◇現代時評《野球帽をなぜ被る?》片山通夫

米大統領が竜巻被災地を視察

先日、アメリカ・ケンタッキー州等に超大型の竜巻・tornado が襲った。甚大な被害だった。犠牲者の数は16日現在確定していない。つまりまだ多くの行方不明者がおられるようだ。
そんな中、15日に米大統領が竜巻被災地を視察し「被害は想像を絶する」と絶句したとAFP電が伝えた。その大統領はベースボールキャップをかぶっていた。そういえば前大統領もよくかぶっていた写真を見た。
AFP https://www.afpbb.com/articles/-/3381067?cx_part=top_category&cx_position=3

竜巻や台風などの被害にあった被災地を政府要人が視察に訪れた時、我が国で野球帽を被って視察しただろうか?そんな興味を持って、アメリカの野球帽の歴史を調べてみた。
そういえば他のスポーツでは被らないが野球だけは選手のみならず、コーチや監督もあたかもそれが義務のように被っている。

その起源

調べたら意外な話が出てきた。歴史はおよそ150年前にさかのぼる。そのころのアメリカと言えば南北戦争(1861~1865)真っただ中。アメリカの代表的スポーツの一つに野球がある。野球は元々15~16世紀頃にイギリスで生まれた「ラウンダーズ(*)」というスポーツが起源らしい。それがニューヨークなどアメリカ北部に伝わり発展した。そして南北戦争を通して南部と北部で互いに捕虜になるなどして交流が生まれるうちに、アメリカ全土へ広がっていきます。 このとき着用していたのが軍服と、前につばの付いた軍帽でした。この軍装が野球の装備のもとになったと言われている。いつでも任務に戻れるように、帽子も被った状態でプレーしていたのかもしれない。
ちなみに試合中、選手だけでなく監督(指揮官)やコーチもユニフォームとキャップを着用するのは野球の特殊性のひとつですが、これも戦争のときに行われていた野球の格好の名残だと言われている。

ラウンダーズ:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BA

大統領とキャップ

アメリカはヨーロッパと違って野球が盛んな国だ。日本でもアメリカのプロ野球の中継などが行われる。大谷翔平など日本人選手の活躍も興味深い。そんなアメリカのプロ野球だが、キャップ(所謂野球帽)もひいきのチームのモノをかぶるのが当たり前。
しかし政治家はイメージが大切なのか、我々が目にする大統領のキャップにはニューヨークヤンキースやレッドソックスなどの野球チームのモノは被らない。自前のキャップなのだ。
前大統領はイメージカラーの赤のキャップ。現大統領のバイデンは濃いブルー。

そんな大統領の視察にもそこがフィールドだったら必ずと言ってよいほどキャップをかぶっている。

全くわが国とは違う風土であると今更ながら驚く。