現代時評《嫌韓というブーム》片山通夫

 安部政権があおっているのではないかとも思われるほど昨今のマスコミ、大手紙や週刊誌、特にテレビの「ワイドショー」と称する番組が多い。嫌韓記事や番組のことだ。

 まさに安倍政権への忖度記事や番組のオンパレードだ。

 『週刊ポスト』9月13日号が「『嫌韓』ではなく『断韓』だ 韓国なんて要らない」というタイトルで韓国批判記事を掲載した。

 まさに「嫌韓ブームに乗った」安直な記事なのだ。我が国は過去の過ち、つまり朝鮮(当時)を植民地にして大陸への侵略の足掛かりにした歴史をすっかり忘れてしまった結果が、この「週刊ポストの特集」に代表される嫌韓ブームなのだろう。はなはだしいのはこの記事の中で「ソウルは3日で占領できる」などと書いていることだ。

 いつの間にか、不戦の誓いはおろか、70数年前に戻って「戦争に向かって」突き進む時代になってしまっている。一週刊誌の記事だと侮ってはいけない。大なり小なり、このような風潮がもてはやされる時代になってしまっている。その代表が週刊ポストであり、丸山某が繰り返す「戦争で取り戻す領土」なのだ。

  「戦争は悪である」という意識が薄れてきたのだろう。いったい誰が「ソウルを3日で占領」するのだろう。自衛隊という若い兵士なのか。それとも「週刊ポストの記事にやんやの声援を送ってきた」匿名の読者?戦争や嫌韓をあおっているマスコミの連中?

 いずれも実体のない連中が売らんかなの浅はかな考えで無責任にあおっているだけだろう。

 しかし責任で恐ろしい時代になったものだ。

現代時評《頭を冷やそう》片山通夫

 安倍首相は「日韓請求権協定に違反するなど、国と国とのですね、信頼関係を損なう対応が残念ながら続いている、韓国側が続けているわけでありますが、日本はその中にあってもですね、現在の北東アジアの安全保障環境に照らせば、日米韓の協力に影響を与えてはならないという観点から対応してまいりました」と23日に記者団に語った。

 厚顔無恥とはこのことを言うのだろうか。しかし安倍首相だけのせいにしてはならない。いやできない。安倍に忖度する我が国のマスコミも大きな責任を負わなければならない。マスコミの安倍よいしょ記事に踊らされている大多数の国民のほとんどが「すべて韓国が悪い」との大合唱だ。徴用工問題もGSOMIA破棄も韓国の責任だと言ってはばからない。

 しかし少し待ってほしい。頭を冷やして振り返ってみたい。

本当に韓国政権の韓国人のせいなのか。

 もともとは日本の植民地政策にあったのだが敗戦後も日本は韓国を始め迷惑をかけた国や国民に真摯に向き合ってきたかが問題だ。日本は奇跡的に敗戦の焼け野原から立ち上がっていわゆる経済大国になった。しかしそこには朝鮮戦争(1950年6月25日 – 1953年7月27日)という朝鮮半島を舞台にした過酷な戦争で大儲けした日本があった。

 そこで日本は真摯に歴史に向き合えればよかったのに、経済第一という政策に走った。経済が強くなるといわゆる「札束」で物事を問題を解決しようとする。だから勢い傲慢になる。歴史を金で買う国に落ちぶれたのだ。それも自分に都合のいいだけの歴史を。

 慰安婦問題、徴用工問題をはじめとする日韓の問題はすべてここに起因するのではないだろうか。安倍首相をはじめとする「歴史修正主義者」たちの言動を振り返ってみればいい。彼らは韓国の文大統領や国民の反応や言葉が「ありえない判断」「日韓請求権協定で解決済み」とおうむ返しに行っているが全く「心」が感じられない。それでは相手は心を開くことはない。

 本当にこのままでは軍事衝突の危険もゼロではない。早々に安倍一派の退場を願うばかりだ。

現代時評《虚しさが極まった夏》:山梨良平

靖国神社

 74回目の夏である。この戦争の犠牲者は、植民地だった朝鮮の犠牲者を含むと、350万にのぼる。その他、中国や南方諸島、東南アジアなどを含むと気の遠くなるような犠牲者の数となる。無論、沖縄、広島、長崎を始め東京や大阪などの空襲の犠牲者も忘れてはいけない。

