連載コラム・日本の島できごと事典 その31《自然と共生する野生馬》渡辺幸重

ユルリ島の道産子(「根室・落石地区と幻の島ユルリを考える会」HPより)

北海道東部・根室半島の付け根付近の南岸沖にユルリ島という無人島があります。絶滅危慎種の貴重な海鳥が多く繁殖し、希少な高山植物も多い自然豊かな島です。その島に人間が放した馬が野生化して棲んでいます。一般に人間が島に持ち込んだ外来動物は島本来の自然を破壊するものとして駆除の対象になりますが、ユルリ島の馬はいったん絶滅策がとられたものの最近、人の手によって増やそうという活動がみられます。「自然と共生する野生馬」だというのですが、それはなぜでしょうか。 続きを読む 連載コラム・日本の島できごと事典 その31《自然と共生する野生馬》渡辺幸重

現代時評《五輪開会と天皇政治利用》井上脩身

東京オリンピックが7月23日、開幕し、国立競技場で行われた開会式で、天皇が開会を宣言した。1964年のオリンピックでも昭和天皇が開会宣言をしており、東京五輪の名誉総裁として当然の任務を果たした過ぎないが、57年前の五輪と決定的に異なるのは、スタンドに観衆が一人もいないことだ。宮内庁長官の「(陛下が)感染拡大を懸念している」との拝察発言が全く無関係とは言い切れないだろう。その効果に着目し、天皇を政治利用しようとする動きが出てくる恐れもないとは言えまい。私は、この五輪が戦前回帰への起点になるのでは、との不安にかられるのである。 続きを読む 現代時評《五輪開会と天皇政治利用》井上脩身

現代時評plus《コロナウイルスは忖度してくれない。》片山通夫

《「知性や科学者を尊重しない権力者が、思い付きか個人的利害で決めた方向性を、法律上の根拠などはお構いなしに「やる!」と宣言し、それを忖度官僚たちが執行し、抵抗する国民には恫喝して従わせる。》と、あきれ、怒るのは慶大名誉教授の小林節氏。まるで江戸時代の「殿様と代官そして御用商人」だという。

筆者もどう表現したらいいのかなかなか的確な言葉を見つけられなかったが、さすが小林先生。バカ殿さまと悪代官と悪徳商人という構図だわ、これは。そしてこの三者が愚直な庶民を恫喝して従わせようとする。
今問題になっている西村再生相だがまさにこのたとえ通り。まるでシナリオ通りの悪徳代官。それにバカ殿。

ところで小林先生は彼らには「知性」がないとバッサリ。「知性や科学者を尊重しない権力者が思い付きか個人的利害で決めた方向性を、法律上の根拠などはお構いなしに」実行するという。そういえば安部前政権時代、官僚の忖度がはびこっていた。挙句の果てに一人の官僚が自殺したが、伝わるところ、まったく歯牙にもかけないようだ。

東京に緊急事態が宣言されている。おそらく政府は宣言を発するのは避けたかっただろうと思う。もちろんコロナが収束の道筋にあるというのではない。オリンピックが開催される中での緊急事態宣言だ。しかしコロナウイルスに限っては安部・菅政権にとって忖度してくれない。それでも開催する覚えなというIOCやJOC、それに何よりも菅政権をあざ笑うがごときまん延ぶりだ。まさにコロナとの戦いだが、残念ながら我が国に限って言えば完全に負けている。頼みの綱のワクチンも行き渡らない。ここは人が担当しているのだが、できていない。ワクチン不足も2か月も隠ぺいしていた。ほかにも重要な案件を隠ぺいしているのではないかとこの一連の政権には疑心暗鬼しか持てない。

知性を持ち合わせていない政治家は早々に退場すべきだ。

今話題の大谷翔平選手やオリンピック・パラリンピックに目を奪われないようにしなければ・・・。

 

