サハリン物語(Web版)ヴァーリャの半生
離婚の多いロシア人との結婚
うちには一人、娘のようなのが同居している。名前はオーリャ、次男の恋人だ。
結婚したのと同然の暮らしをしている。彼女はポロナイスクの子で、ユジノサハリンスクに留学に来ている。いつからか、帰らなくなりそのまま居続けてしまった。私も帰りなさいときつく言えなくて、夫も娘がいないものだから可愛く思って、すっかり甘えさせてしまっている。
私がきつく言わないのは、やはり息子の親だからなんだろう。そして、もう一つは同じ民族の彼女だから内心安心して、できれば結婚してほしいという気持ちが強いのです。
ロシア人の嫁が入るのことは望んでいない。ロシア人の奥さんを貰って、別れずに幸せに暮す人というのは極端に少ないからです。もちろん例外はある。
弟がその一人だ。ロシア人女性と結婚すると言ったとき、母は涙を流しながら反対した。死ぬとまで言った。でも、弟の意志は固くて最後には親が折れてしまった。しかし、そのロシア人の嫁はその後、母が一番可愛がる嫁になった。気の優しい子で、朝鮮の風習などもちゃんと覚えて朝鮮人の嫁以上にやってくれた。しかし、それは本当に稀なケースです。殆どは結婚して一〇年もたたないうちに離婚しています。
朝鮮人の男は肉体的にロシア人女性を満足させられないそうです。そして、愛情の表現も苦手だし・・・。
朝鮮人女性とロシア人男性のカップルは意外にうまくやっていく。朝鮮人女性というのは、やはり我慢強さと、夫に服従する人が多いからでしょう。
それに、朝鮮人男性に比べるとロシア人男性は愛情の表現も上手で、家の中でもよく働いてくれます。もし、私の子どもが娘ならばロシア人と結婚しても反対する気はない。しかし、やはり男は無理です。近頃ロシアの結婚年齢がとても若くなって、一〇代で親になる子も珍しくなくなった。
競争社会に対応できるのかしら
朝鮮人三、四世も私たちとは違って、ロシア人と一緒になって遊ぶようになってからは、男女交際の年齢も若くなって、大学生なのに子どもを持つ子も多いのです。
だから、早く結婚したいと言うのなら、そうさせたいのだが、どうも女の子がその気がないみたい。まだ早いと言っているらしい。もしかしたら、卒業まじかに振られるかも知れないな、うちの息子は。そうなっても仕方のないことだと心に決めている。
うちの次男にはもったいない気もするし、長男とは違って、あまり頭もよくない、だからと言って、ルックスが特別に良い訳でもない。私に似てうちの子どもたちは二人とも背が低い。顔だけ見ても長男の方がはるかにハンサムだ。それに、その子は勉強も良くできて、大学も四年制の、このサハリンでは一番良い大学に通っている。次男は専門大学だ。
長男は小さいときからたくさんの賞状を貰ってきた。勉強もスポーツも、何でも一番、ところが次男は私の記憶では一度もそんなことがなかった。
しかし、神様はやはり公平だ。別の才能をこの子に授けてくれたみたい。長男とは違って女にはもてる。この二人を見ていると、本当に人間ってそれぞれ持って生まれた才能ってあるもんだなと感心しちゃう。子どもたちはまだ一度も海外に出たことがない。韓国にも行ったことがない。次男は新婚旅行でヨーロッパに行きたいと言っているが、はたして結婚できるかどうか、結婚できてからの話だからね。英語圏への留学なら行っても良いよと言っているが、それほどのお金はうちにはない。このサハリンだから贅沢できるわけで、近くにはモスクワ、韓国だったらなおさらこんな暮らしはできない。ドルを稼いでここサハリンだから、ニューリッチとも言われている。
本当に頼りなく、全然努力しないのがこの国の一般的な若者の姿です。
競争の激しい資本主義社会への心構えが全くできていない。本当に彼らの将来が心配です。
ヴァーリャの物語は終わります。今も彼女は、ハバロフスク、モスクワはおろか韓国、トルコ、イタリアまでも仕入れに出かける。そして今日も働かない男たち、働けない男たちを尻目にユジノサハリンスクの町を走り回っている。最近、開発著しいユジノサハリンスクではブティックの需要が伸びているとか。彼女も新しくできたショッピングセンターに2軒のブティックをもち、アパートを買ってアメリカ人に賃貸しています。ますます多忙なサハリン韓国人二世です。