 そんな多大としか形容のしようがない犠牲者を慰霊する74年目の夏が今年の夏なのだ。

そして今を生きる私たちは彼ら、彼女たちの命と引き換えの人生を今歩んでいる。それは、民族、国、住んでいる地域の差こそあれ、まったく同じ犠牲の上に立っているという敬虔な気持ちを忘れてはいけない。

 しかるに安倍首相は時折「日本国民を代表して」あちこちで挨拶を述べる。今年6月23日の沖縄の「慰霊の日」では

先の大戦において、ここ沖縄は、苛烈を極めた地上戦の場となりました。20万人もの貴い命が失われ、この地の誇る美しい自然、豊かな文化は、容赦なく破壊されました。全ての戦没者の無念、ご遺族の方々の言葉に表し得ない悲しみ、沖縄が負った癒えることのない深い傷を思うとき、胸ふさがる気持ちを禁じ得ません。

ところが昨年同日の首相の挨拶は次のとおりである。

先の大戦において、ここ沖縄は、苛烈を極めた地上戦の場となりました。20万人もの尊い命が無残にも奪われ、この地の誇る豊かな海と緑は破壊され、沖縄の地は焦土と化しました。多くの夢や希望を抱きながら斃れた若者たち、我が子の無事を願いながら息絶えた父や母、平和の礎(いしじ)に刻まれた全ての戦没者の無念を思うとき、胸の潰れる思いです。

 この同じような挨拶は誰が書いたのかは知らないが、安倍首相本人ではないことは明白だ。「云々」を「でんでん」としか読めない馬鹿にこのような漢字交じりの文章を書けるわけがない。

 そして昨年の挨拶のコピーは広島でも長崎でも使われたと、もっぱらの評判だ。

 筆者は思う。このように「国民を代表して」慰霊のための挨拶をする場合、コピー然とした挨拶があっていいものだろうか。このような挨拶の使いまわしを平然とする首相の神経を疑う。そして原稿を書いた(はずの)人物が如何に首相を馬鹿にしているかが感じられる。

 8月15日に行われた政府主催の全国戦没者追悼式をみて、政治評論家・本澤二郎氏は次のように述べたと日刊ゲンダイ紙が書いている。

 安倍首相は『歴史と謙虚に向き合う』と口では言いますが、原稿を棒読みしているだけで、まったく心がこもっていない。日本が加害者だったという意識はないのでしょう。侵略ではなく自衛のための戦争だったと本気で信じているのだと思う。歴史に正しく向き合い過去に学ぶ気持ちがないから、隣国に対して居丈高に拳を振り上げる。失政を隠すために外に敵をつくるのは権力者の常套手段ですが、悲惨な戦争の記憶が薄れた国民もそれに安易に乗っかってしまう。非常に危険な最近の風潮です。

 「虚しさが極まった夏」と言える74回目の夏だった。

現代時評《国の矜持》片山通夫

 参議院選が終わった。安倍首相は夏休みとばかりにゴルフ三昧だそうな。まあご自分の小遣いでやられるのはご勝手にだが、戦闘機の爆買いや、外遊のたびのバラマキはもう少し国民の懐具合や生活事情を見てからにしてもらいたいものだ。

 先週の木曜日26日、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、職員2人を含む26人が重軽傷を負った事件は発生から3年を迎えた。関係者はまだまだ癒されないだろうとおもう。

 そこでふと思った。知的障害者を始め、様々な持った人を抱える家族はおそらく公的なもっと手厚い保護を望んでおられるだろうと。

 もし自分の子供が何らかの障害などをもって生まれたならば、親である自分が生活を共にできる間はまだしも、自分が亡くなった後のことを思えば、いてもたってもおられないと思う。

 我が国の体裁(大国たる見栄??)を考えるなら、戦闘機の爆買いやバラマキは決して良い策だとは思えない。すべての国民が平穏にその人生を終えることができるような政策をとることが、大国の矜持だと思うのだが。

現代時評《参議院選後の地獄がやってくる》片山通夫

 参議院選が終わった。結果はご承知の通り。細かいことはさておき、この後我が国は修羅場を経験するような予感がする。まず対米貿易。5月のトランプ訪日時に日米首脳が会談して「貿易交渉、8月に発表」と彼は話した。

 とりもなおさず安倍は選挙後に持ち越させたわけだ。その選挙が昨日終わった。トランプはこの選挙が終わるのを首を長くして待っていたことだろう。彼の言う「貿易赤字」を解消する機会がやってきたわけだから…。次は自分の選挙だ。国内的に立場を強くしておきたい。ましてイラン情勢が極度に不安定だ。米軍をホルムズ海峡に投入しなければならないかもしれない。しかし戦争は避けたい。米軍に犠牲者が出れば選挙どころの話ではなくなる危険がある。そこでうまいことを考えた。「有志連合」という連合軍の構成である。

