現代時評《下馬評ですが・・・。》片山通夫

下馬評とは (下馬先で、主人を待っている間に、供奴(ともやっこ)たちがしあう批評やうわさ話の意から) 責任のないところで種々の評をすること。また、その評判。(コトバンク)

テーマはロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領のお話。

この戦争、完全にプーチンの位負け。だってプーチンはゼレンスキーが2・3日ですたこらさっさと逃げて行くと思っていた節がある。アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は多額の現金持って真っ先に逃げ出した。そして、日本の岡田隆大使はその前に逃げていた。そのような状況になることを夢見ていたのがプーチン。
ところが世の中そんなに都合よくプーチンの思い通りには行かない。

プーチンは嘘か真か「暗殺」を恐れてロシア大統領官邸があるモスクワン赤の広場正面にあるクレムリンを離れてウラルの山深い地下都市に隠れ住んでいるという噂が絶えない。

一方のウクライナのゼレンスキー大統領、ほとんど毎日キエフの大統領官邸からスマートフォンで、自国の国民や西側の政治家、ロシアの国民や兵、あげくはプーチンに語りかける。そして「自分は逃げない。最後までキエフでウクライナ国民とともにある」とその決意を述べる。

国民にとって、特に戦争中の国民にとって、自らの国の代表である大統領が今現在国民の眼から隠れて(暗殺を恐れて)いるのと、戦争の真っただ中でスマートフォンで国民に語り続ける大統領とどちらが信頼できるか火を見るよりも明らかだ。

大国ロシアは国営放送や国営新聞などで情報を発信している。たとえばタス通信やスプートニク。これらははっきり言って大統領の意に沿わない情報は流さない。いや流せない。一方ウクライナは大統領以下国民のほとんどが、一人のジャーナリストとして状況を報道する。治療最中の医師、火炎瓶を作る女性、逃げ惑う避難民、その立場は様々だけど自らの置かれている今を発信する。

系統立てて編集された映像よりも、今そこで起こっている事象を報告されるほうがパンチも聞くし真実に近い。受け取る方も信頼できる。

管理された報道よりもぶっつけ本番が圧倒的に信頼できる。アメリカのテレビ局CNNはこれら市民の発するSNSに流れるニュースを「SNSの投稿画像、信憑性の確認は?」と時には場所や真贋を確認の上、報道している。
信頼が信頼を呼ぶいい例だ。

こうしてみるとロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領、おのずとどちらが信頼できるのか明白だ。
下馬評ではプーチンの一人負け。核まで持ち出して余裕がなさすぎる。