連載コラム・日本の島できごと事典 その30《在沖奄美人》渡辺幸重

奄美群島復帰五十周年(2003年)記念切手

第二次世界大戦後、北緯30度線がかかるトカラ列島・口之島から南が日本から分離され、サンフランシスコ講和条約で日本が独立してからも米軍政下に置かれました。奄美群島もそのひとつです。奄美大島日本復帰協議会などが激しい祖国復帰運動を展開し、奄美群島は1953年(昭和28年)12月25日に日本復帰を果たしました。そのとき、沖縄には6万人を超える奄美群島出身者が生活していました。沖縄の日本復帰は1972年(昭和47年)5月15日のことです。この間、米軍政下の沖縄に住む奄美群島出身者いわゆる“在沖奄美人”たちは“本土日本人”でもない“外国人”扱いを受け、いわれのない差別を受けました。
かつて琉球国の一部だった奄美群島は薩摩の琉球侵攻後には直轄支配され、明治以降は鹿児島県に属しましたが、米軍政下では日本本土と遮断され、沖縄島に移住した人も多かったようです。沖縄で活躍する奄美群島出身者も多くありました。琉球政府行政副主席兼立法院議長の泉有平、琉球銀行総裁の池畑嶺里、琉球開発金融公社総裁の宝村信雄、琉球電信電話公社総裁の屋田甚助などです。ところが、奄美群島の日本復帰後、これらの人たちは公職追放の措置を受けました。そればかりでなく、公務員として働く多くの出身者も職を奪われたのです。在沖奄美人の参政権・土地所有権も剥奪され、本土日本人に与えられた政府税の外国人優遇制度も認められませんでした。社会的な差別意識も広がりました。佐野眞一『沖縄・だれにも書かれたくなかった戦後史<上>』には次のような内容の沖縄奄美連合会会員の言葉があるそうです。
「奄美人は沖縄に土地を買えませんでした。まともな職にも就けなかったから安定した生活をするのは無理でした。銀行も金を貸してくれません」「僕も奄美出身ということがすぐわかる苗字で、随分いじめられました。復帰前も復帰後も"奄美と宮古(宮古島出身者)はお断り"と言われて、奄美出身者はアパートにも入れなかったのです。」
ちまたでは「奄美出身者は奄美に帰れ」との声が広まり、沖縄市町村長会もこれを要望したとのことです。いま日本本土による沖縄差別の問題に心を痛める私としては信じられないほどの状況です。
ときの権力者は一般社会の貧困や歴史による重層的な差別意識をあおって差別政策を推し進めます。突き詰めて考えると江戸幕府の身分制度によって部落差別が生まれたように権力構造や現代の社会構造の中に差別が埋め込まれているように思えます。自分たちの心の中の差別意識を見つめるとともに権力や社会をどう変えていくか、考えていきたいと思います。

◇現代時評plus《自民党員に告ぐ!》山梨良平

しかしえらい時代になったもんだ。つい先日、都議選で決して勝利できなかった自民党が、補完勢力ともいうべき他党の協力を得ることができそうだと読んだのかもしれないが、いささかひどい。いや、「酒の提供を続ける飲食店に対して金融機関への働きかけを要請する」と飲食店を恫喝した西村康稔経済再生担当大臣のことだ。

SNS等では「893か?」ともっぱらの評判だ。そもそも菅首相からして「恫喝人事」で有名だとされる。「いうことを聞かない官僚はやめてもらう」と言ってはばからない男だ。その手下ともいうべき西村大臣だ。さもありなんとインターネットでは評
判だという。

史上最長の在任記録を持つ前首相も月刊誌で「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の(オリンピック)開催に強く反対している」と批判したらしい。

なぜこのタイミングで国民の神経を逆撫でするのかまったくわからない。自民党はこの西村恫喝大臣の発言を重くみている。
何しろもうすぐ総選挙だ。菅首相になってから幾たびかの地方選や補欠選があったが全敗だ。このままでは秋にある選挙も危うい。危機感を持つのも当然だ。

それなのに先に述べたような暴言を発する大臣が現に存在する。およそ前安部政権時代から、国民の意思などまったく無視し、自分たちの都合のいいように税金も政策も自由に変え、解釈して来た。そのうえこのコロナが猛威をふるっている今も「反対する奴は反日」だとかたわごとをのたまうという男が幅を利かせている自民党という政党の限界を感じている党員はいないのか心配する。何しろ良い悪いはともかく、我が国最大のそして長年国政を担当してきた政党なのだ。目を覚ましてもらいたい。

自民党員に告ぐ!

