《求む!日本の芸術文化》


フォトジャーナリスト 片山通夫

ロシア・サハリン州立美術館 「極東地域の芸術」コレクション
主任学術研究員 オルガ ニコラェウナ さん

オルガ ニコラェウナ さん (写真)には、この一月にサハリンへ出かけた折に、サハリン州立美術館でばったりと会った。

「片山さん、美術館へ来る時間ありますか?」(美女に誘われて断ることはできないボクなのだ)「もちろん、行きますよ」

かいつまんで言うと彼女の話は以下の通り。

求む!日本の芸術文化

この美術館は1983年に開設され、昨年がちょうど創立30周年だった。

 収納物の点検も行ったが、この建物もそうだが、樺太時代のものも多くはないが所蔵している。しかしいわゆる生活雑器が主で、博物館が所蔵するような品物ばかりである。

 この島には韓国系の人々も多い。ある韓国人が韓国の所蔵物を見てその貧弱なもの、つまりとても美術品と言えるようなものがなかったことに驚いて、帰国されてから、いくつもの磁器や陶器など、美術品として恥ずかしくないものを寄贈していただいた。

 しかし残念なことに樺太に深くかかわりのある日本のものはとても貧しいものしかない

オルガさんはこう続ける。

「もし日本の方のご厚意で日本の伝統的な芸術品を寄贈していただけるならとてもうれしい。勿論当美術館で大切に保管して、サハリンの人々に末永く見ていただけるよう十分な配慮をするつもりです」

彼女はとても厚かましいのですがと、はにかみながら

「陶磁器、特に伊万里、九谷など、また日本の伝統的な着物、例えば花嫁衣装や男性の羽織袴、また歴史的な価値を見出すことのできる雛人形など人形も素晴らしいものがあります。これらの品々がもしご家庭の納戸などに眠っているなら寄贈していただければとてもうれしい」と懸命に訴える。

 もし読者のご家庭や会社でしまわれている美術品などがあれば、ぜひサハリン州立美術館に寄贈していただければと思う。

ご連絡は mk*609studio.com  片山まで

現代時評《サミット》山梨良平

ハノイで開催された米朝首脳会談。金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長とドナルド・トランプ米大統領は失敗劇を演じた。いつも世界中で演じられるサミット=首脳会談は最後には「笑顔で」覚書などにサインして共同記者会見を演じる。

 しかしこのサミットはいささかそのおもむきがかわっていた。通常そのテーマでかなりのすりあせが行われるはずだった。いや、外部からはうかがい知れないが、熾烈な交渉が両国のスタッフ間で繰り広げられたはずだった。

 そしてサミット。そこでは握手と笑顔の首脳たち。難しい問題をまとめ上げることができた両国のスタッフ。満面の笑みで覚書を取り交わし、共同記者会見に臨む・・・。

 こんな筋書きは見られなかった。

 ところでウインストン・チャーチルをご存じだろう。そう、彼はイギリスの首相だった。1950年2月、冷戦中のソ連の首脳との会談をやってのけた。彼はその会談をサミットと呼んだ。サミット(頂上)に登ることも至難の業だが、そこから降りることもまた難しい。  

 ハノイで後の見通せない会談をやってのけた二人の首脳は今後のサミットをどの手から差し伸べるのか、興味は尽きない。

 ところで最近になって安倍首相が「次は私自身が金氏と向き合わなければならない」と述べ、拉致問題の早期解決に向け日朝首脳会談の実現に意欲を示したと産経新聞が報じた。(19年3月6日)。

 この報道を受けてかどうかは定かではないが、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は8日付の論評で、安倍晋三首相がトランプ米大統領に、ハノイで2月末に行われた米朝首脳再会談で日本人拉致問題を提起するよう要請したことを「主人のズボンの裾をつかんで見苦しく行動した」と名指しで非難した。

 これじゃ日朝サミットは絶望的かもしれない。