◆現代時評《北朝鮮との関係》山梨良平

北朝鮮が最近ミサイルの発射にいそしんでいる。日本のマスコミや政府などはその度に言及に抗議している政府の姿勢を報道している。たいてい、そしておそらくは「在北京の大使館を通じて在北京の北朝鮮の大使館あてに」である。ところが大使同士が会って抗議したとかいうような具体的な話はない。「厳重に抗議した」だけである。時には「関係機関を通じて」ということもあるようだ。インターネットで調べてみた。
「政府の北朝鮮への抗議ルートに関する質問主意書」が衆議院議員逢坂誠二(立憲民主党)から2018年4月に出ていた。
(詳細 https://onl.sc/iKrC7wZ)
しかしこの答弁は「回答を差し控える」であった。また外務省はホームページで「本日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に関し、北京の『大使館ルート』を通じ、本日午後12時頃、北朝鮮側に対し、概要以下の申入れを行いました。」とは2009年7月。

考え合わせると大使館ルートとはファックスで抗議文を送ることのようだ。ここで問題となるのは、北朝鮮へ抗議する唯一の手段、すなわち「北京大使館ルート」はファックスでしかない。またモンゴルの首都、ウランバートルで北朝鮮の代表を会談することもあるようだが現在このルートは休眠中。
つまり日本と北朝鮮両国とのパイプは無いに等しい。

一方、北朝鮮と国交のない国は世界で日本を含め36ヶ国(地域等含む)で全体の15%程度。逆に国交を樹立していない国は東アジアに限っていうと日本と韓国、台湾のみ。それにしても韓国は分断国家で休戦中、台湾はおそらく北朝鮮が中国の手前…。こうしてみると日本だけが特異な存在に見えてくる。
そんな関係の日朝両国は重大な問題、すなわち戦後処理(第二次世界大戦)、拉致問題、そしてミサイルなどの重要問題を先送りしている。
これらの問題に両国が真摯に向き合わない限り膠着状態は変化しない。日本が本当に拉致問題を自主的に解決する気があるなら、またミサイルの脅威を国民の為にも避けたいなら、せめて会って話す必要がある。韓国と北朝鮮は休戦ラインを挟んでホットラインで音声で意思の疎通をはかっているように。
それには「北朝鮮」という呼び名も変えて行かなければなるまい。先方がそれでいいというなら別だが。