現代時評《何をかいわんや?》片山通夫

凍ったロープ

いや もう7年になるという。彼はその間、選挙で勝ち続けてきた。その原因は勿論ある。国民は「政治に無関心」だったり「寛容の精神」で彼を許したりしてきた。選挙に行かない国民、突出する首相夫人の言動に驚くだけ、つまり国民は彼ら夫婦の言動をほとんど見過ごしてきた。国会で野党が糾弾しようにも、マスコミを懐柔してきた安倍首相には一切答えなかった。何しろ、日本特派員協会や日本記者クラブでの会見などは、7年の間一切出席したことがなかったといわれている。
「外交の安倍」を自認する首相にしては異常な結果である。しかしそれも内閣記者会との出来レースを見ていたら、納得できる。まさかプロンプターを3台使って右に左に正面を向いていかにも国民、実はカメラに向かって話しているとは当初思わなかった。
最近、安倍首相の虚像が剥がれて実像があらわになっていた。新型コロナウイルスの蔓延がオリンピック開催をとりあえず一年延ばし、習近平氏の国賓訪日を中止させた。結果、政府はコロナ対策にまい進せざるを得なくなった。ところが司令塔たる安倍首相の指示や対応が感染症専門の専門家を含まない専門家会議だったり、PCR検査が他国に比べて極端に少なく、外国から疑問を持たれたりすることが国民の間に知れ渡るようになった。
ところがである。感染研も出勤8割減と厚労省が指示したんだ。先月中旬5割、
「業務に支障出ず」だと。今一番忙しい部署がこうだ。安倍首相が大見え切った2万件のPCR検査はハナからやる気なし。
GO

記者会見では、内閣記者会などの脚本によらない、質問がテレビででも流れるようになった。その時の安倍首相の慌てぶりは見ていられないほどオタオタしている。
そういえば4月29日の参議院予算委員会で森ゆうこ参院議員(国民民主)の質問に対し、新型コロナウイルスの感染者数について質問。ところが安倍晋三首相や閣僚が即答できなかった時、安倍首相は「質問の通告はされていない。このペーパーに書かれていない」と切れてしまったことがあった。
もう哀れでしかない。

ではなぜ安倍のような人物が7年間も首相の座に座っていることができたのか。筆者のとってもこれは不思議なことでしかない。
例えば中央省庁のキャリアと呼ばれる官僚はおそらく腹の中では、あきれかつ嘲笑しているのではないか。しかし悲しいかな官僚たちの習性は上を見て異論を述べずうまく官僚の世界を泳ぐことだとしたら…。

やはり何をかいわんやである。