 今後安倍は対イランへの融資連合への自衛隊の参加をもくろみ、農作物の輸入に関して大きく譲歩するだろう。その時日本の農家は壊滅的な打撃を受ける。一方自動車の対米輸出はもう作物の関税撤廃とバーター取引のごとく交渉するのではないか。

 参議院選の結果は出た。かろうじて改憲勢力の力はそぐことはできたが、これも薄氷を踏む思いだ。結局死んだふりをした国民が馬鹿を見ることになりそうだ。

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◆現代時評《打ち出の小づち》片山通夫
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 安倍首相が26日に通常国会閉幕に際して会見でこう言い放った。
現行の年金制度維持する考えを示して「打ち出の小づちない」

 これは老後の生活費が2千万円(一説には2千9百万)不足するとされた問題で、国民の年金への関心が高まる中、「負担を増やすことなく、給付だけを増やすことなどできない。年金を増やす打ち出の小づちは存在しない」と述べたようだ。
 
 この男、国民の生活よりも「トランプにゴマをする」、「外交の安倍を気取る」ことにだけ、頭が回るようだ。いったいトランプからいくらの武器を買わされたのか、また用もないのに外国へ出かけて金をばらまいたのか。
 例えば北方領土に関して言えば、まんまとプーチンにしてやられて、何千億だか、上納したようだ。
 ワシントンポストは次のように伝えた。
《北方領土問題を巡る日ロ交渉に関する特集記事を掲載、日本が目指していた20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)におけるロシアとの平和条約大枠合意の希望はついえたとした上で、安倍晋三首相が「2島プラスアルファ」という大きな譲歩をしたにもかかわらず、プーチン・ロシア大統領は逆に態度を硬化させたと指摘。プーチン大統領が日本の経済協力に向けた意欲を引き起こすため、取引が可能との印象を与えてきたとも強調した。》

一方、トランプから買い取った、もしくは買い取る予定の武器の総額はいったいいくらになるのだろうか。その上に日米安保は不公平だと…。この上なお金を引き出すつもりのようだ。

 この男の小づちは外国だけに向いている。原資は国民の血税だろうに。

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◆現代時評《参議院選挙、その後が恐ろしい》片山通夫
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 トランプが天皇の主催する晩さん会に出席して、大相撲を見て、
安倍とゴルフして、マスコミから「安倍首相“おもてなし外交”
に1兆円兵器大人買い 米メディアも批判」とある。「安倍首相
ほどトランプ大統領を喜ばすのに腐心した国家首脳は、他にはい
なかったのではないか」、「日本のリーダーは、最も大切な同盟
関係を維持するためなら、やれることは何でもやるとまでみられ
ている」ワシントンポスト、「安倍首相、おべっかの積み上げ。
 結果はいかに?」、「米中貿易戦争のあおりを日本が受ける可
能性や、北朝鮮のミサイル問題など、課題が山積みである」。  
   AERA.dot http://u0u0.net/QHS8
                  
 日米貿易交渉でトランプが「大部分は7月の日本の選挙の後ま
で待つことになる。大きな数字を期待している」とツイートした。
これは何を意味するかというと、今更ながらの参議院選の争点に
なることを隠すことだ。
 逆に言えば「日本との交渉では大きな進展がある。農業や牛肉
はとりわけそうだ」と交渉が順調に進んでいるとの認識を示した
トランプの交渉上手の勝ち。つまり安倍はまんまとトランプの手
のひらで転がされているわけだ。

 おまけに年金問題がまた持ち上がってきた。麻生という馬鹿な
財務相が得々と口を滑らせた。「2000万円発言」である。金融庁
は「95歳まで生きるには、年金だけでは足りず、65歳からの30年
で、金融資産などおよそ2,000万円を取り崩す必要がある」と試
算した。  

 安倍政権は金融庁のこの報告を選挙前に隠すこと(なかったこ
とにすること)に躍起のようだ。今回の「年金じゃ足りない」発
言をめぐっては、首相周辺から、参議院選挙への影響を危惧する
声が上がっているというわけだ。

 私たちは、あまり期待できない野党を当てにするよりも「安倍
政権を崩壊させる(引きずり下ろす)」ことに力を注ぐことにし
たいものだ。

 それには来月行われる参議院選で、変な話だが、当てにできな
いけれども野党の候補を圧勝させることだ。ここでは残念ながら
野党の力を借りなければならない。しかしとりあえず安倍を退陣
させることができれば、次の政権に注意を喚起させることができ
る。