解釈憲法、公文書隠ぺいもしくは改ざんまたは残さない政治、首相夫人が「私人か公人か」などと閣議決定しなければならない政治、挙句の果てに恫喝で官僚を支配するを進めてきた政治家を自民党から除名しなければならない。しかしおそらくこういう輩を除名するほど党に力はないだろうから、心ある党員は自民党籍を離脱して新党を立ち上げるべきが来たと思う。

連載コラム・日本の島できごと事典 その29《大島郡独立経済(分断財政)》渡辺幸重

大島郡地図

国の税制は、財源が不足する地方自治体に対して国税の中から地方交付税を交付し、税収が少ない自治体が運営できるようになっています。いわば、金持ちの自治体住民・企業から取った税金を貧乏な自治体に回しているということです。2020年度に国からお金をもらわなかった自治体(不交付団体)は都道府県では東京都のみ、市町村では75ありました。東京都民のなかには「自分たちのお金を地方に取られる」という人もいますが、そうではありません。地方で子どもを育て、都会の大学に通わせて一人前にした費用は地方に還元されていません。地方出身の東京都民は自分たちの税金の一部が故郷に還元されることを希望しているはずです。実際、第二次世界大戦直後までは都会で働く多くの地方出身者は故郷に仕送りをしていました。
さて、地方交付税がなくなれば地方はどうなるでしょうか。1888年(明治21年)から1940年(昭和15年)まで似たような状態にされたのが鹿児島県大島郡です。奄美大島など奄美群島が対象になりますが、1897年(明治30年)から1973年(昭和48年)までトカラ列島(旧十島村)も大島郡に所属したので(その後鹿児島郡)、10年目以降は奄美群島とトカラ列島が対象でした。この財政制度を「大島郡独立経済(分断財政)」といいます。これにより、鹿児島県と大島郡の財政が分離され、大島郡は自給自足的な小規模な財政運営を強いられました。この分断経済は鹿児島県がやったことですが、明治政府は1901年(明治34年)に砂糖消費税法を制定し、沖縄・奄美の砂糖に課税しました。日清戦争(1894~95)後の財政需要の増加を満たすのが目的です。これらの差別的・棄民的政策がとられたため、奄美群島・トカラ列島の産業基盤は整備されず、人々の生活は“蘇鉄地獄”と呼ばれるほど疲弊する状態に陥りました。やっと大島郡産業助成計画・大島郡振興計画による振興事業が始まったのは1927年(昭和2年)のことで、天皇の大島行幸で注目が集まってからです。“島差別”を“天皇の恵み”にすり替えるとはなんとひどいことでしょう。太平洋戦争もそうですが、日本という国は過去の過ちを一度も総括していないのではないでしょうか。
大島郡独立経済を実施するときの鹿児島県議会での討論では、「大島郡の島々は絶海に点在して内地から二百里離れて交通が不便で、さらに風土・人情・生業等が内地と異なるから経済を分別する」とされました。ある研究者は「それなら“大島県”にして明治政府の補助を受ければよかった」といいます。そして、本当の理由は「内地の産業基盤整備事業に莫大な資金が必要になり、大島の産業基盤整備にまで手が回らなくなった」と指摘しています。薩摩藩による“黒糖地獄”時代の奄美搾取に続き、またもや“中央のための犠牲”を押しつけられたのです。

現代時評plus《一発逆転の秘策》片山通夫

今日7月8日、菅首相は東京に緊急事態宣言を発令した。お盆が明けた8月22日まで。同時に政府は五輪をごり押しするつもりのようである。一方自民党の野田聖子氏は「菅政権下で選挙全部負け」たと述べた。この発言をどの様に受け取るかは立場によって入り色あるとは思うが、筆者は衆議院選も近いことだし一発逆転の秘策をここで書こうと思う。

菅政権にとって、菅首相にとって差し迫る選挙は切羽詰まった問題だろう。そしてその前に悪評高い東京五輪が差し迫っている。おまけに「緑のタヌキ」と異名をとる都知事が(タヌキのくせ)虎視眈々と政権の失策を狙っているかのように見える。おまけに「ぼったくり男爵」御一行様が「特別扱い」を要求しながらやってきたわけだ。

先の都議選でもNHKがおこなった出口調査で「▼現時点で無観客の方針にすべき」が38%、▼「大会は中止すべき」が26%」だった。つまり今更やめられないかもしれないが、少なくとも「無観客」という意見が38%あった。

