サハリン物語(Web版)ヴァーリャの半生
軌道に乗る商売・百貨店からの誘い
寒い冬一日中外で凍りながら立っていても苦ではなかった。楽しかった、商売することが。そうしているある日、百貨店ツムに空きブースができたから、そこに店を出してみないかという誘いがあった。そこはサハリンにある2つのデパートの中の1軒です。そこに店を持てたら、それは今までのバザールのおばさんではなく、立派な社長さんです。
さっそく行ってみた。2階の右奥の店で、隣は靴屋さんだった。他は皆服屋さん。
立派な店です。青空の下で板の上に商品を広げて売るのとは全く違う。商品ケースも付いている。家賃がどのくらい負けてもらえるかです。今の手持ちの蓄えでは足りないだろう。しかし、ここならもっと売る自信がある。借金してでもと思った。さっそく契約を交し、コルサコフの店を整理し、ツムに移った。もう遠くまで通勤しなくて済む。
仕入れも増えて
ユジノサハリンスクに店を出してからは地方から仕入れに来る人も対象になってきて、一層忙しくなった。韓国に仕入れに行く回数も多くなり、毎月1回ほどは行かないと品切れ状態になる。家の近くに大きい倉庫も借りた。
それに韓国との直行便が飛ぶようになった。ソウルと釜山、週2便が飛んでいる。それから仕入れがうんと楽になった。往復チケット代は米ドルで600ドル。けっして安くない。一流の電気技師の夫の給料が月150ドルくらいで、炭鉱労働者の年金額は月30ドルくらいです。年金生活者が里帰りしようとしたら、2年間は飲まず食わずで貯めなきゃ行けない大金です。
しかし、私は大丈夫、足代くらいはすぐ元を取れるから。仕入値段に3倍くらい上乗せして商売している。
このサハリンは大陸に比べて非常に物価の高い地域です。生活必需品は殆ど輸入に頼っている。今は韓国からものを仕入れてくるが、モスクワからのものも多い。モスクワではここの3分の1の値段で何でも買える。ハバロフスクだってここの半額です。