連載コラム・日本の島できごと事典 その160《戸数制限》渡辺幸重

相模湾に浮かぶ初島(「*and trip.」サイトより)

島では食料生産や生活インフラに限界があることから島内の戸数を制限してきた島があります。静岡県の熱海港沖、相模湾に浮かぶ初島もその一つで、江戸時代から現在まで耕作地や水源、漁獲を島民で均等に分け合う共同体的生活が営まれるようになり、40戸前後の戸数が維持されてきました。「次男以降は島を出て、跡取りがいない家は婿養子をとる」という不文律が脈々と守られてきたのです。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その160《戸数制限》渡辺幸重” の続きを読む

fiction《アマテラスの誤算006》片山通夫

ヤマタノオロチ

「ヤマタノオロチ」奥出雲

【609studio】出雲の国に神様が集まったのはいつのことなのかはわからないが、いわゆる国つ神が集まったらしいので、相当古くからお集まりになっていたようだ。スサノオが高天原を追い出されて出雲に流れ着いた時には、既にヤマタノオロチが足名椎(あしなづち)、手名椎(てなづち)という国つ神の娘、稲田姫を、ヤマタノオロチの危害から逃れたのはスサノオが、八つの谷と八つの峰を覆う八首八尾の巨龍という特撮怪獣並みのクラスのスケールを持つ大魔獣を退治した。既に足名椎、手名椎という国つ神が出雲の地に住んでいたようだ。この瑞穂の国はもともとは国つ神の棲む国だった。しかし国つ神は天つ神より能力に欠けていてヤマタノオロチの言いなりだった。その怪獣クラスのオロチを退治したスサノオは母・イザナミのいる黄泉の国に行きたいと泣き叫ぶアカンタレでなく、怪獣をも退治する強い紙に変身したのも不思議だが、史実ではそうなっている。きっと稲田姫は相当美人だったのではないかと推察出来る。

不定期・続く

fiction《アマテラスの誤算004》片山通夫

神迎神事(かみむかえしんじ)

稲佐の浜と弁天島

【609studio】出雲大社の西、およそ1キロメートルに「稲佐の浜」がある。夕日が綺麗な浜だ。この浜に弁天島と呼ぶ島がある。古くは「沖御前」といい、遥か沖にあったといわれているが、砂浜が広がって浜伝いに歩いて行けるようになった。
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fiction《アマテラスの誤算003》片山通夫 

もうわかった?「混沌の世界」

アメノヌボコと伊弉冉・伊弉諾

【609studio】イザナミとイザナギの男女の神は混沌とした中に放り出された。
そしてわけもわからないうちに、貰った「アメノヌボコ」を、それこそ混沌としっぱなしの「混沌」に差し込み、混沌を固めた。アメノヌボコとは「天之瓊矛」と日本書紀での呼び方で、古事記では「天沼矛」と表記されている。 矛(ホコ)は、長い柄の先に両刃の剣を付けた武器を指す。 “fiction《アマテラスの誤算003》片山通夫 ” の続きを読む

fiction《アマテラスの誤算002》片山通夫

神でさえひとりで生きていた時代

イメージ 混沌と荒ぶる地上

【609studio】この世がまだまだ混沌としていた頃、まだまだはっきりとしない、言ってみればボヨヨーンと神も仏もいるかいないかわからなかった時代の話から始まる物語があった。
「何とかせにゃ」、「わかっとるがな」
神様は上も下も右も左もわからないままに何とか考えをまとめようとしていた。言ってみればやけくその結果、混沌の神様が「誰か下におろして堅めさせよう」と決断した。
「ひとりじゃ誰も行ってくれんじゃろう」
「男と女の対ではどうじゃ?」
「ワシらも一人神じゃて対の神なんてぜーたくじゃ」
しかしこの混沌を何とかせなーならんと言う結論は出ていたので、そこにいた神様みんなで「そーじゃ、そうじゃ」と言った囃子て無責任極まりない決め方で決まった。

不定期・続く

fiction《アマテラスの誤算001》片山通夫

 

三瓶山のこと

イメージ

【609studio】この夏は甲子園で日本全国のファンを沸かした。特に京都国際高校が優勝したこと、今一つは島根県立大社高校が、ひたむきないい試合を見せてくれたこと。新聞報道によると大社の町は湧きに沸いたと言う。高校野球の話はさておき本題に入る。
貧乏性のボクはやはりカメラをポケットにウロウロしている。サハリンへは「ロシアがウクライナに侵攻」してから行けなくなった。その代わりに昔から気になっていた丹波の国に通っている。具体的に言うと出雲(島根県)、福知山(京都府)、丹波篠山(兵庫県)の辺りだ。 “fiction《アマテラスの誤算001》片山通夫” の続きを読む

神宿る。《宝生院のシンパク》片山通夫

【LapizOmline】宝生院は、香川県小豆島のある。このシンパクは香川県土庄町にある巨木でシンパクとしては国内唯一の特別天然記念物「宝生院のシンパク」で国指定特別天然記念物だ。
樹齢1,600年以上と言われ、周囲約16.9メートル、樹高約20.9メートルの巨木である。なんでも応神天皇お手植えだそう。この巨木を見ていると「象」「龍」「亀」がいるような気がしてくる。いやそう見えるのだ。考えてみると仏教に因んだ動物たち。
それゆえか神秘的で神聖なパワースポットとして多くの人に親しまれている。


宝生院:https://hoshoin.jp/about/
シンパク:植物学上、ミヤマビャクシンと言い、盆栽界では松に負けず劣らずファンが多い樹種 “神宿る。《宝生院のシンパク》片山通夫” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その159《非軍備の島》渡辺幸重

前島(「ハイホーの沖縄散歩=本島以外=」サイトより)

戦争をしてはいけない」と誰もが言います。しかし、その方法となると「軍備を増強して戦争を抑止する」から「非武装で外交によって平和を守る」までさまざまです。第二次世界大戦中の沖縄戦では各地で激しい戦闘が続き、人の命を奪うだけでなく生活基盤や社会インフラ、自然などすべてが破壊し尽くされました。その中で軍事施設がなく日本軍がいなかった島では破滅的な破壊を免れた例が見られます。いま、琉球弧(南西諸島)の島々に自衛隊のミサイル基地を含む軍事施設が配備され、日米の一体的な軍事体制が強化されつつありますが、沖縄戦での非軍備の島の体験は最近の軍備増強化は島の平和維持に逆行していることを教えているように思います。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その159《非軍備の島》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その151《大東隆起環礁》渡辺幸重

ダーウインの沈降説(「二階の窓から」サイトより

【LapizOnlin】ダーウィンは環礁(アトール)の形成過程を次のように考えました(「沈降説」)。海底火山の噴火によってできた火山島の周囲にサンゴ礁が形成されると裾礁(きょしょう)となり、それが沈降するとサンゴ礁だけが上に成長して島を環状に囲む堡礁(ほしょう)ができ、元の火山島が海面下に没して周りのサンゴ礁だけが残ると環礁になるのです。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その151《大東隆起環礁》渡辺幸重” の続きを読む