このような世論を踏まえると、東京五輪は中止して、コロナ対策をはじめとするすべての情報公開を徹底し、ワクチン接種を最大限に注力し、ぼったくり男爵御一行様を国外に送り出し、国民のに「今後は国民目線で政治を行う」ことを宣言して総選挙に臨むことだ。

ロシアのプーチン大統領は国民との直接対話をおこなっている。この手法を取り入れてオリンピック中止や政権への不満など国民の意見を吸い上げるシステムの構築を図ることだ。無論これはオリンピック開催までにおこなって、その結果をぼったくり男爵や自民党をはじめとする政治家等政治にかかわる人々に突きつけることだ。

その方法は電話でもいい。SNSでもいい。新聞やテレビというマスコミを介してでもいい。

勇気を振り絞ってやってみることだ。それで「NO」を突きつけられれば?野田聖子氏のいうように「いずれ全敗」なのだから同じ結果だと思う。

◇現代時評《「皆黙れ」では済まない。》山梨良平

先月最終の現代時評でLapiz編集長の井上脩身氏が「感染拡大五輪に突っ走しる」というコラムを書かれた。その中で井上氏は次のようにコラムを締めくくった。

スガーリン アベリンピックじゃ皆黙れ

見事な集約である。嘘と金でおこなった誘致から、コロナウイルスに翻弄されて右往左往するさまをたったこれだけの文字で言い表したのには頭が下がる。(詳しくは https://bit.ly/361Twcf

さて井上氏のコラムには及びもしないが、このコロナ禍のオリンピック開催に関して少しどころでなく気になる部分がある。
「皆黙れ」では済まない。ことは国民をはじめ参加する人々の健康、ひいては生命にかかる重大な問題なのだから。折からインド株だの英国株だのと感染力の強い変異種がはびこっているようなのだ。

菅首相をはじめ関係する大臣や知事は異口同音に「安全・安心」と呪文のように唱える。外紙はIOC会長を「ぼったくり男爵」と書いた。それほど金のかかる男爵でありIOCらしい。そういえば誘致にかかった費用の全容は闇の中だ。
私が忘れられないでいるのは森前会長が「犠牲はやむなし」と新型コロナウイルス感染症の脅威が続く中での発言だ。

(時事通信2021年02月10日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021001155&g=spo)
森氏は一連の女性蔑視の発言で辞任したが、この「犠牲はやむなしの精神」は今も脈々と政府やJOC内部で生き続けているようだと思える。
そして万一コロナがオリンピックやパラリンピック開催中に大爆発しても誰も責任をとらないシステムが構築されているように感じる。その一例が菅首相、万全を期すとはいうが決して自らの責任で開催するとは言わない。いや開催件はIOCにあるとさえ公言した。今年6月7日の読売新聞は「東京五輪、首相「私自身は主催者ではない」…開催の判断基準を明言せず」と菅首相の言葉を記事にした。(読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20210607-OYT1T50249/

JOCも東京都も逃げ腰だ。なんでもIOCとの契約で終始すると莫大な違約金を払わなければならないというわけだ。

みんな関係者は逃げ腰だ。しかし決して「皆黙れ」とはゆかない。

現代時評plus《ワクチン騒動 その2》片山通夫

現代時評plus《ワクチン騒動 その2》片山通夫

先月現代時評で《ワクチン騒動》なる拙文を書いた。菅首相はワクチン担当大臣まで新設、厚労省や経済再生担当大臣達を動員して万全のコロナ対策を講じてきた・・・つもりであった。ところがここにきてワクチンが接種会場を運営する自治体や鳴り物入りで新設した防衛省の接種会場などに行き渡らなくなったという話だ。 続きを読む 現代時評plus《ワクチン騒動 その2》片山通夫

