にかけて3回に分けて備蓄米の入札を実施し、JA全農が全体の約95%を落札したとある。その半分がようやく卸売業者にこの程届いたというわけだが、JA全農「意図的に遅らせたわけではない」と言う。一方、5月下旬に随意契約で小売業者に直接売り渡した備蓄米は、契約から数日で店頭に並んでおり、スピードの違いが際立つ。
精米する時間がとか何とかJA全農には彼らなりの理由がありそうだ。そういえば消費税を下げられない理由に、石破総理は国会で「下げるには技術的に一年はかかる」と述べていたが、上げるときはどうだったか?小売業者は「一晩で出来る」と言い切る。レジスターなどの変更のことだ。
JA全農は「怪しいことはない」と言い切るが、随意契約者は供給された玄米を精米し小分けして袋詰めして店頭に並べることを数日でやってしまう。ここに怪しい影はない。まさに物理的な作業のみだからである。一方我が国は米を主食にする国民が多い。大多数だろう。それで5キロ2000円で生産者は生きてゆけるのかと言う問題が残る。
それでは日本のような形の生産者は生きてゆけないだろうからである。また天候不順など不作の要因があった場合の対応も考えなくてはならない。善意に考えれば、おそらくJA全農はそこのところを考えてバランスよく米を流通させているのだと思う。思いっきり善意に考えてである。
古来、米は武士の社会で重要だった。大名の石高がその大名の格式が決まる。その思想がそのまま現在の農業に生きているのではないかと思う。だからJA全農が怪しいまでも影で価格調整をして出荷調整をする。いや、そうすることで「農家を、農業を守っている」と言う矜持があるのではないか。何しろ豊作だったら米は余る、不作だったら米不足で大騒ぎする。そこをどのように調整するかを国民が理解し了解しなければ「どこかがいつも悪く」なってしまう。
そしてこの流れに乗れないで影で泣くのはいつも農業者だ。