現代時評plus《強制移住》片山通夫

嘘であってほしいというニュースを目にした。毎日新聞に「大テロルの再来? ロシア軍、ウクライナ住民を続々拉致・強制移住か」。また「ウクライナ人をサハリンなどへ強制移住 ロシア軍」。これはテレビ朝日が伝えた。
毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20220325/k00/00m/030/422000c
テレビ朝日 https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000249393.html

日本が朝鮮半島を植民地にしたのは1910年の韓国併合から1945年の日本敗戦までの35年間。そしてソ連と日本の間が険悪になってきたのはちょうどそのころ。19世紀末ごろから国境を越えて朝鮮人が沿海州に移住し始めた。ところが日ソ間は険悪になり、ロシア人にとって、日本人も朝鮮人も見分けがつかないという理由で、1937年にスターリンにより中央アジアに強制移住させられた。
つまり1937年8月21日、政府・党中央委員会の極秘決定により、国境地域からの朝鮮人追放が命じられたのだった。

日本の朝鮮半島植民地支配は朝鮮半島に住む朝鮮人を地続きのソシア・沿海州ねと移住させた。しかし沿海州では移住してきた朝鮮人を差別し社会の底辺での生活を余儀なくされた。ソ連と日本の関係の悪化がそれを加速した。そしてついにスターリンは1937年に「日本人と見分けがつかない」という愚にもつかない理由で、沿海州に住む朝鮮人を中央アジアへ強制的に移住させた。

筆者はこのスターリンが行った強制移住を前述の毎日新聞やテレビ朝日のニュースに接してすぐに思い浮かべた。まして筆者がその自然や住む人々に愛着を覚えるサハリンにウクライナ人を移住させているというニュースはとても他人事とは思えない。
もしこのニュースが事実なら、1937年当時のスターリンと2022年のプーチンは同じ思考の持ち主だと愕然とする。

過日、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が日本の国会で演説した。それまで「ウラジーミル」「シンゾー」と呼び合う仲だった安倍元総理。いつの間にか「ウクライナ派」に転向した話が聞こえてきた。「ゼレンスキー大統領とは2019年に来日した際に会談した」「その前の大統領とは5回会談した」などウクライナとの“親密度”をアピール。ゼレンスキー演説のちゃっかり転向するア然。 → https://is.gd/lhAwu4