Lapiz Opinion《戦争をする国」へ突き進む日本政府になぜ国民は沈黙するのか-2》渡辺幸重

-「重要土地等調査規制法」成立にみる日本社会の病根-

◎国民の“知る権利”を奪い、思想・良心の自由や表現の自由を制約

独裁者・国家(軍国)主義者はあいまいな法律を恣意的に操ることで民衆の権利を奪い、弾圧する。今回の重要土地等調査規制法はその典型である。刑罰に直結する「注視区域」「重要施設」「監視の対象者」「調査される事項の範囲」「調査の主体」「阻害行為」などあらゆる法概念があいまいで、これらの内容は基本方針として閣議で決めるという。このままでは日本国憲法と国際人権規約に反して基本的人権を侵害する運用がなされ、自衛隊基地や米軍基地、原発などの実態がベールに覆われる事態になるだろう。
この法律の成立前から297の市民団体の反対声明をはじめ法曹界や野党、メディアなどから反対や疑問の声が挙がり、成立後は抗議と廃止を求める運動が続いている。東京弁護士会の「『重要土地等調査規制法』強行可決に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2021年06月24日)は次の①~④のような「重大な問題」を指摘している。
①「注視区域」「特別注視区域」「重要施設」の指定基準、「重要施設」及び国境離島等の「機能を阻害する行為」とその「明らかなおそれ」の判断基準が明確でなく、それが政府の裁量で決められるため、国民の権利自由が不当に制約されるおそれがある
②内閣総理大臣の権限によって、不明確な要件のもとで地方公共団体の長による調査・報告等がなされ、土地・建物利用者に報告義務や資料提供義務を課すことは、土地・建物利用者の思想・良心の自由(憲法第19条)、表現の自由(憲法第21条)、プライバシー権(憲法第13条)を侵害するおそれがあり、また、刑罰法規の明確性を欠く点において罪刑法定主義(憲法第31条)に反する疑いが強い
③内閣総理大臣が、不明確な要件のもとで注視区域内の土地・建物利用者が自らの土地・建物を「機能を阻害する行為」に供し又は供するおそれがあると認めるときに、刑罰の制裁の下、勧告及び命令を行い、当該土地・建物の利用を制限することは、土地・建物利用者の財産権(憲法第29条)を侵害するおそれがあり、罪刑法定主義違反の疑いもある
④以上のような規制の結果、例えば自衛隊や米軍の施設の周辺において、施設の拡充や施設利用の在り方について異議を表明したり抗議活動をしたりすることに対し、注視区域内の土地・建物利用者が不明確な要件のもとで利用制限や規制、刑罰を科せられることになりかねない。これは、思想・良心の自由や表現の自由を大きく制約し、ひいては民主主義の基盤をも危うくする
最後に声明は、「本法の強行可決に強く抗議し、本法の速やかな廃止を求めるとともに、恣意的な運用を阻止するために引き続き活動する決意である」と結んでいる。 続きを読む Lapiz Opinion《戦争をする国」へ突き進む日本政府になぜ国民は沈黙するのか-2》渡辺幸重

Lapiz Opinion《戦争をする国」へ突き進む日本政府になぜ国民は沈黙するのか-1》渡辺幸重

-「重要土地等調査規制法」成立にみる日本社会の病根-

日本政府のコロナ対策への“無能無策”ぶりに日本国民は怒りを超えて諦めの境地に追いやられているなか、裏で憲法改正(改悪)や軍備増強が急ピッチで進んでいる。国会閉幕日の6月16日の未明には参議院で「重要土地等調査規制法案(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案)」が強行採決された。これは特別秘密保護法や安保法制などと同じように日本憲法の平和理念を無視した戦争への道を進む法整備の一環である。なぜ、メディアはきちんと報道もせず、国民は無関心なのか。なぜ、日本社会は戦前と同じ道をたどろうとしているのか。このままでいいはずがない。 続きを読む Lapiz Opinion《戦争をする国」へ突き進む日本政府になぜ国民は沈黙するのか-1》渡辺幸重

現代時評《感染拡大五輪に突っ走る菅首相》井上脩身

――背景に安倍氏の「完全な形」発言――

東京オリンピックは観客を入れることになった。21日、政府、東京都、IOCなどの五者協議で、観客上限を1万人にすることに決定。菅義偉首相はG7後、有観客開催を決意したと思われるフシがあり、首相の意向にそった結論となった。政府の「新型コロナウイルス感染症分科会」の尾身茂会長ら専門家有志の「無観客提言」や、中止・延期を求める国民世論を全く無視しての強行開催である。その背景に、安倍晋三前首相の「人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証しとして、完全な形で開催する」との発言があることは明かであろう。「完全な形」に見せるため、観客数をさらに増やす可能性があると私はみる。 続きを読む 現代時評《感染拡大五輪に突っ走る菅首相》井上脩身

Photo&Journal P:India