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◆現代時評《暴走・逆走感知システムの開発を急げ!》片山通夫
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 さながら国を挙げてのキャンペーンである。高齢者の運転する車の暴走・逆走事故が後を絶たないからしかたがないのだろ
うが・・・・。

 事故の原因のほとんどが、アクセルとブレーキの踏み間違いだという。勿論逆走は別だか…。

 暴走する車の場合、たいていアクセルとブレーキの踏み間違いが原因だと取れる報道が多い。ならばアクセルを踏み込めば
ブレーキがかかるという仕様にはできないのだろうか。今時の車はほとんどコンピュータ制御で動いていると思うのだが。
 前や後ろのバンパーに障害物を感知するセンサーがすでに取り付けられている。このセンサーとブレーキを連動させて車の
進行方向に障害物がなければ車はゆっくりスタートする。あればブレーキがかかる。もし急激にアクセルが踏まれれば、踏み
間違いだと判断してブレーキがかかるというシステムは、物理的な大改造しなくてもコンピュータの制御でできると思うのだ
が…。

 今一つ、自動運転だのなんだのという前に逆走しようとする車にも同様のシステムで逆走する車の侵入は止められると思う
のだが…。ETCのシステムで料金ばかり取ること考えないで、逆走車にブレーキをかけるもしくはアナウンスさせるくらい
簡単だと思うのだが…。

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◆現代時評《NHKと安倍政権》片山通夫    
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トチ狂っているとしか思えない。安倍政権は「皆様のNHK」をわがモノにしたようだ。たとえてみれば政府の広報放送局である。

 例えば「放送内容の質問について『日本政府と懸け離れたものであってはならない』」 と就任早々の記者会見で言ってのけた籾井元NHK会長は極端だが、最近はその報道姿勢も籾井さんほど露骨でなく、巧妙になってきている。

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題で大阪地裁は5月30日、情報公開請求のあった売却価格を非開示にしたのは違法だとして、国に賠償を命じた。
 ところがNHKは「値引き理由不開示は『適法』」との見出しで、国が「勝訴」したかのような報道した。他のマスコミはこぞって「売却価格の非開示を違法」との論旨で報道した。つまり見出しに「賠償命令」が使われていた。
 些細なことではない。巧妙な「政権擁護」の果てにあたかも判決が「適法とした」かのような印象を視聴者に与えたわけだ。

 最近、忖度なのか政権側からの働きかけなのかは定かではないが、NHKの放送は見る価値がない。NHKだけを信頼していたらとんでもないこ
とになりそうだ。
 NHKの幹部は国会や記者会見で「放送の自主自律を堅持する」と何度も繰り返して話している。それが事実ならば「値引き理由不開示は『適法』」との見出しが他のマスコミと大きく違うのは現場記者の「政権に忖度するNHK上層部」への忖度なのか。
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◆歴史散歩・スサノオ追跡《スサノオの新居》山梨良平     
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 草薙剣に関しては日本武尊がその剣で難を逃れた話も伝えられているがここでは割愛したい。

 さてスサノオだが、神様にしてはかなり人間臭いのだ。母のいる根の国に行きたいと泣き喚くという側面も持ち合わせたり、高天原では騒ぎを起こして追放されたわけであるが、地上に降りてからは、やたら利口な神様に大変身なのだ。
 何がスサノオを変身させたのかは不明だが、美しいヒメ、クシナダヒメがヤマタノオロチのいけにえにされるところを助けた縁でクシナダヒメを妻にして、出雲の根之堅洲国(ねのかたすくに)にある須賀(すが)の地(中国・山陰地方にある島根県雲南市)へ行きそこに留まった。
 その地には日本最初の宮である須我神社がある。スサノオとクシナダヒメの新居でもあった。
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◇◇きな臭い話、こぼれ話
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【南北朝鮮】

日本の水産物検疫強化で輸出に支障も 韓国政府が対策会議
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2019053080222

米朝首脳会談決裂で金赫哲氏は死刑、金英哲氏は労役刑
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2019053180075

自衛隊の弾薬庫、町長「説明は受けた」 住民には伝えず 沖縄・与那国
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/425642

韓米首脳の会話漏えい 外交官と野党議員を刑事告発へ=韓国政府
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190528001000882

