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サハリン物語(Web版)ヴァーリャの半生

ユジノサハリンスクへ

 残された選択は一つ。理性や自制心のある親が譲ること、つまり夫と私が通勤すれば良いのです。

それで大学のあるユジノサハリンスクの中心部にアパートを購入した。五階建ての四階にある2LDKのアパートです。交通の便がいいから、歩いてどこへでも行ける。(治安さえ良ければの話ですが)車で5分の距離の中に生活に必要なすべての機関が集っている。部屋の窓からは中庭が眺められるし、アパートの後ろには小川が流れているし、隣は公園。最高に良い場所です。

 ソ連時代には、こんなところに朝鮮人の私たちが入って住むなんて考えられなかった。今はお金さえあれば、何でも買えるし、どこでも行けて、どこでも住める。民主主義というのはいいものです。一生懸命働く人が豊かになるいい社会です。

車も買って

 通勤のために、車を買った。夫の名義で。日本の中古車でランドクルーザーという。ここサハリンの町を走っている車は殆ど日本製の中古車です。
 最近、このロシアではどんな車に乗っているかがステータスを表すものとなり、ありとあらゆる貯金を掻き集めて北海道に買い出しに行くのが流行っています。
 トヨタ、日産、マツダなど、10年ほど乗った車を安くて500ドルから高いのは3000ドルを払って買って帰る。日本語のできる朝鮮人通訳付で買い出しのツアーを組んで。

 持って帰ってくるのは簡単です。5万円以下のものならお土産として船に乗せて持って帰れる。実際、私たちの払う金額はもっと高い。ただ、書類上その値段で買ったことにしておくのです。
 また、中古車業者もできた。私たちは日本まで出かけず、知合いの中古車業者から買った。少々高くなるが、交通費などの渡航費用を考えるとこちらの方が安いかもしれない。
 夫に買ってあげた車は走っていると皆が一度は必ず振り向くほど格好いい車です。このサハリンではこんな車はマフィアか大金持ちのロシア人しか乗れない物です。だから、夫は気持ちよく送り迎えをしてくれた。そのお陰で今や「マダム」と呼ばれる私。