エッセー[2025年夏の涙]片山通夫

ヒロシマに投下!

あれから80年。この夏は節目の年だとあちこちで戦争にちなむ催しがあるようだ。

さて今日は8月9日。ナガサキに米陸軍の爆撃機が原子爆弾と言うとんでもない、まだ人類が経験したことのない爆弾を投下した。時間は11時2分。これに先立つ6日にはヒロシマに。ナガサキに落とされた原発の名前はファットマン。ヒロシマにはリトルボーイと言う名前がつけられていた。ナガサキのそれは「太っちょ」、ヒロシマの原爆にはリトルボーイ、つまり「チビ」。

今日、ナガサキの慰霊祭を見ていたら涙が出てきた。7万人の市民を一瞬に焼き殺した爆弾の名前が「太っちょ」だと。
ふざけている。2025年夏の涙。

散歩道《あおによし》片山通夫

「あおによし」は、青丹(あおに)という顔料の色が美しい奈良の都の様子を、「咲く花の薫るがごとく今盛りなり(咲き誇る花が香るように、今が最も美しい盛りである)」と表現した歌に由来しているらしい。710年から794年のおよそ90年間の奈良時代は律令制度が確立され、天平文化に代表される仏教文化が花咲き、国際色豊かな、唐の影響を大きく受けた時代だった。 “散歩道《あおによし》片山通夫” の続きを読む