日韓防衛相会談、見送りへ=時期尚早と判断、「日中」は実施
https://web.smartnews.com/articles/fWKJwjTmJ6e

【壊れ行く日本】

「元島民には怒り心頭」丸山議員発言で根室市議会が議員辞職求める抗議決議
https://mainichi.jp/articles/20190530/k00/00m/040/140000c?fm=mnm

「上級国民」と叩かれる飯塚元院長の免許取り消し決定も批判殺到
https://www.mag2.com/p/news/400349

「その発言なら指さない」菅長官、東京新聞記者の質問に
https://www.asahi.com/articles/ASM5Y5RS9M5YUTFK01C.html

「戦争」言及の丸山議員、病気理由に聴取を拒否
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190528-OYT1T50249/

日米貿易交渉は参院選後と言うトランプ、日本の民主主義はバカにされているのか?
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2019/05/post-1086.php

「国賓の選挙利用だ」立憲・辻元氏、日米貿易交渉を批判
https://www.asahi.com/articles/ASM5X5KC6M5XUTFK019.html

与那国島の陸自駐屯地に弾薬庫 防衛省、住民に周知せず 資料は「貯蔵庫施設」
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/425201

米軍関係者の犯罪、8割が不起訴 〝密約〟浮き彫り 日本平和委員会調べ
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-925868.html

共同会見でハッキリ 日米記者の「質問力」は“大人と子供”
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254842

【世界の街角から】

*サハリン・ロシア*

新型ロシア地対空ミサイルS-500の強みと弱みを専門家が解説
https://jp.sputniknews.com/russia/201906016315154-S-500/

ロシア・ザバイカルで旅客列車が脱線
https://jp.sputniknews.com/incidents/201906016316381/

*アジア・アフリカ*

牡丹社事件、末裔の和解を描く書籍出版 日本人作家が相互理解訴え
japan.cna.com.tw/news/asoc/201905310006.aspx

南鳥島でスペイン語の手紙入ったボトル 太平洋を10年余漂流か
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190517/k10011919641000.html

大山噴火で関電に設計変更命令へ 原発に想定超す降灰恐れ、運転停止は
求めず
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/863702

*東西ヨーロッパ*

ハンガリー遊覧船事故 捜索を隣国まで拡大=韓国人19人なお不明
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190531004300882

*南北アメリカ*

激化する通信覇権争奪戦 ファーウェイ排除の背景にあるもの
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/11808

【こぼれ話】

ロシア語に入ってきた外来語の「第二の人生」
他の言語で使われなくなって久しいいくつかの単語が、ロシア語のなかではまだ生き残っている。あなたはそういう言葉をご存じだろうか?
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           片山通夫関連Website

            609studio サイト
          http://609studio.com/

         グラフ誌 Lapiz のサイト
       http://lapiz-international.com/

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              【著書案内】

         《サハリン逍遥》 片山通夫写真集

 サハリン残留朝鮮人の取材のため15年間サハリンに通った写真家が自然や人々の暮らしを折にふれて撮りためた素顔のサハリン。さり気ないアプローチでとらえた被写体にユーモラスな文章をそえた魅力的な写真集。

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      http://www.shinanobook.com/genre/book/3775
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    「追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯」 片山通夫 著

 日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太への逆密航」を語る貴重な証言!!

   凱風社 刊 http://www.gaifu.co.jp/index.html

           定価 1900円+税
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◆編集長から:片山通夫
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 6月に入りました。水無月(みなづき)です。ただこの呼び方は陰暦での呼び方。水無月は「水の月」が語源だとする説や田植が終わって田んぼに水を張る必要のある月「水張月(みづはりづき)」だという説があるが定かではない。

 ともあれ夏になったという気分でいっぱい。衣替えの季節でもある。これからの暑い夏をどう乗り越えるかが課題でもある。
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発行  2019年6月4日 No.908
発行   毎週火曜日  購読料無料
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 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236
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           ◇禁・無断転載◇
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>2019年5月28日 No.907

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◆現代時評外交と言える代物か》片山通夫    

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 見え透いたお世辞外交だ。安倍・トランプ外交をいう。安倍はおそらく新天皇との世界最初の会見を餌にトランプの対日貿易交渉の先延ばしを図った。そしてそれがトランプ氏「8月に日米に素晴らしい発表」と。 トランプ氏は冒頭、日米貿易交渉について「おそらく8月に両国にとって素晴らしいことが発表されると思う」と語った。と朝日新聞が伝えた。 そういえば7月は参議院選がある。衆参同日選の噂もちらほら。トランプは安倍の国賓としての待遇に貿易交渉を8月に伸ばした。つまり安倍政権は対米譲歩を今以上にするというサインだ。しかしそれは選挙前ではまずい。 我々はこのことを肝に銘じて選挙に臨むべきだ。8月にはとんでもない請求書がトランプから届く。

────────────────────────────────────

◆歴史散歩・スサノオ追跡《草薙剣-5》山梨良平     

────────────────────────────────────

 妖しい話ばかりだ。過日天皇が変わった。平成から令和に。この時、神道にのっとって天皇が様々な行事を行ったことは、テレビなどの報道で広く知られている。ところが草薙剣を始めいわゆる三種の神器はすべて形代だという。そのくせ「誰も見たことがない」とも。この度の皇室の行事について、BBC は次のように伝えた。《「三種の神器」、皇室が持つ謎の宝物三種の神器も、こうした神道の一部だ。神々から、直系の子孫とされる皇室に代々伝えられていると言われている。日本の天皇は王冠を被らない代わりに、三種の神器が皇位を表す。しかし、神聖なこれらの宝物は、人々の目から隠されている。名古屋大学の河西秀哉教授はBBCの取材に対し、「いつ作られたのか分からないし、見たことがありません」と説明した。「天皇ですら見たことがないのです」皇室の即位式である「即位の礼」においてさえ、形代(かたしろ、レプリカ)を使う。なお、このレプリカもまだ披露されていない。》 全くの謎としか言いようがないし、確かめようがない。それが日本的なのかもしれない。

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◇◇きな臭い話、こぼれ話  2019/5/26午前 現在

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【地震・火山情報】南米ペルーでM8.0の地震https://web.smartnews.com/articles/fWpwk6VzAL8

千葉で震度5弱 目立った被害確認されずhttps://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000155470.html

箱根山 火山活動活発化 噴火警戒レベル2に

https://www.fnn.jp/posts/00417875CX

【南北朝鮮】韓日漁業交渉に最善尽くす代替漁場の開発も=韓国長官https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190527000300882?section=politics/index

「米の態度の変化なくして非核化交渉なし」、北が改めて対米批判https://www.afpbb.com/articles/-/3226690

金正恩はトランプに会うとき英語が不安だった─元側近https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/post-12165.php

【壊れ行く日本】抗議市民を網で囲い込み 民間人が〝身体拘束〟 埋め立て用土砂を搬出している本部塩川

https://ryukyushimpo.jp/movie/entry-924493.html

部落差別発言 「人権」の原点に立ち返れhttps://web.smartnews.com/articles/fVTeV5FWWcs

「日銀は株をいくらでも買う“モンスター”」フジマキが日銀頼みの危うさを超解説https://dot.asahi.com/wa/2019052300027.html

勤労統計 公表延期 3月分、新たにミス再計算

http://u0u0.net/d9V9「彼をNHKに戻すな」政権との距離感、前会長も警戒https://www.asahi.com/articles/ASM5K672RM5KUCLV00L.html?ref=mor_mail_topix1

福島廃炉事業、5割違反 18年、再び増加 割増賃金不払いなど

http://u0u0.net/McOV

丸山議員がロシアに謝罪した維新を批判

https://this.kiji.is/502810907810972769

【世界の街角から】*サハリン・ロシア*人知れずエゾヤマザクラ満開 樺太開拓農家が植樹【ユジノサハリンスク細川伸哉】ロシア・サハリン島の人里離れた原野で、戦前に日本の開拓農家が植樹したとみられる約20本のエゾヤマザクラの並木が人知れず満開を迎えている。先人の営みの名残もあり、苦労がうかがえる。https://www.hokkaido-np.co.jp/article/308661

ロシアは東方を夢見る 週のはじめに考える

http://u0u0.net/74fv

*アジア・アフリカ*

玉城デニー知事、基地問題訴え全国行脚 6月11日からキャラバンhttps://ryukyushimpo.jp/news/entry-925359.html

日韓首脳会談、異例の見送りか河野外相「現状難しい」https://www.asahi.com/articles/ASM5S4S2XM5SUTFK00V.html

コロンボ港、日印などで共同開発中国にらみhttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO45020000Q9A520C1MM8000/?n_cid=NMAIL007

*東西ヨーロッパ*メイ英首相、辞任を表明

https://www.cnn.co.jp/video/18412.html

*南北アメリカ*

米、アサンジ被告をスパイ活動法違反で起訴 報道の自由巡る議論もhttps://www.cnn.co.jp/usa/35137439.html

ロシア爆撃機がアラスカに接近、米戦闘機がインターセプトhttps://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/post-12174.php──────────────────────────────────────           片山通夫関連Website  

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◆編集長から:片山通夫

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 地震が、火山が、その上暑さが・・・。まもなく台風のシーズンも迎える。自然災害はなかなか防ぎようがない。けれども備えあればともいう。この前の日曜日に和歌山へ行った。阪和線や紀勢線を通る列車には「津波の時の注意書」が掲載されている。そういえば南海トラフ地震の危険も迫っているとか。やはり日ごろからの退避経路や訓練が必要だ。 おのおの方、ご油断召されるな。

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 発行    2019年5月28日 No.907  発行   毎週火曜日  購読料無料  FB  https://www.facebook.com/michio.katayama.5 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236  MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020  contact us http://www.609studio.com/html/mailform.html  website  http://www.609studio.com/      投稿   http://www3.ezbbs.net/06/609studio/  

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現代時評《新聞は誰のためにあるのか》:片山通夫

こんな文春の記事が目についた。

 《「なめた記事を書くんじゃない!」 二階幹事長が読売新聞に激怒》

 なんでも訪中した二階氏がまるで「先生と生徒のよう」だと、中国国内の報道をみた中国国民がネットで批評したことを取り上げた記事だそうである。

https://bunshun.jp/articles/-/11844?page=1

 その二階氏の中国での行動をここで云々(デンデンではありません)するつもりではない。二階氏が読売の記者をつかまえて、冒頭に述べたように「なめた記事を書くんじゃない!」と激怒したという。このことはつまり政権をも含めた二階氏(自民党幹事長)率いる自民党がいかにマスコミを私兵視しているかの表れだ。

 私たち国民はもっと怒らなくてはならない。新聞を支えているのは読者である。一説には大企業という人もいるが…。それでもその大企業を支えているのは我々国民だ。

 その国民をないがしろにして、二階氏が自分の「醜態」を中国ネットでこき下ろされた

と読売の報道に激怒する理由は、たった一つ。

 おごり高ぶっている自民党だからこそ言えるセリフであり態度だ。

 「もういいでしょう」とはテレビドラマの黄門様のセリフだが、国民もそろそろこのセリフを吐く準備に入らなくては・・・。

現代時評《皇位》片山通夫


 皇位とはそのまま、御座居」(みくらい)の意味で、天皇の玉座である高御座に居るという意味である。前天皇から皇位を受け継ぐことを皇位継承、または「皇位を踏む」ともいう。古代では「日嗣(ひつぎ)」が皇位と同義語である。諸外国における国王・皇帝の地位を意味する王位・帝位に相当する。

ウイキペディアに知識を求めたらこのように書かれていた。つまり天皇の位置ともいえる。今、我が国は平成から令和へと時代が変わった節目で、国中が大騒ぎである。筆者は皇室にこのように国民の眼が向くのはとても素晴らしいことだとは思う。しかしその皇位に穏やかならない噂が流れるのは決して面白くない。これは天皇や皇族にとっても同様のことである。あらぬ噂を週刊誌ネタにすべきではないと思うのである。

 まさか天皇は神聖にしてとは思ってもいないが、その天皇の皇位継承に穏やかならない噂を聞くことがある。例えば、大政奉還されて幕府から政権を受け取った孝明天皇と明治天皇の続柄。孝明天皇暗殺の噂など穏やかならぬ話が巷を駆け巡った。無論、150年もの前の出来事である。しかし一部の政治家とそれを支える人々の間では、明治に回帰することは夢だと公言してはばからないとも聞く。こうなるとまさか陛下の暗殺などは論外だろうが、皇位の継承という点からいうと女性天皇や女性宮家などの実現は全く不可能だと思えるのである。

 憲法第1条には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と書いてあって、第2条で「世襲」と明記されている。どこにも天皇は男子に限るとは書かれていない。

 勝手に解釈するとはまるで安倍内閣の「閣議決定」だ。

現代時評《ホンマかいな?》片山通夫


 以外に強い口調で非難したと受け取れる。

《「なんとかなると思ったら大間違いだ」規制委員長 テロ対策遅れの原発認めず》

 毎日新聞が4月24日付で伝えた。筆者は目を疑った。だって言っちゃ悪いが今までなあなあの関係だとばかり思っていたからである。朝日新聞も《テロ対策施設、未完成なら原発停止 再稼働原発の停止も》と伝えている。

 原発は新規制基準でテロ対策拠点として義務づけられている「特定重大事故等対処施設」である。その規定に基づいて「原子炉の工事計画の認可から5年」とした設置期限の延長を認めないことを決めた。関西電力、四国電力、九州電力の計6原発12基は期限を1~3年ほど超過する見通しで、再稼働済みの5原発9基については施設が完成しなければ運転停止となる。(毎日新聞)

 電力会社にとっては危機である。

しかし気になることがある。

 あの官房長官が24日の記者会見で、《原子力規制委員会が電力会社に対し、テロ対策施設の完成期限の延長を認めない方針を決めたことについて「今後具体的な手続きを検討すると聞いている。原子力規制のあり方は、高い独立性を有する原子力規制委員会の判断に委ねるという政府の方針に変わりはない」と述べた》と産経新聞が伝えていることだ。

 疑い深くなってしまった筆者が悪いのか、えらい素直な官房長官だと思ってしまった。

 なにしろ、悪代官の名をほしいままにしている官房長官が「高い独立性を有する原子力規制委員会の判断に委ねる」なんて言い切っているのだから・・・・。そしてその報道は産経新聞だけでなく朝日もロイターも時事通信もカバーしていた。

 筆者でなくとも「ホンマかいな?」と耳を疑うのである。

勿論、原子力規制委員会にも菅官房長官にもである。

現代時評《ようやくのアイヌ新法》片山通夫

19日の時事通信が次のように伝えた。

アイヌ民族の誇りを尊重し、必要な支援策を盛り込んだ新法が19日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。法律上初めてアイヌを「先住民族」と明記。産業・観光振興などに使える交付金を創設すると定めた。公布後1カ月以内に施行される。  http://u0u1.net/WdQF  

 アイヌ民族には長い歴史がある。

アイヌ民族はいわゆる北方少数民族とされる。江戸時代にさかのぼれば、当時の樺太アイヌに突き当たる。彼らはアムール川の河口あたりのも出没したようだ。そして蝦夷地、現在の北海道にも住んでいた。北海道の一部は松前藩が治めていた。その頃の日本はいわゆる鎖国でわずかに長崎の出島でオランダ、中国(明朝と清朝)との間の通商関係に限定されていた。また朝鮮王朝及び琉球王国との「外交に限られていた。

 しかしながら、松前藩はアイヌ民族との交易にいそしんでいた事実がある。松前藩はアイヌ民族を使役し略奪したが、交易も行っていた。アイヌ民族は樺太と通じて中国との交易に参加していた。山丹交易である。山丹人とは樺太の対岸に住む人々を指した。その山丹人たちは中国(明や清朝)との交易をおこなっていた。実際は中国がアムール河口あたりまで朝貢を強いていたからであろう。ただ中国の朝貢は緩やかなものだった。

 それでも山丹人は中国の都まで時には赴いた。その時中国は様々なお土産を山丹人に贈呈した。その一部が蝦夷錦(山丹服)と言われる錦織の豪華な着物である。アイヌ人がこれを着ていた絵などが残っている。

 このようにアイヌ民族は「自由に」北の大地や樺太、時にはアムールの河口まで出かけていた時代があった。彼らは狩猟民族なのである。

 しかし明治になってアイヌ民族を日本人化させることになって、政府は勧農政策を実施し、1899年に制定された「北海道旧土人保護法」で土地の無償下付や農具の給付など優遇制度を実施したが、既に日本の開拓民たちがいい土地(この土地ももともとはアイヌのもの)を取得してしまったあとで与えられた土地が農業に適してなかったりしてアイヌの人々の生活改善には効果がなかった。

北海道旧土人保護法はアイヌ民族を次のように縛った。

アイヌの土地の没収、収入源である漁業・狩猟の禁止、アイヌ固有の習慣風習の禁止、日本語使用の義務、日本風氏名への改名による戸籍への編入などである。つまりアイヌ民族固有の文化・風習などの否定だった。

 ちなみにこの北海道旧土人保護法は、驚くなかれ、1997年(平成9年)7月1日、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(1997年(平成9年)法律第52号、アイヌ文化振興法)は国会で全会一致で可決成立したことにより廃止された。

 そして今日、アイヌ民族の誇りを尊重し、必要な支援策を盛り込んだ新法が19日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立したわけである。

 我々の長い歴史の中で、アイヌ民族がようやくその民族の誇りを尊重される時代になった。そして彼らが我々とともに住むこの土地の先住民であることを認めなければならない。

 これを機会に我々の住むこの国は多民族国家であることも同時に認識したい。